トヨタ・東電HDが、電気自動車用蓄電池を活用した定置用蓄電池システムを開発。実証実験を今年秋ごろから実施。

電気自動車用蓄電池を活用した定置用蓄電池システムの実施体制
東京電力ホールディングス(以下、東電HD)とトヨタ自動車は、東電HDの「定置用蓄電池の運用技術・安全基準」とトヨタの「電動車用蓄電池のシステム技術」を融合した定置用蓄電池システム(出力1MW、容量3MWh)を開発したことを発表した。このシステムは、豊田通商とユーラスエナジーホールディングスが、ユーラス田代平ウインドファームへ導入し、本年秋頃より4社が連携して、実証試験(以下「本実証」)が行われる。

定置用蓄電池システム開発の概要

蓄電池市場は、再生可能エネルギー発電や、電気自動車・ハイブリッド車などの電動車の普及、世界的なカーボンニュートラルの潮流などを踏まえ、今後も拡大していくことが見込まれている。そのような中、環境・経済性向上、電力市場への参加、さらにはBCP対策など増加する蓄電の需要・ニーズに、価格と量の両面から応えるため、今後は電動車用蓄電池の活用が必要とされる。

このような背景のなか、トヨタと東電HDの両者は、電気自動車用蓄電池を複数台連結させ、既製のPCS※2と組み合わせて利用できる定置用蓄電池システムを共同で開発した。本実証では、このシステムの動作・性能及び事業用途での電力市場への供出も含めた実現可能性が確認される。

東電HDは、これまでの電気事業で培った知見や技術力を、顧客の再生可能エネルギー利用率の向上やBCPニーズへ応えつつ、電力の需給バランス維持へも活用し、エネルギーの安定供給システムが構築される。

トヨタは、カーボンニュートラルなモビリティ社会と、サーキュラーエコノミー(資源循環型の経済システム)の実現に向けた様々な活動の一環として、豊田自動織機、豊田通商、デンソーと連携を図り、安全・長寿命・高品質・良品廉価・高性能な電動車用蓄電池の活用に取り組んでいく。

実証スケジュール

  • 2023年夏頃 設備構築、蓄電池システム評価
  • 2023年秋頃 実証試験開始

以降、数年程度の実運用をもって、運用・性能評価を予定

※1 ユーラス田代平ウインドファーム:豊田通商子会社の、ユーラスエナジーホールディングスが所有する大規模風力発電所

※2 PCS 蓄電池を直流電源として接続し、電力系統や各種電気機器に交流電力を供給する設備

※3 EMS エネルギーマネジメントシステム

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