連載

内燃機関超基礎講座

エンジンにおける「基本」を徹底的に追求した

 国内およびASEANで販売するAセグメントを対象に開発した新型機。開発のキーワードは「1.2L」「3気筒」「ロングストローク」「バランスシャフトレス」である。1.2Lの排気量は車重1t前後のAセグメントを対象に動力性能と燃費を最適にバランスさせる観点からの選択。4気筒の単室容積300ccより3気筒の400ccのほうが冷却損失の面で優れているため、3気筒とした。

 ストローク/ボア比1.28のロングストロークにしたのは、やはり効率(冷却損失低減)の観点からだ。結果、73.5mmのスモールボアになったが、従来のボアピッチ78mmでは成立し得ないので84mmとしている。振動の対策としてバランスシャフトを付加すると重量増やフリクション増に繋がるので、運動系部品を軽くして偶力を1.0Lエンジン並みに抑え、バランスシャフトレスとした。

WA-VEXのカットモデル。ダイハツ独自のシリーズハイブリッド内の構造が見える。

 気筒あたり2本のインジェクターを備えたデュアル式はKF型やKR型に適用した技術の進化発展形。コストといった観点から直噴の採用は見送ったが、噴射期間を短くしながらボアに燃料をつきにくくし燃料蒸散による温度低下も図るなど、直噴のメリットも達成しながらポート噴射でやりきるコンセプトだ。燃焼室へ直線的に流入するような吸気ポート設計により、筒内タンブルを高め急速燃焼を実現する。さらに、KF型、KR型と同様にクールドEGRを適用。シリンダーヘッド直付けのコンパクトな設計で、外部クーラーを小さくするため、ヘッド内で一段冷却する構造を採用する。

 なお、コンベ仕様に搭載されるWA-VE型は暖機促進のため、ヘッドとブロックの2系統冷却システムを採用する。一方で、シリーズハイブリッド用のWA-VEX型はフレキシブルフライホイールを備え、NVH対策としている。ウォーターポンプはVEが機械式/VEXが電動式。

 圧縮比は12.8、レギュラーガソリン仕様。この値はWA-VEX/WA-VEともに共通で、前者が中低速域のトルクと燃費性能を、後者は低速でトルクを出すエンジン特性が必要という判断で、奇しくも共通値となった。VVTを含めたバルブタイミングについても、HEV用にミラーサイクルを適用しそうなところ、両者に大きな違いは持たせていない。最大熱効率は40%。高効率なエンジンを追求していったら収斂──という世界を実現している感のエンジンである。

ダイハツ・WA(WA-VEX)主要スペック

気筒配列:直列3気筒
排気量:1196cc
内径×行程:73.5mm×94.0mm
圧縮比:12.8
最高出力:60kW/5600rpm
最大トルク:105Nm/3200-5200rpm
給気方式:自然吸気
カム配置:DOHC
吸気弁/排気弁:2/2
バルブ駆動方式:直接駆動
燃料噴射方式:PFI×2
VVT/VVL:In/×
(ロッキーハイブリッド)

連載 内燃機関超基礎講座

by Motor-FanTECH.[モーターファンテック]
テクノロジー 9時間前

アルファロメオ 直列4気筒ターボ【1750TB 940A】|内燃機関超基礎講座 〜名作エンジン図鑑

by Motor-FanTECH.[モーターファンテック]
テクノロジー 2026.02.24

ダイハツ 直列3気筒自然吸気【WAシリーズ】|内燃機関超基礎講座 〜名作エンジン図鑑

by Motor-FanTECH.[モーターファンテック]
テクノロジー 2026.02.22

日産 直列6気筒ツインターボ【RB26DETT】|内燃機関超基礎講座 〜名作エンジン図鑑

by Motor-FanTECH.[モーターファンテック]
テクノロジー 2026.02.19

フォルクスワーゲン W型16気筒クアッドターボ【EA398】|内燃機関超基礎講座 〜名作エンジン図鑑

by Motor-FanTECH.[モーターファンテック]
テクノロジー 2026.02.17

トヨタ/レクサス V型10気筒自然吸気【1LR-GUE】|内燃機関超基礎講座 〜名作エンジン図鑑

by Motor-FanTECH.[モーターファンテック]
テクノロジー 2026.02.15

トヨタ・レクサス V型8気筒自然吸気【URシリーズ】|内燃機関超基礎講座 〜名作エンジン図鑑