GT-Rへの憧れをチューニングという手法で昇華!
RB25の可能性を追求したER34
再現度の高いGT-Rルックが目を引くER34型スカイライン25GT-t。しかし、このマシンでもうひとつ注目したいのが、独自のファインチューンを施したパワーユニットだ。

GT-Rルックを実現するうえで選ばれたのは、定番のRB26DETT換装ではなく、あえて元のRB25DETを活かすという手法。しかも、GT-R純正パーツを流用したツインターボ仕様というから興味深い。

「現在ではRB26自体が高価になり、換装に必要なハーネス類も廃盤が増えるなど、ハードルが非常に高くなっています。そこでこのクルマは、RB25DET本体をノーマルのまま、純正パーツの流用によってツインターボ化しました」と話すのは、エンドレス代表の杉野さん。実は、オーナーがエンドレスを訪れた目的こそ、このRB25改ツインターボ化の依頼だった。

このメニューは、エンドレスが約20年前に定番として展開していたチューニング手法。当時は、GT-Rのタービン交換によって取り外された程度の良い純正タービンや補機類が豊富に流通しており、それらをRB25に移植するコストパフォーマンスに優れたチューンとして、数多く手掛けていたという。
同じRB系エンジンだけにパーツの流用は比較的容易だが、単純なボルトオンというわけではない。RB26用エキゾーストマニホールドのフランジ加工や、ツインターボ化に伴うオイルリターン経路の増設など、各部に細かな加工が必要となる。もちろん、エンジン制御にも独自のノウハウが求められる。

しかし、時代の変化とともに中古タービンや周辺パーツの流通量は減少。作業に要する手間に加え、吸気系を含むGT-R用パーツの調達コストも上昇したことから、近年は受注を停止していたそうだ。
それでも今回は、この仕様をどうしても実現したいというオーナーの強い熱意に応え、久しぶりに製作されることになったのである。

完成したエンジンは、一見するとチューンドRB26DETTそのもの。RB26用のカムカバーやフロントカバーを流用し、ターンフロー式のサージタンクを組み合わせることで、GT-Rらしいエンジンルームを演出している。ただし、細部に目を向けると、その構成は実に個性的だ。
RB25DETに備わる可変バルブタイミング機構のNVCSを残すため、RB26用フロントカバーには専用の逃げ加工を施工。カムカバーとともに、違和感なく収まるよう丁寧に仕上げられている。

また、インテークマニホールドには、オーナーが持ち込んだ海外製のRB25用を採用。付属のスロットルもそのまま使用しているが、純正のAACバルブを取り付けられない点は惜しいところだという。

一方、排気側には加工を施したRB26用エキゾーストマニホールドを使用し、GT-R純正のツインターボシステムを移植。インテークパイプにはトラスト製のRB26用をそのまま流用し、インタークーラーも同社のGT-R用を組み合わせている。
フロントパイプにはRB26純正品を採用することで、コストを抑えながらスペース効率の良いレイアウトを実現。もちろん駆動方式はFRのままで、トランスミッションもER34純正を継続使用している。

制御系にはHKSのF-CON V Proを採用。AACバルブを備えていない仕様にも対応させながら、RB25改ツインターボの性能を引き出している。
なお、NVCSについては、トルクに余裕があるためキャンセルしても実用上の問題は少ないという。しかし、今回はオーナーの希望によって機能を残している。ただし、エンドレスではNVCSの故障リスクも考慮し、サーキットでの全開走行を重視する仕様には、必ずしも適していないと考えているそうだ。

さらに、ツインターボ化に伴う発熱量の増加に対応するため、ラジエター前方にはトラスト製オイルクーラーを追加。高負荷走行も見据えた冷却対策が施されている。
そして、気になるパフォーマンスは、エンジン本体がノーマルながら、ブースト圧0.7キロで342psを発揮。最大トルクは37.3kgmに達している。
低回転域から高回転域まで軽快に吹け上がり、FRならではの駆動ロスの少なさも相まって、そのフィーリングはGT-Rを凌ぐほどの仕上がりだという。さらにブースト圧を高めれば400psオーバーも狙えるなど、RB25DETの潜在能力を存分に感じさせる結果となった。



もちろん、GT-Rへのこだわりはエンジンだけにとどまらない。ベイサイドブルーに彩られたボディには、前後のGT-Rルックバンパーをはじめ、フロントのZチューンフェンダー&ボンネット、リヤのブリスターフェンダーなどを装着。細部まで作り込むことで、完成度の高いGT-Rスタイルを実現している。
足まわりにはエンドレスオリジナルのダンパーを採用し、アーム類もオーナーの好みに合わせて変更。街乗りを基本としながら、スポーツ走行にも対応するセットアップとなっている。

ハイキャスはキャンセルしてコントロール性を高め、デフマウントもリジット化。ただし、これはオーナー独自の選択であり、エンドレスでは街乗りでの快適性も考慮し、強化ウレタン製マウントを推奨しているという。

インテリアもGT-R用メーターを流用するなど、エクステリアに負けないこだわりが光る。ステアリングはトラスト製に交換され、運転席にはブリッドのジータを装着。一方、助手席にはER34純正シートを残し、同乗者の快適性にも配慮している。

ちなみに、ボディワークや足まわり、ブレーキの多くはオーナー自身がDIYで仕上げたもの。長い時間をかけて作り上げてきた愛車に、エンドレスによるRB25改ツインターボチューンが加わったことで、ついに理想の姿へと到達したわけだ。

そしてオーナーは、完成した愛車を眺めて満足するだけではない。最近ではサーキット走行にも熱中しているという。GT-Rへの憧れを出発点としながら、RB25DETならではの魅力を追求したこのER34。定番の手法にとらわれず、自分だけの理想を形にするチューニングの楽しさを、改めて教えてくれる一台だ。
●取材協力:エンドレス 兵庫県神戸市西区岩岡町古郷字南場960-8 TEL:078-969-2555
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