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世界遺産級の希少車! 「デメキン」こと初期型スバル360を発見

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道の駅を舞台として旧車やスーパーカーを対象としたイベントが開催されることが多くなった。「道の駅おおた」で開催されたサンブレフェスタには、国産旧車のなかで不動の人気を長年維持しているスバル360が登場した。なんとこの個体、1961年に生産された通称「デメキン」と呼ばれる希少な初期型なのだ!

スバル360の初期型「デメキン」。オーナーはほかに2台のスバル360も所有

初期型スバル360。

スバル360は1958年に当時の通産省が提唱した「国民車構想」に則り誕生した。当初は増加試作型として限定的な発売だったが、好評だったことを受けて量産体制に入る。量産後は年々改良を重ねて理想的なファミリーカーへと成長していくが、1962年前期型からのデラックスでは庇付きのヘッドライトへデザインが変更される。63年前期型からはスタンダードモデルもデラックスと同じヘッドライト周りが与えられ、このスタイルが最後まで続くことになる。改良に改良を重ねて1970年まで生産され続けたスバル360だから、残存しているのは圧倒的に後期のモデルが多い。

デメキンと呼ばれるスタイル。

古いスバルクラブのエンブレム。
今回紹介するスバル360は、初期型の特徴であるヘッドライトが出っ張ったスタイルのモデル。庇が付いた以降のモデルと区別化するため、マニアの間で「デメキン」と呼ばれる希少な個体だ。このデメキンは群馬県周辺で開催されるイベントへ出向くと見かけることが多く、ご存知の方もいることだろう。今回はオーナーの長谷川さんに話を聞くことができたので、改めて紹介したい。

長谷川さんがこのデメキンを手に入れたのは昭和61年のことだというから、すでに35年も前のこと。以来、自分でメンテナンスしながら維持されてきたというから驚くばかり。しかも35年の間、カスタムしたりすることもなく購入時のままの姿を保っているそうだ。

EK32型エンジン。

自分でメンテナンスが可能な理由の一つにシンプルなメカニズムが挙げられる。スバル360に採用されたエンジンは、オイルとガソリンを混合する2サイクル方式の空冷2気筒。極初期だとトランスミッションが2輪車と同じコンスタントメッシュ方式だが、60年後期型からは通常のシンクロ方式へ変更される。今回の個体はシンクロタイプのものだから、以降のモデルと互換性が高まり、部品の確保が極初期に比べたらよくなったことも挙げられるだろう。

オーナーが留意しているがブレーキ周りのメンテナンスだそうで、4輪ドラム方式のスバルは制動性能が現代のクルマと比較にならないほど止まらない。定期的なメンテナンスが欠かせない個所なのだ。

シンプルなインテリア。

計器はスピードメーターのみ。
室内をご覧になれば、どれだけシンプルに作られているか一目瞭然だろう。これだけ装備が少ないと壊れる個所も少ないから、逆に言えば維持するのが楽なのかもしれない。

メーターは速度計しか装備されないしステレオはおろかラジオすらもない。快適性をもたらすのはヒーターのみだが、空冷エンジンだから水冷式ほど効きが良くない。それでも走る性能はしっかりしたものだし、これで良いと思えたらそれで良いのだ。

横Hパターンから通常の縦パターンへ変更されたミッション。
ダッシュボードに剥がれかけたステッカーが残っている。これはタコメーターがない代わりに速度により使えるギアの範囲を示したもの。といってもこの時代のスバルは3速MTなので、それほど頻繁にギアチェンジする必要はない。

そのミッション、極初期型はコンスタントメッシュだったと前述した。こちらの場合、シフトパターンが横にシフトするタイプでマニアには「横H」などと呼ばれていた。これがシンクロ方式に切り替わったことで、通常のクルマと同じ縦H式になった。ちなみにシフトの手前にあるのがチョークとヒーターレバーだ。

当時のままのシート。

小さな寸法と排気量ながら大人4人が乗っても山道を登るだけの性能が与えられたことは、スバル360が大ヒットした大きな理由。大人4人が乗ると少々狭く感じる室内だが、このデメキンは新車当時の姿をよく残しているようだ。シートは張り替えた形跡がなく、フロントとリヤシートで色のあせ具合が違う。フロントシートはリクライニングしない時代のもので、リヤに乗り込むときは背もたれだけ前に倒すことが可能だった。

旧車に乗るなら修理やレストアは避けて通れないと思いがちだが、昔から長く自分でメンテナンスされてきた個体なら大掛かりな修理は必要ないのだろうか。そう質問すれば、なんと長谷川さんはスバル360を他にも2台所有されていて、順番に車検を通しているのだとか。なるほどな理由だった。

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