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内燃機関超基礎講座

日欧生まれハイテクV8エンジンへのアメリカの回答

ノーススターは、「キャデラックHT」V8の後継エンジンとして、1993年に市場投入された横置きFF用エンジンのシリーズ名だ。当時の高級車市場では、メルセデス・ベンツやBMW、レクサス、インフィニティなどの日欧勢がシェアを伸ばしていた。ハイテク装備で先行するコンペティターへの対抗策として、新世代キャデラックはTCS、セミアクティブサス、ABSなどによる「ノーススター・システム」を開発すると、この名称が新世代エンジンのシリーズ名にもなった。

初搭載は2ドアロードスターのキャデラック・アランテで、1993年モデルイヤーへ追加設定した。さらに同ブランドの代表的な車種であったエル・ドラド、セビルなどに順次展開し、折々に改良を施されながら中排気量V8のメインエンジンとして生産を続けてきた。

クロスオーバーSUVのSRX、2ドアロードスターXLRの2004年モデルに縦置きで搭載を始めた新世代のLH2では、吸排気ともに連続可変バルブタイミングを採用、10.5:1という高圧縮比を実現し、320psを発生して出力面でL37やLD8を上回った。
2006年モデルから2009年モデルのSTS-VならびにXLR-Vでは、LC3 SC型いうイートン社製スーパーチャージャーによる過給機つきのエンジンだった。最高出力350kW/6400rpm、最大トルク595Nm/3900rpmという出力は、ノーススター歴代最高のものだ。

ノーススターエンジンはキャデラック以外のブランドでも採用例がある。L47型は、オールズモビル・オーロラに搭載するため専用に再設計された仕様。また、2005年まで生産されたシェルビー・シリーズ1もオーロラエンジン搭載だ。LX5型はオーロラをベースにプレミアムエンジングループが開発したV6で、2気筒ドロップしたことでショートスターと呼ばれている。2026年現在、ノーススター含めいずれの機種も搭載している車種はない。

GM ノーススターV8 主要スペック

エンジン形式:V型8気筒DOHC
排気量:4565cc
ボア×ストローク:93.0×84.0mm
圧縮比:10.0
最高出力:218kW/6300rpm
最大トルク:390Nm/4500rpm
吸気方式:自然吸気
シリンダーブロック/ヘッド材:アルミ合金
吸気弁/排気弁数:2/2
バルブ駆動方式:ロッカーアーム
燃料噴射装置:PFI
VVT/VVL:In×/Ex×/×
点火順序:1-2-7-3-4-5-6-8
(Cadillac DTS)

キャデラック・DTS
キャデラック・XLR-V(左)、キャデラックSTS-V(右)
オールズモビル・オーロラ

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