猛烈にパワフルなのに気軽に乗れそう? 最高速123km/hより驚いたのは、扱いやすさだった

「猛烈にパワフルで速い」。それが、KN-YOKOHAMAのBW’S(ビーウィズ)に対する第一印象だった。テストコースで目視確認した最高速は、PCX150(160)やNMAX155など現代の4スト150ccクラススクーターと同等の123km/hだが(ノーマル比+30km/h以上)、このマシンはそこに至るまでの加速が明らかに鋭い。もっともしばらく走行を続けるうちに、僕は速さと同等以上に重要な要素、誰もが気軽に乗れそうな抜群の扱いやすさに、ちょっとした感動を覚えたのだ。

何と言ったらいいのか、このマシンにはチューニング車特有の気遣いが必要ないのである。始動性はどんな状況でも良好だし、チューンド2ストマシンにありがちなシビアさは皆無で、スロットル操作に対する反応は素晴らしく従順。そして冷却方式が空冷なのに、4回連続の最高速テストを含めてかなり開け開けで走っても、エンジンや駆動系がタレる気配は感じられなかった。だからこそ、2ストエンジンならではの軽快で爽快なフィーリングだけを思いっ切り堪能できた。

MACHINE:YAMAHA BW’S100 BUILDER:KN-YOKOHAMA

ハンドルネックを15mmカットしてカウルとのすき間を詰めている。リヤショックはシャークファクトリー製K1HLを採用。装着タイヤはダンロップTT93GP(前:120/70-13・後:130/70-13)。

キャブレター車では届かない“FI化”の恩恵

「現状のパワーはスタンダードのほぼ倍となる14psで、その気になればさらに10ps以上は出せますが、普段使いを意識しましたからそう思ってもらえたなら何よりです。なお扱いやすさに関しては、気化器のFI化が非常に大きいですね。当社の121ccボアアップキットやスポーツマフラーなどを投入すれば、同じくらいのパワーは獲得できますが、ここまでの扱いやすさは、キャブレターでは実現できないんですよ」

そう語るのは、KN-YOKOHAMAの佐々木さん。これまでに多種多様なスクーターのチューニングを手がけて来た佐々木さんにとって、今回の空冷2スト+FIは、既存の技術の集大成であると同時に、新しい挑戦だったと言う。なおaRacer製のフルコンを用いたFI化には、燃料噴射量に加えて、点火時期が自在に調整できるという美点もあり、セッティングを通して佐々木さんの、4ストとは傾向の異なるFIと2ストに対する理解度は今まで以上に深まったそうだ。

FI化のキモとなるECUはシグナスX用を使用。そのためハーネス(配線)もシグナスX用を加工する。

φ36mmスロットルボディはKOSO製のシグナスX系用で、今後はダウンドラフトφ40mm+ツインジェクターを検討中。KN企画製ビッグエアボックスを採用するため、吸気音はとても静か。インジェクターはKN企画製シグナスX用240ccタイプ。

スマートフォンでセッティングできるのもFI化のメリット。感覚を数値化できるためより細かな煮詰めが可能だ。

増えたパワーを受け止める足周りも重要

さて、パワーユニット関連の話が続いたけれど、足周りの全面刷新でシャシー全体の包容力が大幅に上がっていることもこのマシンの扱いやすさを語るうえでは欠かせない要素。逆に言うなら車体がノーマルのままでは、増大したパワーを存分に楽しむことは難しかっただろう。

チューンド2ストと言えば、速さと引き換えに気難しさが出るイメージもある。だが、このBW’S100はFI化によって燃料と点火を細かく制御し、速さだけでなく扱いやすさまで手に入れている。キャブ車をただ速くするのではなく、現代的な制御で“使える速さ”へ仕立てる。そこにKN YOKOHAMAのノウハウが詰まっているのだ。

左がKN-YOKOHAMAの佐々木さんで、右がライター中村。2人とも大の2スト&レース好きで話は大いに盛り上がった。

DETAIL_POWER TRAIN

強化ベルト、スーパーアルミビッグセカンダリキット、軽量CNCクラッチアウター、強化クラッチなど、駆動系はすべてKN企画製。加工せずに使用している。ちなみにハイスピードプーリーとドライブフェイスはJOG90用を流用。パーツセレクトのノウハウは佐々木さんの得意とするところ。

排気量を101→121㏄に拡大する、PORT9 BIGボアキットでパワーアップ。シリンダーは内壁がニカジルメッキ仕上げのアルミ製で、排気ポートはリブ付き。ロングストローククランクにも対応する。

装着パーツに関する問い合わせ KN-YOKOHAMA(045-593-9402)

DETAIL_METER

メーターは多機能さがウリのKOSO 製RX2N+LCDをインストール。

FI 化に欠かせないaRacer 製モニター。ECUに繋がっていて表示可能な項目は10以上。撮影時はヘッド温度、空燃比を表示。

DETAIL_FOOT WORK

フロントの足周りは、KN企画製シグナスX用スーパーフロントフォークに、ENERGUMEN製φ245mmディスクローターを組み合わせる。ホイールは他機種流用で、前後10→13インチ化。

ラジアル式ブレーキマスターと、CNCバックミラーはRCB製。バーエンドはKN企画製チャンピオンバーエンド。

DETAIL_LIGHTS

マシンのデザインを考えるうえで、佐々木さんは丸型に留意。フロントウインカーはKOSO製フレームライトキットを採用。

純正レンズを活かしたテールランプ+リヤウインカーも丸型で、いずれもLED化。シートは丸直でウレタン加工と表皮張り替え済み。

※この記事は月刊モトチャンプ2020年11月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】