車両保険でカバーできるのは? 地震、集中豪雨、ゲリラ豪雨、雹(ひょう)や霰(あられ)、隕石……

7月は「数十年に一度の豪雨」が集中する季節。大雨だけでなく、雹(ひょう)や霰(あられ)、台風、竜巻など、自然災害による被害が増えている。それにともなって愛車が被害に遭うケースも想定しておく必要がある。まずは的確な避難だが、被害に遭ってしまったときの補償(車両保険)についても事前に調べておきたい。

最近、自然災害が増えている。とくに「数十年に一度の豪雨」の際に出る大雨特別警報は7月上旬に集中しているという。2017年以降、7月1~10日の間は豪雨災害で大きな被害が出ている。線状降水帯の発生もこの時期に発生することが多い。まずは、地方自治体などが出しているハザードマップなどをチェック。気象情報を的確に収集して、事前の避難を心がけたい。それでも愛車に損害があった場合は……自動車保険の出番である。

自動車保険は、「自賠責保険(強制保険)」と「自動車保険(任意保険)」のふたつに分けることができる。自賠責は加入が法律で義務づけられている。

任意保険は事故の「相手方への補償(対人賠償、対物賠償)」「自分自身・搭乗者への補償(人身傷害、搭乗者傷害、自損事故、無保険車傷害など)」、「クルマの補償(車両保険)」がある。

最近増えている自然災害によるクルマの被害をカバーするのは、車両保険である。

車両保険は、大きく分けて「一般型の車両保険」「限定型の車両保険」の2種類がある。限定型は一般型より補償の範囲を限定していて、その分保険料が安くなる。

一般型は、電柱、ガードレールに衝突等の単独事故、当て逃げ、転落・転覆、自転車との衝突・接触などほとんどの車両事故が対象となる。

では、自然災害による被害について見ていこう。

地震による被害=× 補償されない

最近、地震が増えている気がする。南海トラフ、首都直下地震、相模トラフ沿いの海溝型地震、中部圏・近畿圏直下型地震など、想定される大地震もある。ところが、補償範囲の広い通常の一般型の車両保険でも地震による損害は補償の対象外だ。噴火、津波(地震、噴火による)による損害も補償外である。クルマは火災保険で補償される家財の範囲にも含まれない。地震保険でも補償対象にならない。

車両保険で地震や津波、噴火を補償対象にするには、「地震・噴火・津波危険『車両全損時一時金』特約」といった特約をつける必要がある。内容は保険会社によって違うが、『車両全損時一時金』とあるように、全損になったとき一時金が出る、といった内容が多い。

台風・洪水・高潮=○ 補償される

「一般型の車両保険」「限定型の車両保険」どちらも、大雨による冠水でクルマが水没して故障した場合も補償対象となる。

大雨による冠水でクルマが水没。エンジンや電気系統に水が浸入して壊れてしまった場合は、外観に影響はなくとも修理ができずに廃車になる場合もある。この場合は「全損」扱いとなり、契約時に設定した保険金額全額が支払われる。

自動車保険を使うと等級は当然下がる。等級が下がれば翌年の保険料は上がってしまう。他のクルマとの衝突・接触事故で車両保険を使うと等級は3つ下がるが、大雨による冠水での水没では等級は1つ下がる。大雨による冠水以外にも高潮や堤防の決壊による洪水を原因とした水没も補償の対象となる。

雹(ひょう)や霰(あられ)による損害=○ 補償される

雹、霰による損害は、一般型、限定型の車両保険、どちらも補償対象となる。これは、物の飛来・落下による被害だ。こちらも保険を使った場合は翌年の等級は1つ下がる。

ちなみに、雹も霰も氷の塊だが、違いは大きさ。直径が2~5mmのものを霰、5mm以上になると雹と呼ぶ。雹はゴルフボール大から場合によっては野球のボールほどの大きさになることもあるという。50mm程度になると落下速度は時速100kmを超えるというから、クルマへの被害も大きくなるのだ。

竜巻による被害=○ 補償される

竜巻でクルマが巻き上げられて損害が出た場合、これは一般型、限定型の車両保険、どちらも補償対象となる。

倒れてきた木がクルマを直撃した場合の損害は、これは一般型、限定型の車両保険、どちらも補償対象となる。土砂崩れに巻き込まれてクルマが埋まってしまった場合も同様だ。

隕石=○ 噴火による岩石の飛来=×

めったにない(!)ことだが、隕石が降ってきてクルマにあたった場合は、隕石は飛来物なので車両保険で補償される。
ところが、火山噴火で火山灰、岩石が飛んできた場合は、噴火が原因なので車両保険の補償の対象外となる。

ほかに補償されない主なものは

・契約者、被保険者または保険金を受け取るべき人の故意または重大な過失によって生じた事故による損害
・戦争、外国の武力行使、革命、反乱、紛争、核燃料、放射能等によって生じた損害
・国・公共団体の公権力の行使、詐欺・横領による損害
・レース・ラリー等の競技・曲技に使用すること、またはこれらを行なうことを目的とする場所において使用することによって生じた損害
・危険物を業務として積載または牽引していることによって生じた損害
・航空機・船舶で輸送中の損害
・欠陥、自然消耗(摩滅、錆び、腐食等)による損害
・故障(電気的・機械的故障)による損害
・取り外された部品や付属品の損害、定着されていない付属品、タイヤのみに生じた損害
・酒気を帯びた状態、無免許、麻薬吸引等の状態での事故による損害

となっている。まずは、自分が加入している保険の内容を確認しておこう。

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