目指したのは誰とも被らないER34!

親子で追求した独創のカスタムスタイル

ER34スカイラインをベースに、“脱定番”のカスタムスタイルを追求しようと、鉄板溶接によるワンオフフェンダーや深リムのBBSホイール、さらには車内にカスタムインストールしたエアサスなど、斬新なアイディアを次々と投入していった大槻さん。

聞けば、車両のオーナーは実は大槻さんのお父さん。二人で意見やこだわりをぶつけ合いながら完成させた、クルマ好き親子渾身の合作スカイラインなのである。

もともと日野レンジャーなど、特にトラックのカスタムを愛好するお父さん。その影響を受け、息子の大槻さんもカスタマイズに興味を持つようになったわけだが、スカイラインに関しては、最初にきっかけを作ったのは大槻さんだったそうだ。

「僕の高校時代の同級生が、このER34を手放そうとしていたときに、父もちょうど遊べるクルマを探していたんで、『買えば?』って勧めたんです。最初はスカイラインにもセダンにもあまり興味がなかったみたいですけど、ER34で他の人がやっていない表現に挑戦するのも面白そうってノリで、買うことに決めたようです」。

大槻さん自身はF80型のBMW M3を所有しており、セダンのスタンスメイクは大好物。お互いにアイデアを出し合いながらER34を作り上げていく流れは、ごく自然に決まっていったという。

R34でオーバーフェンダーといえば、GT-Rのようなブリスター形状が定番だが、そこはあえて丸みを帯びたアーチ形状を選択。ドアに刻まれたプレスラインもスムージングし、純正の面影を残しながら独自のシルエットを追求した。

ワイドフェンダーは、宮城県大崎市のストリートモンキーが鉄板溶接によってワンオフ製作。出幅はフロント約45mm、リヤ約55mmで、純正風のリブまで再現している。リヤは約60mmのアーチ上げも行い、低車高に対応させながら、ふくよかでナチュラルなラインを描き出した。

前後バンパーはGT-Rルックの市販品をベースに独自の加工を加えたもの。リヤバンパーは複数の製品を組み合わせるニコイチ加工によって、GT-Rを思わせるディフューザー形状を再現した。左右出しのマフラーもバンパーに合わせてワンオフ製作している。

さらに、「それだけだとリヤが少し寂しいから」という大槻さんの提案で、トランクフードにはFRP製のワンオフダックテールを追加。大型ウイングほど派手ではないものの、存在感のあるリヤビューを完成させている。

これらの作業を担当したストリートモンキーは、大槻さん親子にとって昔馴染みのショップ。特にフェンダーの形状や出面など、外装にとことんこだわるお父さんは、足繁くショップに通って作業の進捗をチェックし、理想のスタイリングを追求していったそうだ。

そして、作業の順番としてフェンダーよりも先に着手したのが、BBS LMをベースとしたリバレルホイールだった。

「今となってはもう定番ですけど、当時はスーパーRSを履いているクルマが多くて、まだLMのリバレルは見たことがなかったので、ちょっとした差別化を狙いました」。

そう振り返る大槻さん。深リムのBBS LMを中心に据え、その足元に合わせてワイドフェンダーの形状を作り込んでいったわけだ。

そして、このER34のカスタマイズをさらに印象的なものにしているのが、後席スペースを大胆に利用したエアサスペンションのインストールだ。

エアフォース製のシステムを採用し、リヤシート部分にはウッドパネルを設置。エアタンクとコンプレッサーをそれぞれ2基ずつ左右対称に配置し、中央には電磁弁コントローラーをレイアウトする。さらに、ロールケージに囲まれた空間には、ハードラインによるエア配管を複雑かつ左右対称に取り回している。

「内装を格好良く見せる道具としてエアサスを利用したイメージです」。

大槻さんはそう説明する。単に車高を下げるための機能部品ではなく、インテリアを彩るカスタムパーツとしてエアサスを捉えているのがユニークだ。ハードラインの取り回しも大槻さん自身が考案し、ストリートモンキーの技術によって具現化された。

また、ドアのプレスラインに加え、リヤドアのアウターハンドルまでスムージング。「どうせ乗ることはないから」という割り切った発想も、ショーカーとしての完成度を高める要素となっている。

ボディカラーには、アウディ純正色のデイトナグレーパールエフェクトを採用。「やっていることがヤンチャで目立つから、色は渋く」という考えから選ばれたもので、独創的なボディワークを落ち着いた色調でまとめている。

インテリアにはトラスト製スポーツステアリングや東名パワード製シフトノブ、ブリッドZETA IVを装着。RB25DETにはトラスト製インタークーラーとHKS EVC-Sブーストコントローラーを備えるなど、走りに関わる部分にも手が加えられている。

こうして親子の思いを凝縮して完成したスカイラインは、フェンダリストやフィックスウェルといったスタンス系イベントでアワードを獲得。流麗なフェンダーラインと驚異的な低車高は、常に注目を集めている。

もっとも、車両オーナーであるお父さんはイベントに出るのが照れくさいそうで、エントリーはもっぱら大槻さんの役目。今回の取材でも、息子さんが代表して登場してくれた。

ちなみに、お父さんによる現在の完成度の自己採点は、まだ70点とのこと。すでに高い評価を得ているER34だが、今後さらなるアップデートが加えられる可能性もありそうだ。

親子それぞれの美学とアイデアを持ち寄り、熟練ショップの技術で形にした唯一無二のER34。父子鷹で仕上げたこのスカイラインは、これからも独自のスタイルを貫きながら、シーンを賑わせていくことだろう。

●取材協力:ストリートモンキー 宮城県大崎市古川小泉字泉54 TEL:0229-24-5559

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