連載

西川淳の自動車1Weekダイアリー

近所のお寿司屋さん(私のFacebookより改稿のうえ転載)

安くて旨い寿司屋がある、というので行ってみた。店名を抜いた黄色い暖簾から、8人掛けのカウンターと2つのテーブルという清潔な店内まで、瞬間的に”落ち着ける”タイプの店だった。カウンターの向こうには見るからに職人な主人がいて、奥様と娘さんだろうか、厨房とテーブルとを行き来している。カウンターに陣取ると、娘さんが近寄ってきた。笑顔で「イラッシャイマセ」。どうやら海外の方のようだ。ビールを頼んで耳を立てていると、厨房から中国語の会話が聞こえてきた。私の様子に主人が気づいて、「2人ともまだ日本に来たばかりでシテ」、と、こちらも少し訛りがあった。「実は私も中国人で、最近、妻と娘を日本に呼びよせたんです。この店を開くことになったから」。

そんなこともあるのだろう。なにせ“日本の鮨”は今、世界的に人気だ。ちょっと心配したけれど、雰囲気は他の寿司屋と変わらないことだし、主人との会話にも支障はなかった。何より、その後は大いに料理と酒を楽しんだのだ。庶民的な店で、高価な材料はほとんど使わない。日本の有名店で修行されていたらしい。だから腕前はさすがで申し分ない。ちょっと面白いアテも出た。そういう意味では鮨の本質を突いた本格派。都会で店を出しても十分通用する。とにかく日本の本格的な鮨が好きで、歴史もしっかり学んだ。いつかは自分の店を出す。それが夢だった。そしてついに念願が叶った。仕入れや店舗のデザインも修行した師匠の店とほとんど同じ。そりゃ心地よく楽しめて当然だ。しかも安い。これは面白い店を見つけた、と、寿司好きが集まるSNSでこの店の情報をありのまま流してみたところ、思わぬ反応が来た。

「中国人が握った寿司なんか食えるか! 気持ちワリィ」え? なになに、どうした?「どうせすぐに潰れるよ。お腹を壊さないようにね」「海外の寿司屋は大抵中国人の経営でご飯に生の魚を載せただけで売ってます。産地偽装も多いよー」「寿司は日本の伝統です。C国の人にわかるはずがない」と、続いた挙句、「日本の魚に難癖つけて輸入しなかったくせに、周辺海域では魚を獲り漁っています。とっとと帰って、あっちで握れ!」だの「きっと全部タダにしてもらったんでしょ? 金一封付きで、ね、インフルエンサーさん!」だの、果ては「そいつはきっと中国のスパイ」「あなたは中国の回し者だったの? それとも若い店員さんのハニートラップにかかった?」と、まぁ、罵詈雑言のアメアラレ。もちろん、なかには「誰が握っても美味ければ良い。食べたい人が食べればいい」といったニュートラルな意見もあったけれど……。

私にだって食べる前には、中国人が握る鮨という違和感が確かにあった。食べみればそんなことを思った自分が恥ずかしくなるほど旨かったので、ただその事実を書いただけなんだけれど……。その寿司屋の名を、『夢の海獺寿司』という。海外での出店も視野に入れている、かも知れない。(架空の物語です)

2026年8月第1週

2026年8月1日(土)晴れ

秘密のガレージパーティにて
秘密のガレージパーティにて

早朝、「DS ナンバー8」を北野天満宮前にていつもの取材撮影。軽く充電後、午前中は原稿執筆。午後、名古屋へ向けてDSで出発。途中、高速のサービスエリアで充電しようとつないでみたら、エラーに。他の充電器でもエラー。続く2ヵ所のパーキングエリアでもエラー続き、仕方なく名古屋のホテルまで我慢走行。バッテリー残3kmで市内のホテル着。ホテルには充電器があったけれど、ソケットが合わずに断念。とりあえずクルマのことは忘れて、お迎えの「ベントレー ミュルザンヌ」に乗り込んだ。この夜は秘密のガレージパーティ。オーナーがマシントレーニングに凝っていて、ガレージの脇にイチローばりのトレーニングルームがあるのだが、パーティ参加者は彼のパーソナルトレーナーから直々にトレーニングの基礎を習ってから席に着く、という超面白い趣向だった。20年前にハマっていた筋トレ。気持ち良くて、再びちょっとやりたくなった。パーティは前回と同様に仲間の手作り料理。プロ顔負けの料理上手に舌を巻きつつ舌鼓を打つ。名古屋のガレージパーティは熱い。名古屋泊。

2026年8月2日(日)晴れ

メルセデス・ベンツのショールームにて。
メルセデス・ベンツのショールームにて。

起きてからが問題だ。気になって夢にまでみたほどだ。残り3kmのバッテリー、どうするか。しかもこの日は御殿場まで走らなければならない。一時は電車かバスで行くことを考えたけれど、そのあとまた東京まで移動する手間を考えると、放ってはおけない。Googleマップで検索。近くに日産とベンツのディーラーがあったので、まずは日産を試す。ヤッホー! やっと充電できた。半時間つなぐも御殿場までは行けない。とはいえ、営業中のディーラー(しかもルノーのショールーム脇)の充電スペースをこれ以上占有するのも気が引ける。近くのベンツにも行ってみることに。また、できた。半時間。これでまずは御殿場までいける。それにしても日産もベンツも、他ブランドの充電利用に総じて“優しい”。涼しい店内でコーヒーでも、と誘ってくれる。充電後、東へ。静岡SAで念の為、充電を試す。今度はできた。昨日の連続エラーはいったい、なんだったのだろう? 夜はBYDオートジャパンの東福寺社長や、話題の元日産、田川さんたちと会食。御殿場泊。

2026年8月3日(月)曇り

富士スピードウェイホテルで「BYD ラッコ」の試乗会。EPSのセッティングやタイヤのクオリティ、インテリアの見栄え質感など、気になる点も多々あったけれど、そんなことよりも車体やシャシーのポテンシャルの高さに驚いた。これはこれからどんどん良いクルマになっていく。この車台を使って、いろんな軽自動車を作ってみればいいとも思ったほどだ。午後、DSを三田で返却後、新幹線に飛び乗って京都へ帰る。夜は歯の主治医が主催する食事会へ。「KARAAGEYA」の店名通り、唐揚げのコース仕立て。天ぷら屋の唐揚げ版、とでも言いましょうか。世界を唐揚げで幸せにするのだそうで。面白い。

2026年8月4日(火)曇り

飛鳥川上坐宇須多岐比賣命神社にて。
飛鳥川上坐宇須多岐比賣命神社にて。

朝から奈良で冬のイベントの打ち合わせ。会場となる明日香村にも出向き、参加者によるふるさと納税の活用などを議論する。合間に、以前より気になっていた神社を参拝。アスカカワカミニイマスウスタキヒメノミコト神社という。漢字で書くと、飛鳥川上坐宇須多岐比賣命神社。漢字で長く表された名前の神社は古いらしい。「飛鳥・藤原クラシックカーフェス2026」は、世界遺産に登録されたばかりの明日香村を巡るパレードなど盛りだくさんのコンテンツで皆様の参加をお待ちしております! 詳細は決まり次第、また改めて。午後、京都の自宅に戻り、原稿。

2026年8月5日(水)晴れ

BMW 330Ci カブリオレ
BMW 330Ci カブリオレ

愛車の「BMW 330Ci カブリオレ」で鈴鹿へ。秘密のミッションをこなすも、夕方には京都に戻って、翌日に控えた某誌のロケの下見に立ち会う。いつも強引なフリの後輩編集者なのだが、なぜか力になってやろうという気にさせる。

2026年8月6日(木)晴れ

上七軒にて
上七軒にて

早朝より北野天満宮で某誌のロケ。久しぶりにトミーカイラ創始者の富田義一さんと上七軒の洋食屋「グリル彌平」でランチ。日替わりが大好きな“煮込みハンバーグ”でラッキー。午後、原稿。夜は大阪の有名な焼肉店「京洛焼肉ぽめ」で暑気払い。

2026年8月7日(金)晴れ

門前仲町のイタリアン「ブカマッシモ」にて。
門前仲町のイタリアン「ブカマッシモ」にて。

午前中に新幹線で東京へ向かう。この世代はこれで乗り納めになるかもしれない「BMW 3シリーズ」のPHEVをピックアップ。さらに話題のBYDラッコも借り受ける。ディナーは某誌編集者と久しぶりに門前仲町で。年末のイベントに向けて有意義な打ち合わせとなった。イタリアン「ブカマッシモ」でTボーンステーキを平らげた。都内泊。

2026 8/1〜2026 8/7

走行距離 約600km 試乗車数 4台

2025 11/1〜2026 8/7累計

走行距離 約4万5200km 試乗車台数 182台

フィアット 500e ジョルジオ アルマーニ コレクターズ エディション

京都〜東京往復で「BEVは電化製品」という事を痛感【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.38】

スーパーカー界の重鎮、モータージャーナリスト西川淳。この連載は、昨年還暦を迎えた氏が、日々どんなクルマに乗って、何を感じたのか徒然なるままに語るものである。果たして今週はどこで何をして過ごしたのか?

連載 西川淳の自動車1Weekダイアリー

BYD ラッコ
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お寿司屋さんの夢を見て日本人のプライドを考えた【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.39】

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モーガン スーパースポーツで岡山国際サーキットへ。
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左車線が空いている高速道路は中央ではなく左を走る【西川淳の自動車1WeekダイアリーVol.37】