2代目ジムニー(JA71)に2バーナーとダッジオーブンを積んで肉を焼く【クルマ×アウトドア 】 スズキ・ジムニー+コールマンの2バーナー 「今夜はスペアリブを焼こうと思う。日本・イタリア・アメリカ・インド・スウェーデンの味付けで」
- 2020/08/27
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伊倉 道男
今夜はスペアリブを焼こうと思う。山盛り。愛車のスズキ・ジムニーにコールマンの2バーナーとフライパン、そしてダッジオーブンを積んで出かけよう。ただ焼くだけでは面白くない。和風、イタリアン、アメリカン、インディアン、そしてスウェディッシュな味付けで楽しんでみる。
TEXT & PHOTO◎伊倉道男(IKURA Michio)
キャンパーにとって夜は特別だ。
ある者達は焚き火を囲み、ある者達は酒を呷る。そこでの話は、過去の想い出話がほとんどだ。激寒の正月、秋川でボートから転落したヤツ。そのまま帰ると怒られるので、焚き火で乾かした。なぜに中学生がマッチを持っていたかは定かではない。今考えるとありえないが、自転車の荷台にゴムで留めていたカメラが、走行中に落下。
後から来たクルマに踏まれて見るも哀れな姿。流石に修理不能となり、二度と僕はカメラを買ってもらえないことになる。
バイクツーリング中に先頭車がチェーンが切れて立ち往生。僕はそのチェーンを蛇と思い回避した。古き良き友との想い出。
ソロキャンプでも同じで、心の中は過去を思い出して時を過ごす。これまでに訪れた国、また憧れていた国々。心を癒やすために訪れた島。イタリアのトスカーナ、フータ峠。ドイツの夜のカーニバル。荒涼としたアメリカの砂漠。見慣れぬ文化、目を見張る風景。そしてなにより素敵な女性。
時は流れて、遠くへと憧れていた時代は終わっても、夜は訪れ、また過去へ引き戻されていく。
今夜はスペアリブを焼こうと思う。山盛り10kg、一気に食べる!と言うのは、若いユーチューバーには敵わない。そこで、素材はひとつだけにする。スーパー行くと色々な国の豚肉がある。アメリカ、カナダ、スペイン、イタリア、日本。値段で適当に買っている僕は、普段100g150円ほどの肉を選んでいると思う。食べない骨の分だけ抜いて欲しいと思うのだが、そうはいかない。割高感はある。今回は売り場にあった6パックのうち5パックを買い込む。ごめんね。足しといてくださいね。
さぁ手に入った骨付き肉を各国の味付け、調味料で過去の思いを味わうことにする。インド、イタリア、アメリカ、スウェーデン、そして日本。ドイツは? 実は一番多く訪れた国ではあるのだけれど、あまりドイツ料理を食べた記憶がない。優秀な通訳さんがいつも居てくれたので、メニューを見ることもほぼ無く、「ラムがあれば、それを塩胡椒で。ソースは掛けないでね。酸っぱいキャベツはいらないの、マッシュポテトもいらないの」とお願いするとその通りの料理が出て来たことが多かった。そこで、愛すべきドイツはジャッジとして、すべての国に参加、ポテトになった。器も違う物にしなくてはいけない。
インドはタンドリーチキンのソース。カレー粉、ヨーグルト、醤油、ケチャップ、ガラムマサラ等。予想以上に調味料香辛料を使う。カレーがヨーロッパに伝わり、独自の進化を遂げたように、タンドリーチキンのソースも各国の知恵が入っているのだろう。それなら、鶏以外の食材でも許されそうだ。
アメリカも本場だけに多数の調味料が入る。ベースは摺り下ろしたタマネギに蜂蜜、生姜、レモン、ウスターソース、ケチャップ等。
イタリアはピザソースにバジリコ、バルサミコ酢、ローレル。それに粉チーズとしたが、後から思うととろけるチーズがベストだった気がする。
日本は角煮。醤油ベースで蜂蜜、砂糖。アクセントとしての辛子はやはり素晴らしい。
スウェーデンは肉料理にジャム。当初は違和感ありだった。シンプルに塩胡椒で焼き上げ、ブルーベリージャム。ちょっと違うけれど、ちょっと違うけれど、眼に良いブルーベリーにしてみる。正直、これかなり美味しいのです。ジャムの喉に刺さるような甘さを、肉の脂がマイルドに溶かし、クリーミーな甘さに換えてくれる。
最後に各国のレシピをまとめておきます。でも、良いですか、僕はまだ完成に至っているわけではないので、もちろん自己責任、アレンジはご自由に。
システマティックにフライパンで焼く、そしてダッジオーブンへ。焼き上がったら次へ移る。そうすれば簡単に済むと思っていたが、かなりの時間を費やしてしまう。だが冷めても良いのである。常温で食べるのが、最も味の違いが感じやすい。
夜を迎えて、ひとつひとつ、過去を思い出しながら時と味を楽しんでいると、キャンパー達のテントサイトの明かりもまたひとつ、またひとつと消えていく。
キャンプ場の朝は早い。テントのジッパーを開ける音から始まり、朝食の準備。この音は、台所から聞こえて来た母の包丁の音を思い出す。次に聞こえて来るのは、テントを留めていたペグを抜き、ペグ同士を叩いて土を落とす音。それを聴いているのも僕の楽しみだ。早々に荷物をまとめて、バイクで走り出す者、ゆっくりと朝の珈琲を楽しんでいるグループ。あと少しの時間で、それぞれの未来へ、愛する人の元へと旅立っていく。
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