遊具から公道へ! “小さいけど安っぽくない”がモンキーの強み
モンキーのルーツは1961年の遊具にさかのぼる。その後、1967年には公道を走れる市販モデルが誕生し、翌1968年には北米市場へ進出。クリスマス商戦では子供へのプレゼントとして「LIFE」誌に広告が掲載されるなど、早くから海の向こうでもユニークな存在として注目されていた。
そして1969年にはホイールを5インチから8インチへ大型化し、フロントサスペンションもリジッド式からテレスコピック式へ変更。さらに、プレスバックボーンフレームが主流だった時代にパイプフレームを採用するなど、大人が乗って遊べるモーターサイクルへと進化していく。
ここで忘れちゃいけないのが、モンキーならではの折り畳み式ハンドル。ステップも折り畳むことができるのは、自動車のトランクなどへ積載することを考えてのものだった。ホンダはクルマ+バイクで遊びに出かける「6輪生活」を提唱しており、モンキーの小ささは単なる見た目ではなく、ちゃんと“遊ぶための小ささ”だったのである。
写真で見ると、前後8インチの小径ホイールに太いタイヤ、コンパクトな車体、そして折り畳めるハンドルという組み合わせはいかにもモンキー。後年になってもこの姿が強烈なアイデンティティとなったのは納得だ。

折り畳み式ハンドルバー
自動車のトランクに積む事を考慮してハンドルバー(ステップも)が折り畳める。ゴリラにはない機能だ。便利だね!

前後8インチホイール
アイデンティティである、小柄なボディを可能にする小径8インチホイール。リム幅やタイヤ幅は前後共に同じ。かわいいね!
6Vから12Vへ。見た目は似ていてもエンジンはちゃんと進化した
長い歴史を持つモンキーだけに、「昔からずっと同じなんでしょ?」と思ったら大間違い。一見よく似たエンジンでも、時代に合わせて中身はしっかり進化している。
1967年からの6V仕様ではポイント式点火を採用。対して1992年には電装系を12V化し、MFバッテリーとCDI点火を採用する。カムシャフトホルダーもベアリング支持となるなど、扱いやすさや信頼性も高められていった。
さらに環境性能への要求が高まった1990年代後半には排出ガス規制への対応も進み、1999年のマイナーチェンジでは型式がZ50JからAB27へ。そして2009年にはついにFI化される。
同じ“横型エンジンのモンキー”に見えても、その中身は時代とともに少しずつアップデートされてきたというわけだ。これだけ長く生産されながら、基本のスタイルを大きく崩さず進化してきたことも、モンキーのおもしろいところだろう。

6V ENGINE
ポイント式点火を採用する6V仕様は1967年~。外観上の大きな違いは、12Vエンジンと比較してジェネレーターカバーが小さい。

12V ENGINE
1992年になると電装系を一新し12V化。MFバッテリーを採用しCDI点火となる。カムシャフトホルダーはベアリング支持に。
「4L」「5L」って排気量じゃない! モンキーはタンク形状で呼ぶ!
そしてモンキーを語るうえで欠かせないのがガソリンタンクだ。
モンキー界隈でよく聞く「4L」「5L」(L=リットル)という呼び方。知らない人ならエンジンの種類か何かと思ってしまいそうだが、これは燃料タンク容量に由来する呼び名だ。
1974年から1977年まで販売されたZ50J/Z50J-IIに採用されたタンク容量は4L。おにぎりのような丸みのあるフォルムから、現在でもカスタム好きにはおなじみの存在だ。
1978年からはモンキーらしいティアドロップ型タンクへ変更。容量も従来の4Lから5Lへ1Lアップし、航続距離を伸ばして実用性も向上した。
さらに同じ1978年に登場した兄弟モデルのゴリラには、なんと9Lタンクを採用。モンキーの倍近い容量を確保し、ニーグリップもしやすいためツーリング派にも重宝された。このゴリラタンクをモンキーへ流用するカスタムも定番のひとつとなった。
4L、5L、そして9L。形を見れば年代やキャラクターの違いが分かり、タンクさえ変えてしまえばそのまま「4L仕様」など、カスタムコンセプトにもなる。モンキーはタンクひとつを眺めているだけでも、けっこう話が尽きないバイクなのだ。

1974年~通称4リットル!Z50J
74年から77年までの4年間販売されたモデル(Z50J/Z50J-Ⅱ)に採用。タンク容量は4ℓで、おにぎりのようなフォルムがカスタムユーザーに人気だ。

1978年~ティアドロップ型!Z50Jz-1
モンキーといえばこのタンク!と言える、ティアドロップ型の伝統的なデザイン。容量は5ℓ(先代は4ℓ)と1ℓアップして航続距離を向上。実用性も高まった。

1978年~ゴリラに採用!Z50J-Z-3
兄弟モデル「ゴリラ」に採用されたタンクで、容量は倍近い9ℓを確保。かわいらしいフォルムは流用するユーザーも多い。ニーグリップしやすくツーリング派にもってこい。
小さい車体から、カスタム文化はどんどんデカくなった
1982年にモトチャンプが創刊したころには、バイクは実用の道具だけではなく、趣味として楽しむ乗り物としてすっかり定着していた。そこで抜群の素材になったのがモンキーだ。
日常のアシとして使ってもいい。ツーリングへ出かけてもいい。ミニバイクレースで速さを追求してもいい。そして何より、いじるのがおもしろい。キタコやスペシャルパーツ武川などから数多くの社外製パーツが登場すると、モンキーのカスタムシーンはさらに加速。排気量アップ、足周り、ホイール、外装、エンジン……小さな車体なのに、遊び方はとんでもなく広がっていった。
バイクブームのなかで数多くのモデルが誕生しては姿を消していった一方、モンキーの名は長い年月を生き抜き、現在は125ccモデルへと受け継がれている。小さいのに安っぽくない。運ぶことも、走ることも、いじることも楽しめる。そして同じモンキーでも、乗る人によってまったく違う姿になる。
「キング・オブ・4MINI」と呼ばれてきた理由は、速さやスペックだけじゃない。何十年経ってもまだ遊び方が尽きない――そこにモンキー最大の魅力があるのかもしれない。
【豆知識】 排ガス規制に対応する新エンジンが登場

地球温暖化が叫ばれ環境意識が高まった90年代。排ガス規制の波が原付にも押し寄せ99年にマイナーチェンジ。型式も「Z50J」から「AB27」系に一新され、09年にはついにFI化。
※この記事は月刊モトチャンプ2024年3月号を基に加筆修正を行っています
【モトチャンプ編集部】