連載

内燃機関超基礎講座

ランボルギーニに相応しい高い性能と風格を併せ持つV12として

ランボルギーニが2010年に終売したムルシエラゴの後継車として翌2011年にアヴェンタドールを発表したが、それに搭載すべく完全新設計で開発したV12エンジンがこのL539型である。

1965年にジオッド・ビッザリーニが設計した3.5L V12から始まり、排気量を4Lへボアアップしたエンジンがカウンタックに搭載される。カウンタックが生産終了となった後、ランボルギーニのV12エンジンは刷新されることになる。ルイジ・マルミローリの手で新たに5.7L V12を設計されると、後継モデルのディアブロにとどまらず、ムルシエラゴにも排気量を6.5Lまで拡大させたバージョンが受け継がれてきた。L539はこの系譜の流れを汲むエンジンである。

ダイレクトイグニッションユニットが整然と並ぶ、シリンダーヘッドカバーをエンジン後側から見たところ。インテークマニフォールドをまとめるインダクションボックスには左右2つずつ計4つのスロットルバルブを装備。
L539が搭載されたランボルギーニ・アヴェンタドールのエンジンルーム。

ミウラ、カウンタックそしてディアブロからムルシエラゴへと続いてきたV型12気筒エンジンの流れは、バルブ数や排気量などさまざまな面で変化はあったものの、95mmというボアピッチ寸法だけは不変の要素とされてきた。排気量3929ccで257kW(350ps)というミウラに搭載されていたエンジンから、最終的に493kW(670ps)を発揮していたムルシエラゴのそれ(排気量は6496cc)まで共通となっていたことは興味深いばかりだが、この流れを大きく変えることになったのが、2011年に発表されたアヴェンタドールに搭載される、このL539型エンジンの登場だった。

カムチェーン用のカバーが見えるエンジン後端。オルタネーターやオイルポンプなどといったベルト駆動の補機類が取り付けられているのがわかる。下方向右側に見えるのは後輪駆動用のデフケース。プロペラシャフトがエンジン下部を右側に避けるかたちとなっているため、デフケースの搭載位置も右側にオフセットするかたちとなっている。

通常のレイアウトとは前後逆となっているために、クランクシャフトからクラッチを介して伝達された駆動力は減速しながらトランスミッション前方へと伝達され、後輪駆動用のプロペラシャフトによって再びエンジン後端まで戻される。トランスミッション前端にはアクチュエーターなどといった変速動作用のメカニズム類がマウントされている。

トランスミッションは近年普及しつつあるツインクラッチ式ではなく、通常型のMTと同様にクラッチを一組のみ備えるタイプ。シフトフォークをアクチュエーターで駆動することによって変速動作を自動化したAMTだ。ちなみにイラストの右方向に見えるドライブシャフトとデフケースは後輪駆動用。

L539型はボアピッチ寸法を103.5mmへと拡大、これに伴いボア径を95mmとし、76.4mmというストロークと組み合わせることにより、ムルシエラゴとほぼ同じ6498ccという排気量としている。いわゆるビッグボア・ショートストローク化というと、世間一般の流れに逆行するようにも見えるが、L539型が搭載されるアヴェンタドールは、実用性よりも趣味性とパフォーマンスが重んじられる超高級車である。多気筒化本来の目的を考えれば、むしろ必然の結果なのかも知れない。かくして絞り出される出力は515kW。レブリミットは8000rpmを超える。あらゆる意味で別世界の存在なのだ。

写真の上に見えるトランスミッション側が車両の前方向となる。長く大きなエンジンとトランスミッションをミッドマウントとしながら、適正な重量配分を得るためにカウンタック時代から続くランボルギーニの伝統的手法だ。トランスミッションにはハルデックス社製の4WDシステムも備える。

ランボルギーニ L539 主要スペック

エンジン形式: V型12気筒DOHC
排気量:6498cc
ボア×ストローク:95.0×76.4mm
圧縮比:11.8±0.2
最高出力:515kW/8250rpm
最大トルク:690Nm/5500rpm
吸気方式:自然吸気
シリンダーブロック/ヘッド材:Mg合金・アルミ合金/アルミ合金
吸気弁/排気弁数:2/2
バルブ駆動方式:ロッカーアーム
燃料噴射装置:直噴
VVT/VVL:In◯/Ex×/◯
点火順序:1-7-4-10-2-8-6-12-3-9-5-11
(アヴェンタドール)

ランボルギーニ・アヴェンタドール(2011)

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