『風を切って走る』バイク乗りにとって甘美な言葉だ。ほかにも「風になる」や「風を抜け」といったタイトルに見られる通り、バイクと風は深い関係にある。そこで活躍するのがスクリーン及びシールドだ。昔からレーサーレプリカをはじめ、アッパーカウル(ビキニカウル)を備えたスポーツモデルやビッグスクーター、ラリーレイドな車両(アドベンチャー)などは標準で装備されている。
ここで言いたいのは、空力やら整流効果、風洞実験、Cd値(空気抵抗係数)などといった難しい話ではなく、主に「身体に浴びる走行風を和らげる」ことだ。東京モーターサイクルショー2026ではスクリーンの専門メーカー『ACRY-Point(アクリポイント)』が出展していたので代表の和田氏に話を伺ってみた。
鈴鹿の老舗ブランド!

「ブランド自体は十数年前にスタートしました。ただOEMとして36年間スクリーンを作り続けてきました!」という老舗だ。バイクの聖地である鈴鹿に拠点を置き、スクリーン製作を一筋に様々なメーカーやレーシングチームなどと関係を築いてきた。

「今回展示しているのは比較的新しいモデル用ですが、TZR250やNSR250などの古い車種用もありますよ」とのことで、スクリーン単体ではわかりにくいかもしれないが、WEBサイトやカタログでは装着画像が掲載されているからイメージもつきやすい。
アクリル素材のメリットは?
アクリポイントのスクリーンはメーカー名からも想像できるように“アクリル”が用いられている。スクリーンの場合、アクリルまたはポリカーボネイトが使用されることが多いけれど両素材はどう違うのか?
「アクリルは加工のしやすさ、そしてクリアな視界が保てるのが大きなメリットですね」。

透明度が高いだけでなく、歪みも少ないのもメリットだ。この相乗効果でクリアな視界がキープできるというわけ。当然、アクリポイントのように高品質な素材を用いているという前提のうえの話だ。
スクリーン越しの景色がクッキリ見えるということは安全性にもつながるし、近年はドライブレコーダーを設置したり、カメラをマウントして動画を撮影したりするケースも多いけれど映りに影響してくるところなので見逃せない。

加工についてもアクリポイントは日本製でほぼ手作業で作られている。ポリカーボネイトはアクリルに比べて衝撃強度に優れる反面キズが付きやすい。また、素材そのままだと対候性に難があり、屋外使用のものはUVカット(紫外線)のコーティングが施されているのがほとんど。

またポリカーボネイトは融点が低く、冷えるのが早いので熱成形が難しかったり、硬いので切削も大変だという。そのため大量生産の純正品などは大規模な機械を導入してのインジェクション成形(射出成形)が多い。こういった理由からアクリルは加工しやすく、クオリティが保ちやすい。アクリルとポリカーボネイトはいずれも一長一短があるけれど、作り手側はもちろん、コストを抑えたいユーザーにとってもアクリルはありがたい素材なのだ。
スモークver.が爆売れ!
アクリポイントのスクリーンは車種専用設計で、クリア、スモークを筆頭に車種によってはミラーやクリアミラー、そしてWGP/全日本ロードレースなどでの経験をフィードバックしたレース専用品も開発している。

和田氏によると「売れ筋は圧倒的にスモークですね。アドベンチャー系はもちろん、SSタイプでもスモークの需要がかなり高いです」。その理由はなんとなくわかる。どうせ変えるなら見た目にも変化をつけたいというのが人情! 例えばレースユースで伏せた状態で走るならいざしらず、ストリートユースなら“車体の見た目”にもこだわってドレスアップ効果を狙うのも一興だ。

デザインについては、純正と対比してサイズアップしながら部分的に膨らませたり“段”を設けるなどして、防風(快適性)を念頭に置きながら極力スタイリッシュにアレンジ。価格は1万円台~とリーズナブルなので気軽に挑戦しやすい。
ここでひとつ注意したいのが「車検」だ。全高が純正(車検証の数値)から±4cm以内に収める必要があり、ロング仕様のスクリーンを装着する場合は純正に戻すなどの対策が必要となる。そのため純正スクリーンは手放さずに持っておこう。

筆者はビッグスクやスポーツモデルなどで顔全体まで覆う超ロング&ワイドな社外スクリーン装着車に何度か乗ったことがある。風切り音がほとんどなく、ダイレクトに風を浴びないから疲れにくいけれどカッコわるいのが難点(笑)。車体の“顔”とも言えるスクリーンで見た目と機能性のバランスを両立させるのは容易ではないのだとあらためて感じた。
(左写真は海外製の超ロングスクリーンを装着したGSR250Fの走行シーン。大きくて風よけ効果は抜群だがそのスタイルは人を選ぶ。
