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Lamborghini Gallardo
デザインを一新しパワートレインに改良を加えた後期型
2003年のデビューから5年、ガヤルドにビッグマイナーチェンジが施された。参考までに2003年から2008年までの5年間にデリバリーされたガヤルドは、トータルで約7100台。ランボルギーニは2008年の時点では年間の世界販売で2500台という数字を狙っており、そのうちガヤルドが約2000台を担うという計画だったから、いかにガヤルドが重要なプロダクトであったのかはここからも明らかだ。
2008年のジュネーブ・ショーでワールド・プレミアされたマイナーチェンジ版のガヤルドは、新たに車名にエンジンの搭載方法と最高出力、そして駆動方式を示すコードが加えられることになった。ジュネーブで初披露されたのは、今後ガヤルドのスタンダードモデルとなるはずの「LP560-4」で、これは560PSのV型10気筒エンジンを縦置きしミッドに搭載する4WD車であることを意味する。これはそのネーミングを見ただけで、それがどのようなパフォーマンス、そして性格を持つモデルなのかを想像することができるという、当時のランボルギーニ社CEO、ステファン・ヴィンケルマンの考えによるものだった。
直噴方式を採用し最高出力は560PSにアップ
実際に見るマイナーチェンジ版のガヤルドは、さらにエクステリアデザインが洗練されたものになったことがまず印象的だった。その改良策はいずれも機能性を向上させるための策で、フロントのバンパースポイラーに備わる左右一対のエアインテークはラジエーターの冷却性能をさらに高めるために開口面積が拡大され、その中央にもコンパクトなインテークとダウンフォースの増大に貢献するウイングが組み合わされているのが分かる。デザインを一新したヘッドランプはバイキセノンランプの下にデイタイムランニングライトを一体化した斬新なデザイン。LEDをY字型に配置する手法はテールランプとも調和しており、その後のランボルギーニ車にも継承されていくアイコン的なデザインともなった。
560PSを発揮するV型10気筒エンジンは、排気量を5204ccに拡大するとともに、新たに燃料の直噴システムを採用したのが大きなトピックスだ。組み合わせられるトランスミッションは6速のMT、もしくはeギア。後者ではコルサ・モードが新採用され、シフト時間はこれまでのものより40%も短縮されたという。駆動方式はビスカスカップリングによる4WDで、前後の駆動力配分はこれまでと変わらない。
ディアブロ SV以来となる後輪駆動モデルもリリース
このLP560-4から、2013年までの間に驚くほどの数のモデルを派生していったのも、マイナーチェンジ後のガヤルドの特徴だ。2008年のLAオートショーでは、カリフォルニアを世界で最大の市場とする「LP560-4スパイダー」を発表。2009年にはランボルギーニの創業直後からメカニックとして、またテストドライバーとして勤務し、退職後にはブランド・アンバサダー的な役割も果たすヴァレンティーノ・バルボーニ氏に敬意を表して、ランボルギーニにとっては実にディアブロ SV以来となるRWDモデル「LP550-2ヴァレンティーノ・バルボーニ」を250台の限定車として発表している。
ちなみにこのRWDモデルの人気は高く、ランボルギーニは2010年には「LP550-2」をカタログモデルに加え、翌2011年にはそれをベースにイタリア統一150周年を記念した特別仕様車「LP550-2 トリコローレ」もリリースしている。
後期型ガヤルドは数々の派生モデルを生み出し一世を風靡した
2010年にはマイナーチェンジ前に好評だったスーパーレジェーラが「LP570-4 スーパーレジェーラ」として復活を果たした。ベースのLP560-4から70kgの軽量化を果たし、エンジンを570PS仕様としたこのモデルは、独自のエアロ・エクイップメントの装備などでも人気を博したモデル。
その後もさらなる軽量化を施したスーパートロフェオなど進化を続け、ランボルギーニのファンを楽しませてくれたガヤルドの進化は、その生産が終了する2013年まで終わることはなかった。それは熱狂的なカスタマーやファンに対する、ランボルギーニの誠意ともいえたのではないだろうか。
SPECIFICATIONS
ランボルギーニ ガヤルド LP560-4
発表:2008年
エンジン:90度V型10気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:5204cc
圧縮比:11.0
最高出力:412kW(560PS)/8000rpm
最大トルク:540Nm/6500rpm
トランスミッション:6速MT/6AT(eギア)
駆動方式:AWD
車両重量:1410kg
最高速度:325km/h
解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)