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火曜カーデザイン特集:後席重視の車が少なすぎるのでは? 高級すぎるセダン ”トヨタ・センチュリー” に乗りたくなる心理がリヤピラーにあった!

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高級すぎるセダン=センチュリーの自治体への導入問題が未だ話題となっている。このご時世にはやはり、あまりに高価な車を購入したり利用したりするのはどうなのか? ということなのだろう。しかし、デザイン的視点からしてもセンチュリーに乗りたい、という気持ちもわからなくはない。実はそこには現代の自動車デザインの傾向とユーザー心理がそぐわない点もあるのではないか、と思う。ここではそんな、ちょっとした脇道にそれる話をしてみたい。

まずは、話は30年前に。時はバブル経済頂点にあった、1989年。そこに彗星のごとく登場したのが、レクサスLS400だった。日本ではレクサスブランドの整備はまだなく、トヨタの最上級格のセダン=セルシオとして販売された。
V型8気筒4ℓエンジンを搭載するトップエンドのモデルでありながら、北米をメイン市場とするために、ラグジュアリーなドライバーズカーとしての様相も持っていた。北米で見るLS400はコンパクトで、日本で見るような「でっかいなー」という印象はなかった。北米では、圧倒的に静かで上質なミドルセダンともいえたのだ。

上が1989年い登場したV8エンジン搭載の初代セルシオ。北米では新ブランドレクサスのハイエンドモデル "LS400" として、上質なパーソナルセダン的存在。下が1987年に登場した8代目クラウン。個人需要に4ドアハードトップを据え付けながらも、中央のような法人需要も見据えたかっちりとしたセダンも用意していた。セルシオ登場直前に同じV8搭載のクラウンの最上級バージョンがが登場している。

そんな中、日本市場に登場したのがLS400の日本仕様である、初代モデルとなるセルシオだ。当時は経済も最高潮に潤っていたこともあり爆発的な売れ行きを示し、一時期はレクサスブランドの逆輸入車までも売れまくった状態だった。

しかし、その一方でセルシオは「遊び車」と称されることも多かった。ドライバーズカーとして企画されたこともあり、これまで存在してきたクラウンやセドリックのセダンとは違い堂々としながらも華やかさがあった。運転する楽しさも追求した車であることが、デザインとしても表現されていたことは随所に感じられた。
控えめで低いグリル、丸い張りのあるボディ、前傾したリヤピラーに起因して小さく感じるリヤドアなど。その渾身の仕上げが逆に仇となり「これでは取引先に行けない」との声もあった。吊るしの紺のスーツでいいところに、仕立ての良いストライプのスーツではTPOにかなわない、というところだ。

フォーマルの立ち位置の車が少なすぎる現状

実は現在のセンチュリー選択の中には、ややそんな気分もあったのではないだろうか。

実はセンチュリー開発時にプロポーションで意識したことの一つには、リヤピラー、特にリヤドア後端の角度があったという。センチュリーのデザインチームによると、リヤドア後端を傾けすぎないことが、ショファードリブンの基本と考えた。当然、乗降性、後席空間を確保するための形なのだが、逆にリヤドア後端を傾けるとドライバーズカーに見えてくるという。実際、レクサスLSやクラウン、スカイラインなど最近のセダンは、リヤピラーをかなり傾けている。これは空力上の要件でもありまたデザイン的にも後席空間犠牲にした訳ではないのだが、形のメッセージとしては後席重視には見えにくい。つまりは乗れるか乗れないかではなく、そのセダンにとって何が重要なのかを見る手掛かりにはなる。

現行レクサスLS(上)と現行クラウン(下)。リヤドア後端は立ち上がり乗降性に配慮するが、ルーフが下がり切れ長なリヤピラーを持つ。ラグジュアリーな姿だがこれが昭和の人には「遊び」の車に見えてしまうのでは?
こちらは日産シーマ(上)と日産スカイライン(下)。やはり空力対策はリヤピラー周りに現れる。

そんな観点からすると、レクサスLSはドライバーズカーの印象は否めない。また、クラウンもドライバーズカーに移行していることは、そのデザインから感じられる。特にこれまでのセダン然とした形が脳裏に焼き付いてしまっている人たちにとって「遊びグルマ」というのは、ちょっと「チャラチャラ」した感じで、「キザ」とか、「カッコつけ」に見える。もちろん今や、個性の時代でもあり車のデザインも必要以上に存在をアピールする車が多いので、ドライバーズカー的デザインの車を使うことも全く問題はないはず。しかし、仕事なんだから襟を正したい、という考え方もかなりあるのだと思う。といっても、センチュリーを選ぶというのは、強烈なオーラが出すぎるわけだが……。


人を乗せるということで考えると、特定の人を対象とするのであれば3ボックスのセダンは極めて快適で合理的だ。また荷室を遮断していることで、静かさも確保しやすい。しかし、セダンが少なくなったことは選択の上で大きなマイナスとなる上、残ったセダンも後席よりもドライバーズカーを強く主張すると、選択肢に入りにくいことになる。

ミニバンの広さやSUVの機能は公用車に必要か?

最近、公用車、社用車などショファードリブンとして重用されるアルファード。ミニバン系は多人数で移動できるなどを理由に、選択されるケースも多い。

そうなると、社用車や公用車として、ミニバンやSUVが選択肢に上がる。とはいえ、ミニバンやSUVのそのサイズや空間、機能は本当に必要だろうか? かつてトヨタも日産もタクシー専用セダンを開発した時代があった。トヨタはクラウン・コンフォート、そして日産はクルーというモデルだ。ともに小回り性がよく、四隅が見やすい四角い形とした。ともに後席の頭上空間はたっぷりで、とりわけクルーは、左側の後席のドアを大きくて乗降性を高めた。これらはタクシー専用車という限られたニーズにフォーカスしたものだったが、もし今、安くても上質な後席重視のセダンがあったのならば、公用車や社用車の役割はかなりの範囲で果たせるものだと思う。

90年代にタクシー専用車として開発された、日産クルー。トヨタからはクラウンコンフォートという専用車が登場した。開発の狙いは、まさに後席重視。こんな考えかたを現代風にして、高くなくても上質なセダンがあってもいいのでは?
トヨタがタクシー専用に開発したJPN TAXI。これでもいいかもしれないが、ちょっと公共性の印象が強いデザインだけにもう少しパーソナル感があれば……。

また、そんな車があったならはパーソナルカーとしても、速くなくてもリビングルームのソファーのような、快適で静かな空間で移動を享受するという車の楽しみ方もあるのではないか、とも思う。もちろん空力の要請で開発者としては、リヤピラーを切れ長に伸ばしたくなる思いは当然だ。しかし、セダンに対するユーザーの思いというものはまだ昭和で止まっているのかもしれない。かつてリヤエンドを逆ぞりにするコーダトロンカが空力にいいという話があったが、それ的な理論をもう一度復活させてくれないだろうか、なんてことも思ったりする。

現在日本の車は多くのバリエーションを持っている、特にSUVが豊富になり選ぶのに悩むほどだ。しかし、セダンの選択肢はあまりにも狭いのはちょっと残念だ。

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