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NTT、トヨタ自動車:業務資本提携に合意

  • 2020/03/25
  • Motor Fan illustrated編集部
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スマートシティプラットフォーム

3月24日、トヨタ自動車と日本電信電話(NTT)は、両社の取締役会において、両社間で価値観を共有し社会の発展をめざすコアなパートナーとして、住民のニーズに応じて進化し続けるスマートシティの実現をめざし、スマートシティビジネスの事業化が可能な長期的かつ継続的な協業関係を構築することを目的として、業務資本提携に関する合意書を締結することを決議し、同日締結した。

 本提携の目的及び事業概要について自動車市場では、市場ニーズの多様化、環境・安全にかかわる規制強化、先進技術の高度化、異業種参入、モビリティビジネスの多様化等が複雑に絡み合い、自動車産業そのものが大きな変革の時期を迎えている。

 一方、情報通信市場では、クラウドサービスやIoT、ビッグデータ、AI等の急速な進展により、様々なデジタルサービスの利用が進んでいる。それらのサービスの利用を通じて蓄積されたデータを分析・活用することで、より良い方向への変革を実現するデジタルトランスフォーメーション(注1)が世界的に進みつつある。

 これまで、両社は、2017年3月27日に公表した「トヨタとNTT、「コネクティッドカー(注2)」向けICT(注3)基盤の研究開発に関する協業に合意-スマートモビリティ社会創造に向けて、技術確立を推進-」のとおり、コネクティッドカー分野での協業を行ってきたが、このような経営環境の変化に対して、これまで培ってきた事業基盤の更なる強化に努めるだけでなく、両社の更なる協力関係構築により、持続的成長を可能とする新しい価値創造に取り組んでいく必要があると考えている。

 中でも、先進的技術の活用により、都市や地域の機能やサービスを効率化・高度化し、各種課題の解決を図るとともに、快適性や利便性を含めた新たな価値を創出するスマートシティ事業を、今後注力する重要な領域の一つと捉え、取り組みを始めている。

 トヨタ自動車は、2020年1月7日(現地時間:2020年1月6日)米国ネバダ州ラスベガス市で開催されたCES 2020において、人々の暮らしを支えるあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」のプロジェクト概要を発表した。本プロジェクトでは、2020年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本東富士工場(静岡県裾野市)の跡地を利用して、様々なパートナー企業や研究者と連携しながら、新たな街づくりに向け、実証を進めていく。トヨタ自動車は、この街を「Woven City」(ウーブン・シティ)と名付け、スマートシティ実現に向けた取り組みを推進している。

 一方、NTTグループ(NTT及びNTTの関係会社)は、都市・まちの様々な課題解決のため、福岡、札幌、横浜や千葉などの自治体や企業等と協業を進めている。2018年12月に公表したラスベガス市でのスマートシティの取り組みは、収集された各種データをラスベガス市が所有することとし、最先端のAI、IoT、ICTリソースの総合マネージメント技術を活用し、事件や事故の迅速な検知・分析や予測、最適なICTリソース管理等を実現しており、他都市への展開に向けた取り組みを推進している。また、保有する不動産の利活用においてICT技術を活用したスマートなまちづくりを推進するNTTアーバンソリューションズを2019年7月に設立した。さらに、スマートシティの重要な構成要素であるスマートエネルギー(注4)分野で事業を推進するNTTアノードエナジーを2019年6月に設立するなど、NTTグループの持つアセットを最大限活用してスマートシティ実現に向けた取り組みを推進している。

 こうした取り組みを進める中、スマートシティ化による課題解決や価値向上の効果を最大化し、地域力向上、及び国家力向上につなげるには、各社が個々のプロジェクトに取り組むだけでなく、両社が一体となり、スマートシティ実現のコア基盤となる「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築・運営し、国内外の様々なまちに連鎖的に展開することが必要と考えるに至り、この度業務資本提携を行うこととした。

 両社は、スマートシティにおいて、ヒト・クルマ・イエ、また住民・企業・自治体等に係る生活、ビジネス及びインフラ・公共サービス等の全ての領域への価値提供を行う「スマートシティプラットフォーム」を共同で構築し、先行ケースとして、まずは静岡県裾野市東富士エリア(Woven City)と東京都港区品川エリア(品川駅前のNTT街区の一部)にて実装し、その後連鎖的に他都市へ展開を図っていく。

 今後、スマートシティの競争力向上による更なる成長とともに、持続可能な社会の発展をめざしていく。

(注1:デジタルトランスフォーメーション)ICT ツールにより、様々なデータの集積や経営におけるデータの利活用を実現し、新たなビジネスモデルの創出や既存ビジネスの変革を行うこと
(注2:コネクティッドカー)外部に接続され、情報のやりとりができるクルマのこと。様々なサービスを享受できるとともに、社会のセンサーとしての機能にもなりえる
(注3:ICT)情報通信技術
(注4:スマートエネルギー)ICT を活用し、エネルギー効率の向上、地球温暖化対策・再生エネルギー技術活用、耐災性(レジリエンス)向上や地域のエネルギーの最適な需給マネージメント等を行うこと

スマートシティプラットフォームの概要

・住民・企業・自治体等向け価値提供のセキュアな基盤として、スマートシティのデータマネジメントと情報流通(注5)、これらに基づくデジタルツイン(まちづくりシミュレーション)(注6)とその周辺機能(注7)により構成される

・また、個々のスマートシティのプラットフォーム、及び他のスマートシティのプラットフォームとの連携基盤としてプラットフォーム・オブ・プラットフォームを擁する

(注5:データマネジメントと情報流通)データ収集・蓄積・加工、分析・可視化、サービス利用等のためのインターフェイス機能 等
(注6:デジタルツイン)実在するまちをリアルタイムに仮想空間で再現し、試行結果をフィードバックする機能 等
(注7:周辺機能)ネットワーク、各種デバイス・ハードウェアとの連携、各種サービス・他システム・他プラットフォームとの連携機能 等

 両社は、価値観を共有し、社会の発展をめざすパートナーとして、スマートシティビジネスの事業化が可能な、長期的かつ継続的な協業関係を構築し、「スマートシティプラットフォーム」を研究開発、企画、設計・構築・実装し、両社が共同でオペレーションを牽引し、住民のニーズに応じて進化し続けるスマートシティの運営を共同推進するための資金を調達するために、今回の合意書に基づき、以下の内容で、相互に株式を取得する。

 トヨタ自動車は、NTTが実施する第三者割当による自己株式の処分により、NTTの普通株式80,775,400株(発行済株式総数に対する所有割合約2.07%、総額約2,000億円)を取得する。
 また、NTTは、トヨタ自動車が実施する第三者割当による自己株式の処分により、トヨタ自動車の普通株式29,730,900株(発行済株式総数に対する所有割合約0.90%、総額約2,000億円)を取得する(NTTによるトヨタ自動車に対する第三者割当の詳細及びトヨタ自動車によるNTTに対する第三者割当の詳細については、NTTが本日公表している「第三者割当による自己株式の処分に関するお知らせ」並びにトヨタ自動車が本日公表している「第三者割当による自己株式の処分に関するお知らせ」を参照。)。

日程

(1) 合意書締結日 2020年3月24日(火)
(2) 株式取得日(払込期日) 2020年4月9日(木)

 本提携により、両社それぞれの当面の連結業績に与える影響は軽微であると考えている。

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