Q. バッテリーの突然死を避けたいんですけど?

投稿者:岐阜県リョータさん

出かけようとしてイグニッションキーをON。ところがメーターは無反応、セルモーターも回らない……。突然のバッテリー上がりって、本当に困りますよね。最近のバイクはセルスターターのみで、キックスターターを備えない車種も多い。だからバッテリーが上がってしまうと、その場でエンジンを始動できずにお手上げ……なんてこともある。

「でも、バッテリーが弱るのって寒い冬でしょ?」

たしかに冬は要注意。気温が下がるとバッテリー内部の化学反応が鈍くなり、電気を取り出す性能だけでなく、充電を受け入れる性能も低下する。さらに寒い時期はエンジンオイルの抵抗も増え、始動時にはより大きな電力が必要になる。バッテリーメーカーのGSユアサでも、こうした理由から冬はバッテリー上がりが起きやすいと解説している。

でも、だからといって「暖かくなればバッテリーの心配は終了!」ではない。GSユアサは保管中の補充電について、夏場は3か月に1回、冬場は6か月に1回を目安としており、夏場の方が自己放電への注意が必要としている。バッテリーの状態は季節だけでなく、使用状況や充電状態にも大きく左右されるのだ。

冬だけじゃない! 暑い季節もバッテリーには厳しい

暑い季節に気を付けたい理由は、単純に「夏は暑いから」だけではない。

渋滞や信号待ち、低速走行、短距離移動といった状況は一年中ある。しかし暑い時期には、そこへ高い外気温や、水冷車なら電動ファンの作動などが重なりやすい。さらにスマホのナビをUSB電源につないだり、ドラレコや追加の電装品を使っていたりすれば、車両が使う電力も増える。

もちろん、渋滞したら必ず充電不足になるわけではない。車種によって発電能力や充電制御は大きく異なる。ただ、エンジン回転が低い状態で多くの電装品を使い続ければ、条件によっては発電と消費のバランスが厳しくなることがある。

特に小排気量車は、スマホ充電やグリップヒーターなどの後付け電装品を使い、消費電力が車両の発電量を上回りやすく、エンジンが掛かっていてもバッテリーの電力を使ってしまう可能性がある。

そして、もうひとつ注意したいのが「チョイ乗り」だ。

エンジンを始動するときには大きな電力を使う。それなのに、暑いから今日は近所だけ、朝夕にちょっとだけ……。そんな使い方が続けば、夏だからというより「十分に充電できない使い方」がバッテリーには厳しくなるというわけだ。

バッテリー上がりも、突然ゼロになるわけではない。GSユアサは、いわゆる「突然死」について、性能が突然悪化するのではなく、徐々に劣化した結果としてバッテリー上がりが起こると説明している。

だからこそ、「まだセルが回るから大丈夫」ではなく、普段との違いに気付くことが大切なのだ。

冬のイメージが強いバッテリートラブルだが、暑い季節も油断は禁物。気温だけでなく、短距離走行や電装品の使用など、普段の乗り方もバッテリーの状態を左右する。

USB電源や電装品を付けたら「充電できているか」を確認!

では、自分のバイクがちゃんと充電できているか、どうやって確認するのか。

簡易的なチェックに使えるのがテスターだ。後付け電装品を使用した状態でエンジンを掛け、バッテリー端子間の電圧を測定。さらにエンジン回転数を徐々に上げて、充電電圧がどのように変化するかを見る方法が分かりやすいだろう。
ここで気を付けたいのが、「○○Vなら絶対正常」と、数字だけで判断しないこと。

車種によって発電方式やレギュレーターの制御、規定されている点検回転数などは異なる。より深くチェックするならば愛車のサービスマニュアルに記載された点検方法と規定値を優先したい。

チェックするなら、

エンジン停止時

エンジン始動後

少し回転を上げた状態

と測り、電圧がどう変化するかを見ると分かりやすい。

USB電源やドラレコなどを装着しているなら、それらをOFFにした状態とONにした状態を比べてみるのも参考になる。

また、充電不足だけでなく、車両側の充電装置の故障によってバッテリー上がりが発生する場合もある。GSユアサも、オルタネーターやレギュレーターなど車両側充電装置の故障を、バッテリー上がりの代表的な原因のひとつとして挙げている。

つまり、新しいバッテリーに交換したのにすぐ弱るようなら、「ハズレのバッテリーだった!」と決めつけず、車両側も疑った方が良いだろう。

「最近セルが弱い?」は突然死のサインかも!

難しい測定器がなくても、毎日乗っている愛車だからこそ分かる変化がある。

それが、セルモーターの回り方だ。今まで、「キュルキュルキュル!」と勢いよく回っていたのに、「キュル……キュル……」と、なんだか元気がない。普段よりセルモーターの回転が弱々しく感じる場合は、バッテリー電圧が低下している可能性がある。近所を走り回った直後や、補充電で一時的に回復しても、すぐ同じ症状が出るようなら、バッテリーそのものの劣化も疑いたい。

また、「何年使っているのか分からない」というバッテリーも要注意。バッテリーの寿命は使用状況や保管環境によって大きく変わるため、「○年で必ず交換」とは言い切れない。だからこそ、使用年数だけでなく、始動性や充電状態などを合わせて判断したい。

セルを回したときの勢いも愛車からのサイン。いつもより回り方が重い、始動まで時間が掛かるなどの変化を感じたら、バッテリーや充電状態を一度チェックしておきたい。

寒さ、暑さ、長期放置、チョイ乗り、後付け電装品、充電系統の不具合……さまざまな条件が重なって、少しずつバッテリーは弱っていく。普段よりセルの元気がない。最近USB電源やドラレコを追加した。しばらく乗っていなかった。バッテリーをいつ交換したか覚えていない。そんな小さな変化に気付いたら、愛車からの「そろそろ見てくれ!」というサインかもしれない。

ツーリング先でセルボタンを押して「シーン……」となる前に、一度チェックしておくのが得策だ。

POINT

・暑い季節は高温だけでなく、電装品など普段の負荷が重なることにも注意
・チョイ乗りや長期放置は慢性的な充電不足につながりやすい
・普段よりセルの回りが弱ければ、バッテリー劣化や充電不足を疑ってみる
・充電してもすぐ弱るなら、バッテリーだけでなく車両側の充電系統も確認する

※この記事は月刊モトチャンプ2024年1月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】