【ランボルギーニ ヒストリー】派生モデルを多数輩出したガヤルド後期モデル

「V10が直噴になっただけではない」磨きがかかった後期「ガヤルド」の魅力(2008-2013)【ランボルギーニ ヒストリー】

【ランボルギーニ ヒストリー】派生モデルを多数輩出したガヤルド後期モデル
ランボルギーニの歴史を語るうえで欠かせないヒット作となったガヤルド。写真は後期モデルのLP560-4。
V10エンジンをミッドに搭載し、ウルスが誕生するまではランボルギーニ史上最大のヒット作になったガヤルド。特に後期は多彩な派生モデルを生み出し、バラエティあふれるラインナップも大きな魅力だ。

Lamborghini Gallardo

デザインを一新しパワートレインに改良を加えた後期型

後期型としてデビューしたガヤルドはLP560-4の車名を与えられ、エクステリアはよりモダンかつスポーティに改められた。

2003年のデビューから5年、ガヤルドにビッグマイナーチェンジが施された。参考までに2003年から2008年までの5年間にデリバリーされたガヤルドは、トータルで約7100台。ランボルギーニは2008年の時点では年間の世界販売で2500台という数字を狙っており、そのうちガヤルドが約2000台を担うという計画だったから、いかにガヤルドが重要なプロダクトであったのかはここからも明らかだ。

2008年のジュネーブ・ショーでワールド・プレミアされたマイナーチェンジ版のガヤルドは、新たに車名にエンジンの搭載方法と最高出力、そして駆動方式を示すコードが加えられることになった。ジュネーブで初披露されたのは、今後ガヤルドのスタンダードモデルとなるはずの「LP560-4」で、これは560PSのV型10気筒エンジンを縦置きしミッドに搭載する4WD車であることを意味する。これはそのネーミングを見ただけで、それがどのようなパフォーマンス、そして性格を持つモデルなのかを想像することができるという、当時のランボルギーニ社CEO、ステファン・ヴィンケルマンの考えによるものだった。

直噴方式を採用し最高出力は560PSにアップ

従来モデルからアップデートされた5.2リッターV10エンジンは直噴方式を採用し、最高出力560PS/最大トルク540Nmを発生した。

実際に見るマイナーチェンジ版のガヤルドは、さらにエクステリアデザインが洗練されたものになったことがまず印象的だった。その改良策はいずれも機能性を向上させるための策で、フロントのバンパースポイラーに備わる左右一対のエアインテークはラジエーターの冷却性能をさらに高めるために開口面積が拡大され、その中央にもコンパクトなインテークとダウンフォースの増大に貢献するウイングが組み合わされているのが分かる。デザインを一新したヘッドランプはバイキセノンランプの下にデイタイムランニングライトを一体化した斬新なデザイン。LEDをY字型に配置する手法はテールランプとも調和しており、その後のランボルギーニ車にも継承されていくアイコン的なデザインともなった。

560PSを発揮するV型10気筒エンジンは、排気量を5204ccに拡大するとともに、新たに燃料の直噴システムを採用したのが大きなトピックスだ。組み合わせられるトランスミッションは6速のMT、もしくはeギア。後者ではコルサ・モードが新採用され、シフト時間はこれまでのものより40%も短縮されたという。駆動方式はビスカスカップリングによる4WDで、前後の駆動力配分はこれまでと変わらない。

ディアブロ SV以来となる後輪駆動モデルもリリース

ランボルギーニの伝説的なメカニック、ヴァレンティーノ・バルボーニの名を冠した「LP550-2 ヴァレンティーノ・バルボーニ」。4輪駆動ではなく後輪駆動を採用したのが大きなトピックだった。

このLP560-4から、2013年までの間に驚くほどの数のモデルを派生していったのも、マイナーチェンジ後のガヤルドの特徴だ。2008年のLAオートショーでは、カリフォルニアを世界で最大の市場とする「LP560-4スパイダー」を発表。2009年にはランボルギーニの創業直後からメカニックとして、またテストドライバーとして勤務し、退職後にはブランド・アンバサダー的な役割も果たすヴァレンティーノ・バルボーニ氏に敬意を表して、ランボルギーニにとっては実にディアブロ SV以来となるRWDモデル「LP550-2ヴァレンティーノ・バルボーニ」を250台の限定車として発表している。

ちなみにこのRWDモデルの人気は高く、ランボルギーニは2010年には「LP550-2」をカタログモデルに加え、翌2011年にはそれをベースにイタリア統一150周年を記念した特別仕様車「LP550-2 トリコローレ」もリリースしている。

後期型ガヤルドは数々の派生モデルを生み出し一世を風靡した

スーパーレジェーラ(=超軽量)の車名を戴く「ガヤルド LP570-4 スーパーレジェーラ」。ベースモデルのLP560-4から70kgもの軽量化を果たしている。

2010年にはマイナーチェンジ前に好評だったスーパーレジェーラが「LP570-4 スーパーレジェーラ」として復活を果たした。ベースのLP560-4から70kgの軽量化を果たし、エンジンを570PS仕様としたこのモデルは、独自のエアロ・エクイップメントの装備などでも人気を博したモデル。

その後もさらなる軽量化を施したスーパートロフェオなど進化を続け、ランボルギーニのファンを楽しませてくれたガヤルドの進化は、その生産が終了する2013年まで終わることはなかった。それは熱狂的なカスタマーやファンに対する、ランボルギーニの誠意ともいえたのではないだろうか。

SPECIFICATIONS

ランボルギーニ ガヤルド LP560-4

発表:2008年
エンジン:90度V型10気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:5204cc
圧縮比:11.0
最高出力:412kW(560PS)/8000rpm
最大トルク:540Nm/6500rpm
トランスミッション:6速MT/6AT(eギア)
駆動方式:AWD
車両重量:1410kg
最高速度:325km/h

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…