かわいい顔して、トランクに“積めるバイク”だったモトコンポ

MACHINE:HONDA MOTO COMPO OWNER:ブタキムさん

ホンダ・モトコンポは1981年、FFコンパクトカー「シティ」と同時に登場したトランクバイク。全長1185mm、乾燥重量42kgという超小型ボディに、49ccの空冷2ストロークエンジンを搭載。折りたたみ式ハンドルやステップ、液漏れ防止機構など、クルマに積むことを前提にしたユニークな設計が与えられていた。新車当時の価格は8万円。いま見ても「よくこんなの作ったな!」と思わせる、ホンダらしい遊び心の塊みたいな存在だ。

ただし、今回のモトコンポは“積んで楽しむ”だけでは終わらない。外観こそモトコンポらしい四角いボディを残しているが、中身はジョルカブ系エンジンをスワップした本格派。かわいい見た目に反して、走りの楽しさをしっかり狙った一台に仕上げられている。

サイドのHONDAロゴはシーケンシャル点灯するギミック付き。見た目の遊び心も、このカスタムの大きな魅力だ。

中身はカブ系! ジョルカブ譲りの発想で106cc&5速MT化

ジョルカブのエンジンをスワップし、SP武川製SCUTT106ccボアアップKITで排気量アップ。5速MT化まで施された本格仕様だ。

ここで少し説明しておきたいのが、ベースとなった“ジョルカブ系エンジン”の存在。ジョルカブは1999年に登場した50ccの4ストロークスクーターで、ジョルノのボディにスーパーカブ系エンジンを組み合わせた変わり種モデル。クラッチ操作不要の自動遠心式ながら、フロア左側のチェンジペダルでギア操作を楽しめるのが特徴だった。ノーマル時の最高出力は3.9ps/7000rpm、燃費は110km/L、価格は18万9000円。スクーターなのに“カブっぽく操れる”ところが、いま見てもかなり面白い。

HONDA
ジョルカブ(1999年)
「ジョルノ」のボディをベースに、「スーパーカブ」のエンジンをリファインして搭載。ギア操作による楽しい走りを具現化した新感覚スクーター。

このモトコンポ改は、そのジョルカブ系エンジンを搭載し、さらにSP武川製ボアアップKIT「SCUTT106cc」で排気量を106cc化。組み合わされるのはSP武川製5速MT、キタコ製クラッチ、CFポッシュ製CDI、ヨシムラ製キャブレター。もともとのモトコンポは49ccの2ストロークエンジンだったことを考えると、これはもう別物と言っていい内容だ。

しかも、ただエンジンを載せただけではない。モトコンポのフレームを加工し、ジョルカブ系エンジンに合わせてパッケージング。オイルクーラーも備え、ミニバイクらしい見た目の中に、しっかりチューニング感のあるメカが詰め込まれている。

マフラーはワンオフのセンター出し。エキパイレイアウトにグラフィックの楽器を合わせ、一体感のあるボディメイクを実現する。

限られたスペースの中に、SP武川製オイルクーラーをセット。どう収めるか?そんな工夫もまた楽しい作業である。

見た目は派手でもモトコンポらしさはキープ

ENGINE:ジョルカブ系エンジン/SP武川製SCUTT106ccボアアップKIT/SP武川製5速MT/キタコ製クラッチ/CFポッシュ製CDI/ヨシムラ製キャブレター/SP武川製オイルクーラー/EXHAUST:ワンオフセンター出しマフラー/BODY:フルラッピング/シーケンシャル点灯HONDAロゴ/METER:エースウェル製メーター/SUSPENSION & WHEEL:ストリーム用フロントフォーク&フロントホイール/社外製モンキー用合わせホイール加工/前後70/100-8タイヤ/OTHER:カブ用ブレーキホースショート加工 ほか

外観で目を引くのは、ボディ全体を覆うフルラッピング。モトコンポらしい箱型ボディを活かしつつ、ポップなグラフィックで強烈な存在感を放つ。サイドのHONDAロゴはシーケンシャル点灯するギミックまで仕込まれており、遊び心も満点だ。

足周りもかなり個性的。フロントフォークとフロントホイールは、ホンダの三輪スクーター「ストリーム」用を流用。リヤは社外製モンキー用の合わせホイールを2台分用意し、細い側を組み合わせて使用している。タイヤは前後ともワイドな70/100-8サイズで、モトコンポの小さなボディにムッチリとした足元を演出。

メーターはエースウェル製を採用。折りたたみハンドルの雰囲気を残しているのも、モトコンポ好きには刺さるポイント。

フロントにはホンダ・ストリーム用フォーク&ホイールを流用。8インチのワイドタイヤが、ミニマムな車体をグッと力強く見せている。

マフラーはワンオフのセンター出し。小さなテール周りからのぞく出口が、見た目のインパクトをさらに強めている。ギア付き106ccエンジン、5速ミッション、ワイドな8インチタイヤ。モトコンポにカブ系エンジン? と思うかもしれないが、コンパクトな車体に横型エンジンを収めるという意味では、意外なほど相性が良い。かわいい顔して、走らせたらしっかり楽しい。そんなギャップこそ最大の魅力なのだ。