日産自動車が高齢ドライバーの安全走行を促進・啓発する「ハンドルぐるぐる体操」を新潟大学と共同で創案
- 2020/03/20
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MotorFan編集部

3月19日、日産自動車は高齢ドライバーの安全走行を促進・啓発するため、このたび新潟大学とともに「ハンドルぐるぐる体操」を制作したことを発表した。この体操は、おもに高齢ドライバーが日々の生活のなかで運動習慣をつけることで、筋力と認知力を高めて安全走行できるよう支援するためのもので、日産と新潟大学が共同でコンセプト検討を行い、新潟大学が体操の内容を創り上げたものである。
いつでもどこでもハンドルを持たずに行うことができ、テレビや音楽を楽しみながら座ったままの姿勢でも一定の効果が期待できる
日産と新潟大学は2018年に、まち・生活・交通を結び、安全な未来を目指す交通安全プロジェクト「トリトン・セーフティ・イニシアティブ」を立ち上げた。それを皮切りに、高齢者の運動・運転機能データの収集とその同期解析、高齢者への健康・交通安全教室、ドライバーに早目の点灯を呼び掛ける、「おもいやりライト運動」等の活動を共同で行っている。
今回発表した「ハンドルぐるぐる体操」は、「トリトン・セーフティ・イニシアティブ」における活動成果のひとつで、新潟大学が取りまとめた高齢者約2000人の運動機能データに基づき、クルマの走行実験による知見も使いながら、高齢ドライバーが簡単で楽しく実践できる体操として制作。またこの体操は、高齢ドライバーだけでなく、運動不足になりがちな方をはじめ、だれにでも勧められるもので、高齢者がその家族や地域住民と一緒に励ましあい、楽しめる運動となっている。高齢者が周辺の人々や社会と一体となり、明るく健康な暮らし、好きなところに安全に移動できることを目的に制作されている。
とりわけ高齢者は運動不足になりがちなことから、徐々に脚腰や腕の筋肉が劣り、筋力が低下した状態となり、加えて脳の指令通りにその筋肉を強く速く、あるいは巧みに動かせなくなるなど、運動機能が劣ってくる。運動機能が劣ると、クルマの運転機能にもさまざまな悪影響が出てくることが新潟大学の研究から分かってきている。
第一に、下半身(とくに股関節周辺)の筋力が低下することで、楽な姿勢をとろうとするために運転姿勢が前かがみに。この前かがみの姿勢によって、メーターパネルを確認するたびに首の余分な上下運動が増え、ドアミラーを確認するたびに体の左右動作が必要になる。これが安全走行を阻害する原因のひとつになる。また、脚を伸ばしたり曲げたりしてブレーキやアクセルを操作する動作がしにくくなると考えられている。
第二に、高齢者は肩から腕の筋力が低下することで、手を伸ばした姿勢でハンドル操作を続けることがつらくなる。とくに長距離ドライブでは背中の筋肉を中心に負担が掛かり、疲労が大きくなりやすい。
第三に、運動機能の低下は認知力低下を招き、前方車両の急ブレーキといったとっさの場面で、適切な運転行動ができなくなると推測される。またスピード感覚や視野機能が劣ってくると考えられており、このようなことから高齢者は、運動機能の衰えとともにクルマを安全に運転することが徐々に難しくなってくる。
「ハンドルぐるぐる体操」は、血流を良くする「リフレッシュ」、少しハードな「筋力アップ」、脳を刺激する「認知力アップ」の3つを用意。どれも覚えやすいように、3秒間4カウントで完結するリズミカルな動きの繰り返しで構成されているのが特徴だ。
●「ハンドルぐるぐる体操」の内容と目的・効果

共通の効果として、以下が挙げられる。
①両手を伸ばしてハンドルを持つことで腕の筋力アップが期待できる。手の位置は胸の高さにして、体から遠いほど効果がある。
②運動習慣をつける(習慣的に筋肉に刺激を与える)ことで、とっさの場面で素早く反応できたり、スピードを認識する能力を高めることが期待できる。
この体操は、クルマの運転前や時間があるときなど、いつでもどこでもハンドルを持たずに行うこともできる。また、テレビや音楽を楽しみながら座ったままの姿勢でも、一定の効果が期待できる。

新潟市と出雲崎町ではすでに、この「ハンドルぐるぐる体操」が高齢者や保育園児に実践されており、好評を得ているという。また高齢者と保育園児が、一緒になってオンリーワンのハンドルを作るワークショップも開始。今後は体操を広めながら、約1年をかけて複数地域、数百名の規模で効果や定着の検証を行うとともに、全国への普及も図っていく予定だ。
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