ご存知のとおり、日産と三菱(とルノー)はアライアンスを組んでいる。プラットフォームをはじめとして、アライアンスでさまざまな技術やユニットを戦略的に共有して競争力を高めている。

新型エクストレイルとアウトランダーPHEVは、ともにCMF-C/Dプラットフォームを使っている。
このルノー・日産・三菱アライアンスのモジュラープラットフォームであるCMF-C/Dを使うのは、以下のモデル群だ(すべてではない)。

ルノー・エスパス
ルノー・オーストラル(Austral)
ルノー・カジャー
ルノー・メガーヌ
ルノー・コレオス
ルノー・セニック
ルノー・カングー
日産キャシュカイ/Rogue Sport
日産エクストレイル
日産セントラ/ティーダ
日産タウンスター
三菱アウトランダー
メルセデス・ベンツ・シタン(Citan)/T-Class

といったあたりだ。この3社にとってもっとも重要なプラットフォームがCMF-C/Dと言っていい。
ただし、パワートレーン戦略は3社三様。日産はe-POWERを、ルノーはE-TECHハイブリッドを、そして三菱はPHEVを主力に据えている。

というわけで、新型エクストレイルと三菱アウトランダーPHEVは血縁関係があるわけだ。

まずは価格のチェックから。
三菱アウトランダーPHEV
M(4WD):462万1100円
G(4WD):490万4900円
G(4WD 7人乗り):499万6200円
P(4WD 7人乗り):532万0700円

新型エクストレイル
S(2WD):3198800円
S(e-4ORCE):347万9300円
X(2WD):349万9100円
X(e-4ORCE):379万9400円
X(e-4ORCE 7名乗り):393万0300円
G(2WD):429万8800円
G(e-4ORCE):449万9000円

やはり大容量バッテリー(20kWh)を搭載するアウトランダーPHEVの価格帯は約462万円~532万と少しお高め(PHEVとしてはリーズナブルだが)。

今回は、
アウトランダーPHEV M(462万1100円)
G(e-4ORCE):449万9000円

を比べてみよう。

ボディサイズ比較

上が新型エクストレイル、下が三菱アウトランダーPHEV
左が新型エクストレイル、右が三菱アウトランダーPHEV

新型エクストレイル
全長×全幅×全高:4660mm×1840mm×1720mm
ホイールベース:2705mm
最小回転半径:5.4m
最低地上高:185mm

三菱アウトランダーPHEV M
全長×全幅×全高:4710mm×1860mm×1740mm
ホイールベース:2705mm
最小回転半径:5.5m
最低地上高:195mm

ホイールベースは2705mmで同じプラットフォームを使うだけあって、サイドビューはほとんど同じ。ただ、フロント/リヤのオーバーハングはアウトランダーの方が長い。当然全長で50mm、全幅で20mm、全高で20mm、アウトランダーPHEVが大きい。

パワートレーン&燃費比較

アウトランダーPHEVは2.4ℓ直4自然吸気エンジンを搭載する。

エンジン
形式:2.4ℓ直列4気筒DOHC
型式:4B12
ボア×ストローク:88.0mm×97.0mm
排気量:2359cc
圧縮比:11.7
最高出力:133ps(98kW)/5000rpm
最大トルク:195Nm/4300rpm
使用燃料:レギュラー
タンク容量:56ℓ

モーター(フロント)
S91型交流同期モーター
最高出力:116ps(85kW)
最大トルク:255Nm

リヤモーター
YA1型交流同期モーター
最高出力:136ps(100kW)
最大トルク:195Nm

日産エクストレイルは、1.5ℓ直3VCRターボを搭載する。駆動はモーターで行なうe-POWERだ。リヤも独立したモーターが載る。

発電用エンジン
形式:1.5ℓ直列3気筒VCRターボ
型式:KR15DDT
ボア×ストローク:84.0mm×90.1mm
排気量:1497cc
圧縮比:8.0-14.0
最高出力:106kW/4400-5000rpm
最大トルク:250Nm/2400-4000rpm
使用燃料:レギュラー
タンク容量:55ℓ

モーター(フロント)
BM46型交流同期モーター
最高出力:150kW(204ps)/4739-5623rpm
最大トルク:330Nm/0-3505rpm

リヤモーター
MM48型交流同期モーター
最高出力:100kW/4897-9504rpm
最大トルク:195Nm/0-4897rpm

三菱はPHEV(プラグインハイブリッド)、日産はシリーズハイブリッド(e-POWER)という特徴あるパワートレーンを搭載しているが、どちらも「モーター駆動」を前面に押し出しているのは共通している。三菱が2.4ℓの直4自然吸気を搭載するのに対してエクストレイルは新開発の1.5ℓ直3可変圧縮比(VCR)ターボを使う。両車ともに主駆動はモーター(エクストレイルのエンジンは完全に発電用、アウトランダーPHEVは直接タイヤを駆動する場合もある)で、4WDのリヤ側はモーターを使う。また、型式は違うがアウトランダーPHEVとエクストレイルのリヤモーターはベースは同じだ。このMM48型はノート/ノート オーラ4WDのリヤ用、サクラ/eKクロスEVのフロント用にも使われている。

新型日産エクストレイル(X-TRAIL) 主駆動モーターは新開発 BM46型

日産の新型エクストレイルは、1.5ℓ直列3気筒の可変圧縮比(VCR)ターボエンジンを搭載しモーターで駆動するe-POWERである。それも、エンジン/主モーターともに新開発である意欲作だ。モーターの型式はフロントがBM46型、e-4ORCEのリヤがMM48型だ。日産の電動車両のモーターを見てみよう。

https://motor-fan.jp/mf/article/70407/

では、燃費はどうだろうか?

三菱アウトランダーPHEV M
WLTC燃費:16.6km/ℓ
 市街地モード15.3km/ℓ
 郊外モード17.2km/ℓ
 高速道路モード16.8km/ℓ
EV走行換算距離 87km

日産エクストレイル e-4ORCE
WLTC燃費:4WD 18.4km/ℓ
 市街地モード16.1km/ℓ
 郊外モード20.5km/ℓ
 高速道路モード18.3km/ℓ

モード燃費上はエクストレイルの方が良好な数値だが、アウトランダーPHEVはPHEVだから87km、エンジンをまったく使わないでEV走行できるのが強みだ。つまり、毎日87km(実際は70km前後か)の走行距離ならガソリンはまったく使わない。ただし、ガレージで200V普通充電できる環境でないとPHEVのメリットは享受できないことも注意が必要だ。

インテリア&ラゲッジルーム比較

上がアウトランダーPHEV、下がエクストレイル

もはや高級車の域に達している価格帯のアウトランダーPHEVのインテリアはゴージャスだ。インパネやシートなども少し前からの三菱車からデザインも質感もジャンプアップしている。

カタログ上の室内長×幅×高は
三菱アウトランダーPHEV M:1920mm×1520mm×1240mm
エクストレイルG(e-4ORCE):1980mm×1540mm×1255mm
である。

アウトランダーPHEVの前後シート

エクストレイルの前後シート

アウトランダーPHEVには3列シート(7名乗り)仕様もある(エクストレイルにもX e-4ORCE 7名乗りがある)。アウトランダーPHEVの3列シートの写真がこちら。

ラゲッジルームは?

上がアウトランダーPHEV、下がエクストレイル

アウトランダーPHEVは646ℓのラゲッジ容量。幅が1070mm、奥行き930mm、高さが795mmである。3列目シート仕様の場合に3列目使用時は奥行き400mmで284ℓとなる。

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