お便り よく耳にするんだけど「キャスター角」ってナニ? の件

投稿者:静岡県/走り屋歴一ヶ月山Pさん

チェンの回答

なかなかマニアックな質問が届いたぞ。きっと走るのが大好きでライディングテクニックだけでなく、もっとバイクのことを深く知りたいんだろうね。「キャスター角」とは、ステアリングの軸の角度を指す言葉で、わかりやすく言うとバイクを真横から見た時のフロントフォークの寝ている角度だ。

もう少し説明すると、フロントタイヤってステアリングステムの中心(トップブリッヂ中央にある大きなナットがある部分)より前方に付いているでしょ? これは直進性を保つための設計で、バイクを寝かせると自然とフロントタイヤが切れていく(セルフステア機能と呼ばれる)のもこのおかげだ。


いっぽうコーナリング性能という観点でみると、キャスター角が立っているほどハンドルを切った際のフロントタイヤの切れ角(舵角)がリニアになり、逆にキャスター角が寝ていると舵角は鈍くなる方向だ。

ちなみにスポーツモデルのYZF-R1のキャスター角は24度で、ツーリングモデルのFJR1300Aは26度となっていて、クルーザータイプだとさらに角度が寝てくる。整理すると、クイックなレスポンスが必要なスポーツタイプはキャスター角が立っていて、コーナリングより直進安定性が重要なタイプは寝ている=求める性能の違いが角度に表れているわけだ。

山Pさんは走り屋だから運動性能を上げる方向にしたいんだろうけど、あんまり極端に変えるのはおすすめしないかな。通常キャスター角の変更はフロントフォークの突き出し量を増やすかリヤショックのイニシャルをアップしてケツ上がりの姿勢にするかだけど、フロントフォークは突き出すことで車高が下がってバンク角が減るし、イニシャルもかけ過ぎれば当然×。数ミリ程度の調整にとどめておこう。

ちなみに、実舵角はバンク角が増えるほどに大きくなる。試しに停止状態でバイクのハンドルを切ったまま寝かして観察してみて。接地面がどんどんフロントタイヤの前方イン側に移動していくから。バイクを寝かせた方が曲がるっていうのはこんなところにも理由があるんだね。そんなことをイメージしながら少しずつ違いを感じでみてね。

1995年に登場したクルーザーモデル
ホンダ・マグナ50(フィフティ)

のキャスター角は32度
50ccモデルながら本格的なアメリカンスタイルを実現している。

まとめ

● 操縦安定性の肝、実舵角に大きく影響する
● 調整は味付け程度で!

著者紹介 チェン

元レースメカニックで、カスタムビルダーや二輪誌編集部員のキャリアを持つ。現在はスーパーモトのレースに参戦し、ハイエースで全国を飛び回っている。

※この記事は月刊モトチャンプ2024年9月を基に加筆修正を行っています