各ブランドの個性を強める方針のもと、欧州デザイン部門の責任者を入れ替え
ステランティスは11月2日付で、欧州ブランドのデザイン部門の人事を実施した。シトロエンとDSオートモビルのデザイン責任者にはサンディープ・バンブラ氏が就任。シトロエンではピエール・ルクレール氏、DSオートモビルではティエリー・メトロズ氏の後任となる。バンブラ氏は、ステランティスの欧州ブランドのデザインを統括するジル・ヴィダル氏の直属。両ブランドのCEOを兼ねるグザビエ・シャルドン氏のもとで、シトロエンとDSオートモビルの経営陣にも加わる。
シトロエンのデザインを率いてきたルクレール氏は、オペルとボクスホールのデザイン責任者に移る。前任のマーク・アダムス氏は、オペルとボクスホールで25年近く務めたのち退職する。ルクレール氏もヴィダル氏の直属となり、オペルの経営委員会に加わる。メトロズ氏は今後、ヴィダル氏のもとで欧州のデザイン戦略を支える役割を担う。
今回の人事は、ヴィダル氏がこれまで進めてきたデザイン戦略の延長にあるという。ブランドごとに異なるデザイン言語をもたせ、それぞれの個性と魅力を強めるのがこの戦略の柱だ。中期経営計画「FaSTLane 2030」に沿って、各ブランドの性格をはっきり打ち出したクルマづくりにつなげる狙いがある。
ヴィダル氏は「今回の変更は、我々の組織に豊富な人材がいること、そして欧州ブランドのデザインの未来をかたちづくっていく決意の表れだ。バンブラとルクレールは国際的な経験と創造性、戦略的な視点を活かし、強く、ひと目でそれとわかるブランドアイデンティティをさらに発展させていくだろう」と述べている。

バンブラ氏はプジョーで2008や5008、シトロエン・アミを担当し、ルノーではアドバンスドデザインを率いた
バンブラ氏は、インドのプネー大学で機械工学を学んだのち、フランスのストラートでトランスポーテーションデザインの修士号を取得。2003年にインドのマヒンドラ&マヒンドラで自動車業界でのキャリアを始め、その後はタタ・テクノロジーズやタタ・モーターズで、インドと英国を拠点にデザインに携わった。
2010年、ヴェリジーにあるプジョー・デザインにエクステリアデザイナーとして入社。10年以上にわたって量産車やコンセプトカー、アドバンスドデザインのプロジェクトに関わった。手掛けたのは、2代目プジョー2008と5008、コンセプトカーのプジョー・オニキス、3代目プジョー3008の初期段階の開発、そしてシトロエン・アミなどだ。プジョー2008では、2020年にレッド・ドット・デザイン賞を受けている。
2021年にはルノー・グループへ移り、アドバンスドデザインとコンセプトカーを担当するチーフデザイナーに就任した。ルノーのデザイン戦略づくりに参画し、セニック・ビジョン、エンブレム、R17オラ・イト、エスタフェット・コンセプト、トゥインゴ4、フィランテ・レコード2025、ブリッジャー、Rスペース・ラボ、限定車R5ターボ3Eなど、多くのプロジェクトを指揮。オニキスに加え、R5ターボ3Eとトゥインゴ4でも複数の賞を受けた。2025年からは同じ役職のまま、ルノーのインドのデザインスタジオも担当。2026年4月からは、ステランティスで欧州のデザイン戦略を担当するバイスプレジデントを務めていた。
シャルドン氏は「彼の経験と創造性、デザインへの視点は、シトロエンとDSオートモビルがそれぞれの伝統に忠実でありながら未来を見据え、強く独自性のあるアイデンティティを表現するうえで、大きな力になるだろう」と期待を寄せる。

ルクレール氏は2CVコンセプトや新型C3など、現在のシトロエンのデザインを主導してきた
ベルギー国籍で54歳のルクレール氏は、1998年に米国カリフォルニア州パサデナのアートセンター・カレッジ・オブ・デザインを卒業。イタリアにあるフォードのギア・デザインスタジオでキャリアを始め、2000年にBMWグループへ移った。その後の約10年間でBMW、MINI、ロールス・ロイスのデザインに携わり、2011年には高性能車部門BMW Mのデザイン責任者に就いている。
さらに国外に活動の場を広げ、2013年に中国の長城汽車でデザイン責任者、2017年に韓国の起亜自動車でデザインディレクターを務めた。シトロエンのデザイン責任者になったのは2018年11月1日だ。
シトロエンではラインナップのデザインを一新し、ブランドの新しいアイデンティティを形にしてきた。担当したモデルやコンセプトカーは多岐にわたる。パリモーターショーで公開した2CVコンセプトと2CVフルゴネット・コンセプト、ELOとOLI、新型C3とC3エアクロス、バサルト、新型アミ、C4とC4 X、新型C5エアクロスなどがその代表例だ。
ヴィダル氏はルクレール氏について、「ピエールはブランドアイデンティティを深く理解しており、戦略的なビジョンを魅力ある製品へと落とし込む力は広く認められている」と評価する。

シトロエンが2CVを再解釈した「2CVコンセプト」を初公開。卵が収まるドアポケットなど初代へのオマージュを各部に散りばめる | Motor Fan|自動車情報のモーターファン
働く人を支え続けたシトロエン2CVフルゴネット、そのクルマづくりを現代の小型商用車として描き直した「2CVフルゴネット・コンセプト」公開 | Motor Fan|自動車情報のモーターファン
