連載

あのころ、あのとき、あのカタログ 青春型録!

語り合うのはこの2人!

津田洋介:80’sスクーターを中心に往時のバイク文化にあまねく精通する「TDF」代表。
宮崎正行:CB750Fにずっと乗っています。グラトラを格安で手に入れました。気負いのまったくない原付みたいな250です。

83年はいろいろありすぎて津田洋介、覚醒!

メタリックシルバーの女性マネキンが2体……ではなく、きっとこれは近未来のメタファー。旧来のスクーターにあらず、次代のビークルがこの新型スペイシー125なのだというメッセージだ。

──キャッツアイ、キャプテン翼。

津田:はい。

──積み木くずし、金曜日の妻たちへ、おしん、スチュワーデス物語。

津田:はいはい。

──世界まるごとHOWマッチ、全国高等学校クイズ選手権。

津田:はいはい、はい?

──ランボー、汚れた英雄、フラッシュダンス、幻魔大戦。

津田:ちょっと待て。

──そんな1983年に、スペイシー125ストライカーはデビュー!

津田:まさか今回は83年の世相をならべて逃げ切ろうと?

──フレディー・スペンサーがGP500でチャンピオン。

津田:ちょっと待てって!

──まさか、そんなわけないじゃないですか〜。ちなみに津田少年、紅顔の高校1年生ですね?

津田:そうだよ。

──たしかシンクロ部でしたっけ?

津田:美術部だよ! 部長だよ!

──なんだか部長風吹かせて、ヤダな〜権威的〜。では話を元に戻して……えーと、元ってなんだっけ?

津田:スペイシー125。

──そうそう。二輪車で世界初のリトラクタブルヘッドライトですね。

津田:当時はかならず“自動収納式”って併記していたな。スペイシー125は大ざっぱに言うとPCXのご先祖様みたいなバイク。中身の濃い高級路線で企画されたアッパーレンジのスクーターだったんだ。

スペイシー125の志は30年の時を経て大人気PCXにつながっていくのだ

▲今では考えられないほど充実した専用アクセサリー。とくにムートン調の豪華なシートカバーが際立った個性を放つ。しかも降雨時のレインカバー付きと、至れり尽くせりだ。専用ロゴ入りヘルメットもスタイリッシュ!


──どんな中身だったんですか?

津田:エンジンは耐久性と静粛性にすぐれた水冷4ストで、ラジエターはなんとフロントカウルの中に仕込まれている。余熱を利用しての「エア・アウトレット」は、寒い冬でも暖が採れて大助かりって寸法。

──セル始動のみのキックなし。

津田:出力は11psで乾燥重量が108kgだから速いわけでもなく遅いわけでもなく、ってカンジだったな。カタログ公表値の燃費64km/ℓもなかなかのものだったよ。これでメットインだったら現代でも通用するハイスペックだね。

──タンデムだってロング&フラットなシートだからラクチンそう。

津田:加えてトルクセンサー付Vマチックを採用していて、スムーズさとシャープさが両立しています! とカタログに書いてあるな。

──カタログといえば表紙で腕組みしているふたりのマネキン、かなりインパクト強烈ですね。なにを表現しているんでしょうか?

津田:よくぞ聞いてくれた。それはだね、近未来。近未来のイメージ。

──……それだけ?

津田:いやいやまてまて、順を追って解説しよう。まずシュワちゃん主演の『ターミネーター』でヒロインのサラ・コナーが通勤に乗っていたのが、スペイシー125ストライカーなんだ。輸出名はエリート125だね。ボアアップして149ccになったエリート150もラインナップされていたよ。とにかくスペイシーは、あのターミネーターの劇車だったんだよ。スゴいでしょ!

──ええまあ。

津田:反応うすっ! さてはターミネーターのこと、知らないな?

──バレた?(笑)

【津田氏による映画『ターミネーター』『ターミネーター2』の長めのあらすじ解説20分】

▲こちらが1985年のマイチェン後の後期型。壊れやすかったのか? 液晶スピードメーターは廃止されて指針式に、前期型でオプションだったリヤキャリアが標準装備になった。価格は1万1000円アップの28万9000円に。

──……というわけでカタログに話を戻すとつまり、腕組みの銀色宇宙人が『T2』の劇中で出てくる、得体のしれない水銀状のアンドロイド「T‐1000」に見えてくると、そういうことですね?

津田:そういうこと。液体金属ね。

──ややもすると、この広告ビジュアルからジェームス・キャメロン監督がインスパイアされている可能性も否定できない、と。

津田:そういうこと!

──T2の公開された1991年まで7〜8年もありますよ。

津田:構想5年! 製作3年!

──……。ちなみに水銀ちゃんふたりの顔をよーく見ると、撮影スタジオの内部が映り込んでいるのが微笑ましいですね。2019年だったら即フォトショップで修正指示だろうなあ。牧歌的だなあ。

津田:感心はそこか……。

──ちなみに1983年。ホンダだけで3月に発売されたバイクはスペイシーはじめ、タクト・クレージュ、XL125Rパリダカ、MBX125F、CBX400カスタム、C50のスーパーカブとなんと6台! 新型モデルラッシュの熱い時期でした。

津田:83年世相トークには戻らなくていいからね。

──ん? 津田さん大好物のアニメでも? 83年といえばスタジオぴえろの日本初OVAビデオ『ダロス』と『魔法の天使クリィミーマミ』。……いろいろ調べてみましたけど?

津田:くう〜、そう来るか〜。

──84年はテレビ『北斗の拳』、劇場版『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』『風の谷のナウシカ』。

津田:も、もっと攻めて〜(笑)


モトチャンプ

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