Motor-Fan[モーターファン]|自動車最新ニュース・速報、試乗記など、クルマとカーライフを楽しむサイト

  • モーターファンテック
  • モーターファンバイクス[Bikes]
  1. TOP
  2. ニューモデル速報
  3. インプレッション

これは新しいEVではなく自動車の再発明だ【Mercedes-Benz EQC試乗記】 メルセデス・ベンツEQCが提案するEVの世界はやはりひと味違う?

  • 2020/01/01
  • GENROQ編集部
このエントリーをはてなブックマークに追加

メルセデス・ベンツの長い歴史上、日本では初となる電気自動車が登場した。
80kWhの大容量バッテリーを搭載し、400㎞の航続距離を実現。
多数のライバルが登場する中、EQCはどんな個性を披露するのか?

REPORT◉渡辺敏史(WATANABE Toshifumi)
PHOTO◉篠原晃一(SHINOHARA Koichi)

※本記事は『GENROQ』2019年12月号の記事を再編集・再構成したものです。

 メルセデスの電動化パワートレインを総括するサブブランドとして名付けられた「EQ」。エレクトリック・インテリジェンスを略したそのアイコンを戴く象徴的なモデルがいよいよ日本に上陸した。

 EQC400 4マティック(以下EQC)はメルセデス・ベンツとしては初となる量産型BEVだ。エディション1886なる名の限定車も2019年内の販売立ち上がりに向けて注文を受け付けていたが、残り台数はごくわずかだ。今後注文するカスタマーは、恐らく来春以降の標準モデルの納車開始を待つことになる。ちなみに〝1886〟はご存知の通り、ダイムラーが初めて内燃機自動車を発明した年を指すもの。パラダイムシフトをより強く意識させるネーミングというわけだ。

 EQCのアーキテクチャーのベースとなるのはGLCクラスだ。ホイールベースを筆頭に、全長、全幅、全高のディメンションはほぼ変わらない。そのモノコックのフロア部にはラミネート式リチウムイオン電池がびっしりと敷き詰められる。48セルのモジュールと72セルのモジュールを組み合わせ、合わせて384のセルからなる電池の容量は80kWh。日本仕様の充電は200V/6kWまでの交流普通充電と50kWまでの直流急速充電すなわちチャデモに対応している。

 充電にまつわる車内側のハードウェアはコネクターを除き欧州仕様と変わることはないが、現状EQCは欧州110kWの直流急速充電への対応を上限としており、今後登場が計画される新規格チャデモ、すなわち150kW級の充電に対応できるか否かは未知数である。充電速度に関してはメルセデス・ベンツ日本の実測値で0から満充電の時間は普通充電で約12時間となるそうだ。チャデモでの充電時間は予想値となるが0〜80%まで90分前後ということになるだろう。

前後アクスルに1基づつモーターを搭載する。2つのモーターによる総合最高出力は408㎰、 最大トルクは765Nmとなる。CHAdeMOの急速充電口は右リヤフェンダーに設置されている。

 メルセデス・ベンツ日本では深夜電力をベースとする使用を想定してEQCの購入にあたってはウォールマウントの家庭用普通充電器相当額=10万円の提供や、NCS提携の充電ステーション1年間使用無料などの特典を付与している。また、バッテリーは車体側より期間の長い8年16万㎞の保証をつけて、その間に電池の使用可能領域が70%を切れば交換を負担するなど、ユーザーの負担や不安を軽減する策を施している。

 駆動用モーターは前後軸にひとつずつ搭載され、その総合出力は300kW=408㎰、最大トルクは実に765Nmに及ぶ。駆動は前輪駆動をベースに必要に応じて後輪側の駆動が加わる仕組みで、実際にはフルタイム4WDに近いかたちで四輪が常時作動状況にあるとみていいだろう。0→100㎞/h加速は5.1秒と、車名の由来である4ℓ相当の動力性能は十分に確保されている。が、最高速は変速機を持たないEVの常で180㎞/hに抑えられる。

 ユニークなのは前輪側のパワーユニットやコントロールユニットを収めつつ、衝突時の衝撃分散などを考慮されたサブフレームが結果的にエンジンとトランスミッションの形状を伺わせるパイプケージになっているところで、EQCはこのモジュールによりGLCと同等の衝突安全性を担保できている。そして剛性に関しては電池を収めるフロア構造も奏功してGLCを上回るはずだ。はたしてそれは、乗り心地の面でも少なからぬ利をもたらしていた。

 EQCの特筆点のひとつは、走り始めからの静粛性の高さだ。BEVであれば当たり前と思われるかもしれないが、直接音源を持たないがゆえにインバータの高周波ノイズや冷却系の作動音、さらにはロードノイズといった様々な音が気になってくるものだ。が、EQCはその辺りが見事に整理されていて、低中速域の巡航でも雑音のレベルは非常に低い。より重い自重を大径タイヤで支えながらも、結果的にはGLCよりも柔らかな路面アタリも相まって、Dセグメント級という車格を忘れさせる上質感が感じられる。

ダッシュボード中央部から 運転席側までが切り取られたような斬新なデザインを採用。10.25インチディスプレイには電費や充電ステーションなどの情報を表示できる。

 こういった日常域での快適性においてはドラポジの影響も気になるところだが、EQCは床面に電池を敷くがゆえの上げ底感の類もまったく気にさせない。後席の居住性や積載性もほぼGLCのそれに準拠した印象だ。すなわちパッケージ面ではファミリーカーとしても何ら差し支えのない使い勝手を有している。

 動力性能は十分以上であることは言うまでもないが、速さよりむしろ感心させられるのは発進時からの駆動伝達がとても丁寧になまされていることだ。それゆえ日常領域でスロットルコントロールに気を遣うことは一切なく、むしろ普通のメルセデスよりも上品な走り出しを実現している。加えていえば回生ブレーキのコントロール性、油圧ブレーキとの協調域などの調律も繊細に合わせこんでいる。ハンドリングもグイグイと負荷を掛けていけば低重心のメリットが十分に引き出せるが、ここでも感心させられるのは前後輪の駆動力バランスの制御にまったく違和感がないところだ。

 もちろん一気にピークトルクで押し込まれるモータードライブならではの加速は、アクセル操作やドライブのモード設定など明確な意思があれば発揮されるが、普段はそういう獰猛性をお首にも出さず、至ってメルセデスらしい扱いやすさや乗り心地の良さを実現している辺りに、BEVを特別なものとせず、自分たちの長所を折り込みながら社会に認知してもらうというこのクルマの見識、ひいてはメルセデスの自動車メーカーとしての矜持がみてとれた。

肉厚のシートは座り心地もすこぶる快適だ。後席の居住性もベースとなるGLCとほぼ変わらないため、ファミリーユースにも十分対応できる。

SPECIFICATIONS メルセデス・ベンツEQC 400 4マティック
■ボディサイズ:全長4761×全幅1884×全高1623㎜ ホイールベース:2873㎜
■車両重量:2495㎏
■パワートレイン:非同期モーター2基 最高出力:300kW(408㎰) 最大トルク:765Nm(78㎏m)
■駆動用バッテリー:リチウムイオン電池 容量:80kWh バッテリー重量:652㎏
■トランスミッション:1速固定
■駆動方式:AWD 
■サスペンション形式:Ⓕ4リンク Ⓡマルチリンク
■ブレーキ:Ⓕ&Ⓡベンチレーテッドディスク
■パフォーマンス 0→100㎞/h加速:5.1秒 最高速度:180㎞/h
■環境性能(WLTCモード) 航続距離:400㎞ エネルギー消費率:20.8~19.7kWh/100㎞
■車両本体価格:1080万円

水平対向と星型とロータリーエンジン特集

水平対向と星型とロータリーエンジン特集 一覧へ

ホンダエンジンの技術力は凄い|内燃機関超基礎講座特集

ホンダエンジンの技術力は凄い|内燃機関超基礎講座特集 一覧へ

会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ

会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ 一覧へ