1500Wの出力に対応した車種が勢揃い 【クルマと防災①】停電時に電源として使えるクルマはこれ!
- 2020/02/23
- 増谷茂樹
2019年、台風15号では千葉県を中心に93万戸が停電、台風19号では最大52万戸の停電が発生。台風や地震など、災害に関するニュースが世間を騒がせることが多くなってきた昨今、注目を集めているのが、災害や停電の際に役立つクルマです。 インバーターを使わなくても家庭用のAC100V電源を取り出せるクルマが増えています。そんな停電時に電源として使えるクルマを集めてみました。
※記事の一部を加筆修正しました
電気自動車・プラグインハイブリッド車編
外部に電源を供給できるクルマとして、一番に思い浮かぶのが電気自動車(EV=Electric Vehicle。バッテリーの電気のみで走る自動車)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV=Plug-in Hybrid Vehicle。大容量のバッテリーを搭載し、外部からの充電も可能としたハイブリッド車)でしょう。大容量のバッテリーを搭載し、そこから電源供給できるのがEVやPHVの特徴。実際、地震などで被災し停電した地域にこれらのクルマが電源として送られたこともニュースになっていました。

外部から充電可能な大容量バッテリーに加えて、発電用のエンジンを搭載しているのが最大の特徴。バッテリーの電気を使い切っても、エンジンが始動して電源供給を続けられます。一般家庭で使う電力を最大10日分供給(※)できるくらいなので、その実力はかなりのもの。AC100Vのコンセントはセンターコンソールとラゲッジの2カ所に装備され、最大1500Wの出力に対応しています。価格は393万9100円〜。
※三菱自動車による試算。一般家庭での一日当たりの使用電力量を約10kWh / 日として算出、V2H機器等の変換効率は含みません。

同社のEV「i-MiEV(アイ・ミーブ)」や「ミニキャブミーブ」はAC100Vのコンセントこそ装備されていませんが、充電口にオプションの「MiEV power BOX(ミーブ パワーボックス)」を装着することで、最大1500Wの電力を取り出すことができます。一般家庭の約1日分の電力消費量(約10kWh)を利用できるので、非常時や屋外で電源として活用することが可能です。価格は300万3000円〜。

車内に2つのAC100Vコンセントを備えるほか、付属する「ヴィークルパワーコネクター」を使えば普通充電口からも1500Wを外部に給電できる。バッテリーからのみ給電するモードと、バッテリーを使い切ったらエンジンを始動して給電を続けるモードがあり、後者の場合はガソリン満タンで約2日程度の電力(※)を供給できます。価格は323万7300円〜。
※「HV給電モード」時に1500Wの最大出力で使い続けた場合、ガソリン満タン状態から2日程度の電力を供給可能。
ガソリン車・ハイブリッド車編
EVやPHVだけでなく、通常のガソリン車やハイブリッド車でもAC100V電源を使用できる車種が増えています。特に力を入れているのがトヨタで、2020年2月発売の新型「ヤリス」など合計18車種(前述の「プリウスPHV」を含む)、レクサスブランドでも5車種のハイブリッド車に1500Wの外部給電機能を搭載しています。1500Wというと、電子レンジや冷蔵庫などほとんどの家電を動かせる。クルマの走行機能を停止して、発電機のように使用する「非常時給電システム」を搭載している車種もあり、その場合はガソリン満タンで4日程度は給電ができます。

2月発売の新型「ヤリス」のハイブリッド車はラゲッジスペースにAC100Vコンセントをメーカーオプションで選択可。バッテリーから給電する場合でも、フル充電の状態から1500Wで2〜3時間は使い続けることができます。非常時給電システムも装備。ハイブリッド車の価格は199万8000円〜。

グレードによって異なりますが、アクセサリーコンセントが標準装備の上位グレードでは合計5個のAC100Vコンセントを装備。オプション設定のグレードでは3個装備することができる。どちらも出力は合計で1500W。コンセントが装着可能なハイブリッド車の価格は454万7000円〜。

人気のミニバン3兄弟にもハイブリッド車にメーカーオプションとして設定されています。コンセントは前席のコンソールとラゲッジスペースの2カ所で合計1500Wの出力に対応。USB端子も2つセットされます。ハイブリッド車の価格は305万9100円〜。

AC100V/1500Wコンセントはラゲッジスペースに1カ所のみですが、非常時給電システムも装備。ハイブリッド車にオプション設定されているほか、100Wまでの出力であればガソリン車にも装備可能です。ハイブリッド車の価格は326万1500円〜。

ハイブリッド車にはメーカープションでAC100Vコンセントをコンソールボックス背面とデッキサイド左側に設置できる。非常時給電システムにも対応しています。スマホの非接触充電機能も備えています。価格は248万5000円〜(ハイブリッド車)。
そのほかの1500Wのアクセサリーコンセントを装備可能なトヨタ/レクサス車は下記の通りです。
・シエンタ(AC100Vコンセント2個)
・プリウス(AC100Vコンセント2個/非常時給電システム付き)
・プリウスα(AC100Vコンセント2個)
・カローラスポーツ(AC100Vコンセント2個/非常時給電システム付き)
・ハリアー(AC100Vコンセント1個)
・クラウン(AC100Vコンセント1個/3.5L車は非常時給電システム付き)
・カムリ(AC100Vコンセント2個/非常時給電システム付き)
・MITRAI(AC100Vコンセント2個)
・C-HR(AC100Vコンセント1個/非常時給電システム付き)
・LS(AC100Vコンセント2個)
・ES(AC100Vコンセント2個)
・CT(AC100Vコンセント2個)
・UX(AC100Vコンセント2個)
・NX(AC100Vコンセント1個)

最上級グレードの「スパーダ ハイブリッド ホンダセンシング」にはメーカーオプションで、センターコンソールトレーに最大出力1500WのAC100Vコンセントを設置可能。このグレードの価格は364万1000円です。

ハイブリッド車には最大出力1500WのAC100Vコンセントをセンターコンソールに設置可能。2列目シートからもアクセスでき、車中泊などでも活躍してくれそうです。価格は390万7445円〜(ハイブリッド車)。
住宅の電気をクルマでまかなえる!

EVの代名詞的な存在ですが、車体本体には外部給電用のコンセントは装備されていません。しかし、日産では「V2H(Vehicle to Homeの略)」といって専用機器でEVと自宅をつなぎ、家電を動かせる機能も実用化しているので、V2H機器で自宅と車体を接続すれば災害時などに冷蔵庫やエアコンなどを動かすことができます。車体の価格は332万6400円〜。
まとめ
災害などの非常時、大きな問題となるのは電源。従来のクルマはスマホの充電くらいしかできませんでしたが、最大1500Wまで使えれば炊飯器や電子レンジなども動かすことができます。非常時に備えて発電機やポータブルバッテリーを用意している人も少なくありませんが、1500Wの出力が得られるものは限られるので、”大きな発電機”として機能するクルマに買い換えるというのも1つの災害対策になるかもしれません。しかも、クルマは移動が可能なのでキャンプなどアウトドアに出かける際にも利用できる。AC100V電源を備えていることが、今後はクルマを選ぶ際の指針の1つになるかもしれません。
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