仕事からデートまでオールマイティないすゞのトラック 海外だけではもったいない!いすゞD-MAXが8年ぶりにフルモデルチェンジ! タイ王国で取材してみた
- 2020/01/06
- 大音安弘
いすゞは、2019年10月11日に、1t積みピックアップトラック「いすゞD-MAX」の8年ぶりにフルモデルチェンジを発表した。仕事からプライベートまで幅広く使われるピックアップトラックは、そのスタイルもおおいに魅力的だ。昨年10月よりタイ王国より販売が開始された新型を「バンコク国際モーターエキスポ」にてチェックした。
REPORT&PHOTO●大音安弘(OHTO Yasuhiro)
日本では販売されていないものの、東京モーターショーなどの展示会のいすゞブースでは、度々、その姿を目にすることが出来るピックアップトラック「D-MAX」。その歴史は、タイでの2002年のデビューに始まる。8年ぶりのフルモデルチェンジを果たした新型は、その第3世代にあたるモデルだ。
大幅な刷新を図った新型は、”Efficient and Robust”を開発コンセプトに、時代のニーズである燃費性能と安全性能を高めながら、多様な使用環境と様々な使い方に耐えうるクルマに仕上げたという。
従来のピックアップトラックの常識を覆すデザインを採用したというエクステリアは、迫力満点。トラック及びオフローダーとしての性能の高さを予感させるタフさだけでなく、心を高揚させるスポーティさも併せ持つ。思わず、惹きつけられるカッコよさだ。ヘッドライトは、Bi-LEDプロジェクターランプとLEDシグネチャーランプ(デイランプ)との組み合わせを採用し、キリリとした目元を構築。
リヤコンビネーションランプもLED式とし、ランプユニットの輪郭を強調することで、デザインアクセントとするとともに、視認性を向上させた。またワイドなリヤバンパーは、ステップを内蔵することで、ボリューム感あるデザインと実用性を両立したものとした。
乗用車同様の見た目のインテリアは、快適な移動を予感させる。シートは前後共に、乗用車ライクなしっかりとしたもの。座り心地や体へのフィット感も良く、これなら悪路走行でも安心した運転が楽しめそうだ。フロントシートには、低反発のウレタン素材を取り入れている。最も目を引くのが、ダッシュボードの中央に収まる9インチの大型ディスプレイだ。タッチ操作に対応し、Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応。このほかグレードにより、7インチ式タッチパネルや2DINCDオーディオも用意される。快適装備の充実化も図られ、インフォメーションディスプレイ、キーレスエントリー、リモコンエンジンスターター、ウェルカムライトなど乗用車並みの機能を採用している。
また最上位の「V-CROSS」では、先進安全運転支援機能の搭載。後退時接近車両の存在を知らせる「リヤクロストラフィックアラート(RCTA)」や後側方の死角からの接近車両を知らせる「ブラインドスポットモニタリング(BSM)」を採用している。
フレームは、断面拡大やクロスメンバー配置の適正化などを図り、剛性や安全性を高めながら、軽量化も実現。組み合わせるボディも同様に強度剛性の向上と軽量化を図っている。ボディ剛性は、20%向上。さらにトラックとしての使い勝手を向上させるべく、ルーフ強度も高めている。積載性については荷台のサイズを全ボディタイプで荷台長を延長している。
ボディバリエーションは、2名乗員のシングルキャブ、2名乗員のキャビンの後部に収納スペースを備えたエクステンドキャブ、5名乗車のダブルキャブを設定する。因みに、シングルキャブは、商用に適したシンプル仕様の「SPARK」のみとなる。
パワーユイットは、ディーゼルのみ。従来エンジンをベースに、新開発された3.0L4気筒DOHCディーゼルターボは、最高出力190ps/3600rpm、最大トルク450Nm/1600~2600rpmとパワフルなだけでなく、低燃費と低騒音も自慢のひとつ。1.9L4気筒DOHCディーゼルターボも制御の改善などにより、最高出力150ps/3600rpm、最大トルク350Nm/1800~2600prmを十分な実力を備える。トランスミッションは、グレードにより6速MTもしくは6速ATを組み合わせる。
駆動方式は、基本FRだ。ただ走破性を高めるために、最低地上高を拡大したハイランダー仕様が設定されている。電磁式リヤデフロックを備える4WDは、ダブルキャブのみとなる「V-CROSS」とシングルキャブ「SPARK」にのみ設定される。
タイ王国の自動車ニーズは広がりを見せており、最近だと、世界的に人気の高いSUVやクロスオーバーも好調だと聞く。ただ都市部では、セダンのニーズも高く、ベンツやBMWなどのドイツ高級車も数多く走っている。
一方、郊外や地方の駐車場や街角では、やはりピックアップトラックの姿が多く見受けられる。仕事からプライベートまで幅広く活用でき、車内にもゆとりがある大型キャビンのピックアップトラックの支持層は多いのだ。
そのため、まだまだ市場の規模も大きいといえ、各社共に力を入れている。日本メーカーだけでも、このほかに三菱トライトン、日産ナブラ、トヨタ・ハイラックスレヴォ、マツダBT-50などの車種が投入されている。
さらに海外メーカーでは、フォードやシボレーなどのアメリカブランドに加え、最近は、MGまで参入を始めるなど、まさにピックアップ天国と呼べる環境なのだ。かつて日本でも複数の選択肢があったものの、国内外含めて、タイ生産のトヨタ・ハイラックスのみだ。確かに日本でのピックアップトラックの役目は、限定的となってしまったのも確かだが、SUV人気がここまで高まると、再び一定のニーズは見込めるのではという希望も抱いてしまう。
ただそれも自動車ニーズ自体が落ち込む昨今の状況を見れば、新たなカテゴリーの車種の導入は、非現実的といわざるを得ない。ただ完成度の高いD-MAXなどのピックアップトラックを見ていると、寂しい気分になるのも正直なところだ。
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