
茨城県水戸市にある千波公園で開催された「第2回水戸クラシックカーフェスティバル」は450台以上ものエントリーとなり大盛況だった。今回はテーマカーが歴代クラウンとされ、初代の観音開きから数多くのクラウンたちが勢揃いした。またクラウンコンテストも開催され、アワードに輝いたクラウンを今回は紹介したい。

「大宮33」という二桁ナンバーが残る1986年式ロイヤルサルーンGで、3ナンバー車の自動車税が高額だった時代だから3リッターモデルは新車時から数が少ない。だからこそ、二桁ナンバーのまま残るフルオリジナルのロイヤルサルーンGは非常に価値ある個体と言っていい。オーナーは49歳の郷渡卓海さんで、12系クラウンが小学生の頃から大好きだったという人物。あまりに好きが高じてクラウンの専門店である「HAJIME AUTO」というショップを開業してしまったほどだ。

そこまでクラウンにこだわる郷渡さんなので、仕事とは関係なくこのロイヤルサルーンGを所有されている。というのも新車からの1オーナー状態だったものを譲り受けることができたから。二桁ナンバーが残る1オーナー車というだけで意味があるし、どんなにお金をかけても手に入らない価値があるからだ。

なんでも小学生の頃、郷渡さんのお父さんが友人からクラウンを借りてきた。そのクラウンでドライブしたことがクラウンを好きになるきっかけだったそうだ。だから運転免許を取得すると12系クラウンに乗り始め、その後も歴代のクラウンを所有してきた。さまざまなクラウンを経験してきたが、やはり最初に好きになった12系クラウンが最上級のお気に入り。今でも13系V8クラウンを同時所有されているが、こちらのロイヤルサルーンGには敵わないという。

貴重な1オーナー車を手に入れることができたのは所属するクラブがあってこそ。12クラウンクラブの仲間から紹介されたのがこの個体で、高齢になった前オーナーから譲り受けることができた。しかもこのロイヤルサルーンGはフルオプション状態で、装着率が低いムーンルーフまで装備していた。4ドアハードトップの窓を全開にしてムーンルーフを開いた状態で走ると、とても爽快なんだそうだ。

ロイヤルサルーンGを手に入れたのは2023年のこと。当時すでに80歳だった前オーナーは実に37年も維持されていたことになる。だが免許返納の機運が高まることを受け、断腸の思いで手放すことにされたのだろう。それだけにクルマの状態は非常に良く、手に入れてから3年近く経つがトラブルは一切なかったという。

前オーナーの思いを受け継ぐかたちで譲り受けた郷渡さんだから、今後もカスタムや改造するつもりは一切ない。ただエアコンの調子がいまひとつなので修理するのが今後の課題だそうだ。また近いうちにエンジンのセミオーバーホールを予定されているという。というのも走行距離が19万キロを突破しているからで、腰上だけでも整備すれば見違えるようになるはずだ。

インテリアを見せていただくと、新車からの装備と思われるカセットステレオが残されていた。こうした部分を新しいオーディオに変えてしまうと雰囲気が崩れてしまう。せっかくのフルノーマル車なのだから、ぜひともこの状態のままを維持していただきたいと思えた。そのインテリアは19万キロ以上走ったクルマとは思えないほど傷みが少ない。よほど大事に乗られていたのだろう。

今回取材した水戸クラシックカーフェスティバルでは、このクラウンのようにフルノーマルの個体が比較的多く見受けられた。国産旧車というと車高を低くして社外アルミホイールを履いているケースが多いものだが、ノーマル派が多く集まったのは偶然ではないだろう。主催者である水戸旧車倶楽部からのネットワークがノーマル車を多く引きつけたようだ。
