水平ラインとプレーンな面で、ひと目でジュリオとわかる姿に

真横から見ると、水平基調のボディラインがよくわかる。全長1655mm、ホイールベース1170mmというコンパクトな車体ながら、独特のスクエア感で存在感を出している。

HONDA ジュリオ|1998年発売

デザインで特徴的なのは、丸み一辺倒ではなく、水平基調と平らな面を意識して組み立てていること。開発時には70年代のデザインソースを現代風にアレンジし、「スタイリッシュ・スクエア・フォルム」としてまとめられた。街で見かければすぐジュリオとわかる、そんな個性も狙われていた。

横から眺めると、戦後の国産スクーター、とくに富士重工のラビットを思わせる雰囲気を感じる人もいるだろう。ただし、ジュリオが目指したのは往年車の復刻ではない。70年代のデザイン要素を当時の感覚で再構築した、若者向けのニュー・トレンド・スクーターという立ち位置だった。

シートとフロアはフラットな形状とし、乗車姿勢の自由度を確保。ボディの張り出しも抑えることで、足つきにも配慮されている。名前の「Julio」はスペイン語で「7月」の意味。7月のデビューにちなんで名付けられた。

ニュータクト系エンジンを専用セッティング。収納はA4ファイルまで入る

パールビーンベージュ×クラシカルホワイト。シートやグリップまで含めたトータルコーディネートも、ジュリオの特徴だった。

搭載する49cc空冷2ストローク単気筒エンジンは、1998年4月発売のニュータクト用をベースに、シリンダーポートタイミング、マフラーのエキゾーストパイプ、点火時期などを変更。最高出力は5.1ps/6500rpmで、穏やかな発進とリニアな加速を重視した特性に仕上げられていた。エンジンハンガーには振動を抑えるラバーも採用している。

そしてジュリオは、見た目優先で実用性を犠牲にしたスクーターではない。シート下のメットイン・スペースはフルフェイスヘルメットに対応し、さらにA4サイズの書類や本を折らずに収納できる形状を採用。内部には荷物への傷つきを抑える保護シートまで備えていた。

センタースタンド・ロックイン機構や直結始動を防ぐ盗難防止回路も採用。1998年10月から施行される二輪車排出ガス規制・騒音規制にも先行して適合するなど、ファッションスクーターでありながら中身はかなりマジメに作られている。

【SPECIFICATIONS】

年式:1998年モデル
総排気量:49cc
エンジン:空冷2ストローク単気筒
最高出力:5.1ps/6500rpm
最大トルク:0.59kgm/6000rpm
全長×全幅×全高:1655×625×985mm
ホイールベース:1170mm
重量:76kg
シート高:710mm
タイヤ:3.00-10・3.00-10
燃料タンク容量:6.0L
発売当時価格:17万7450円(税込)

50周年カラーから“メタル”まで! 特別仕様で遊んだ

デビュー時からジュリオはカラーバリエーションが豊富だった。ボニーブルー、パールビーンベージュに加え、1998年9月1日にはヘビーグレーメタリックと、ホンダ創立50周年を記念したレッド×クラシカルホワイトのスペシャルカラーも登場している。

1998年9月1日に限定発売された50thアニバーサリースペシャル。レッド×クラシカルホワイトの鮮やかなツートーンで、ホンダ創立50周年を彩った。

翌1999年1月29日には「ジュリオ スプリングコレクション」が4000台限定で登場。クリーミーホワイトを主体にオレンジを組み合わせ、シートも薄いベージュとした暖かみのある配色で、クロームメッキのヘッドライトグリルも標準装備された。価格は17万9000円(税別)だった。

1999年1月29日発売のジュリオ スプリングコレクション。クリーミーホワイト×オレンジに薄いベージュのシートを合わせ、通常モデルとは違う軽やかな雰囲気に仕上げられた。

さらに同年2月26日には「ジュリオ メタルミックス」が2000台限定で登場。主体色をシルバーメタリックとし、フェンダーやボディサイドにはつや消しのマットシルバーを採用。ヘッドライトグリルやインナーラックにはメッキパーツを組み合わせ、金属的な質感でまとめられていた。価格は19万9000円(税別)。

1999年2月26日に2000台限定で発売されたジュリオ メタルミックス。シルバーメタリックとマットシルバー、メッキパーツを組み合わせ、ジュリオの形そのものを違った表情に見せた特別仕様だ。

この“色や素材で遊ぶ”流れはさらに続き、2000年には半透明パーツを使った「ジュリオ スケルトン」まで登場。基本フォルムを大きく変えず、カラーや素材で次々と表情を変えていったところも、ジュリオというスクーターの大きな魅力だった。

※この記事は月刊モトチャンプ2025年12月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】