東京モーターショー2015「IDSコンセプト」を究極の姿として新型リーフのデザインを同時開発 【新型日産リーフデザイン統括・森田充儀PDDインタビュー】水平基調のシンプルな内外装で「クワイエット・ダイナミズム」を表現
- 2017/09/18
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遠藤正賢
2010年12月の初代デビューから約7年を経て、9月6日にワールドプレミアを果たした新型日産リーフ。その内外装は、先代のイメージとは対照的なものへと劇的に変化している。この2代目リーフのデザインを統括した森田充儀(もりたみつのり)PDD(プログラムデザインダイレクター)に、その狙いを聞いた。
森田 あっ、鋭いところを突いてきましたね(笑) 2年前の東京モーターショーに「IDSコンセプト」という車両を出品しましたが、あのクルマと量産型リーフは同時に開発が進行していたんですね。しかも同じデザインチーム、私が担当していました。
新型リーフは、あれから時が経って、もっとお客様は実質的に、中身のパワートレインが何であろうと、クルマとして美しい、よりダイナミックであること。要するに、今まで我々が具現化しようとしてきたカーデザインの延長線上にある、クルマとして持っているべきハンサムな姿、これを求めるようになったので、今回はそういう方向でいきました。
ですから、ガソリン車であろうがEVであろうが、表現すべきことにあまり違いはないと思っています。EVパワートレインならではのノーズの低さや、エキゾーストパイプがないためより充実したリヤバンパーの造形は、EVプラットフォームだからこそできることですが、それは本来実現したかったことで、それを具現化したのが新型リーフです。エクステリアのスタイルはよりダイナミックに、「あっ、乗ってみたいな」と思わせる格好良さを狙いました。
新型リーフはその過程にあるクルマとして、向かう方向は同じで、できるだけシンプルな造形にして、目に刺さるような派手なジェスチャーや装飾は必要ない、という考え方ですね。お客様は室内で過ごす時間が最も長いのですから、長時間室内にいても疲れを感じさせないデザインにしたいと考えました。
そこで、インパネのボリュームをできるだけ水平方向に切ることで軽く見せていますが、フォームとしてはシンプルでクセのないスタイルにしました。その中に先進的なインターフェイスを載せるというのが実現したかったことなのですが、それに関しては今回のクルマではこういったサイズで、将来的にはもっと大きくなるでしょう。その後はそういったインターフェイスもなくなって、声だけで全部認識できるようになるのかもしれませんが。
ですからある意味、ベーシックに戻ったと言うべきか、インテリアは古い、先祖返りしたのではないかと声も聞かれたりするのですが、新型リーフではそういった考え方でデザインしています。
森田 はい。先代は上下二段のデジタルメーターでしたが、やはりEVですので加速は良いのですが、デジタルメーターではそれを視覚的に体感できません。ですから動きが見えるよう、スピードメーターをアナログにしました。シューンとスピードが立ち上がるその動きを、見て体感いただけるように、敢えてアナログスピードメーターにしています。
--むしろ、先代リーフのデビュー当時はそのデザインに対し「普通のクルマ」という評価が多く、新型はIDSコンセプトの流れもあり、先進的なイメージがあります。
森田 いえ、新型リーフもエクステリアは間違いなく先進的でありたいと思っています。また、先進的であることの定義が、ハイテク感やこれ見よがしな大画面で本当に良いのか、という思いがあり、我々はもっとミニマルなものになっていくのが、将来的な内装デザインのあるべき姿と捉えています。現在は、ハイテク感の表現として、画面が大きければ大きいほどハイテクという風潮がありますが、それほど数多く画面に表示して、それほど何かすることがあるのかと。
--かえってドライバーは疲れてしまいますよね。
森田 そうなんです。ですから、もう少し実質的なデザインにしたかったんですね。どちらが先進的なのかという議論はあるでしょうが、将来はもっと要素がなくなっていくと思うんですよ、内装は。そこに向かっている途中とご理解いただけると嬉しいですね。
--エクステリアも、よりシンプルな方向に向かっているのでしょうか?
森田 そうですね、それは間違いなく、日産デザイン全体の流れとしてそうなっています。ラインがたくさん入っていて、凹んだり出っ張っていたりという、形のためのデザインというのが横行した時代が少し前にありましたが、このクルマは本当にピュアに、シンプルに作っていますね。もちろんそれが、空力特性に良いということも関係しているのですが。
--その、今後の日産デザインの方向性を最初に示したのがこの新型リーフ、という位置付けになるのでしょうか?
森田 その一つではありますね。特に、EVだからブルーのアクセントをたくさん入れた、ということではなく、我々はこのフォルムとしてもEVであることを表現したかった。それは、今までのガソリン車は、ガソリンエンジンで熱を発して、そのパワーをタイヤに伝えて、タイヤが地面に食い付くような形の作り方になっていましたが、その気分を変えたかったんですね。ですからもっとサイレントで、クリーンで、軽くて……ということが、スタイリング上のキーワードになっています。
ガソリン車はやはり、熱を感じさせようとデザインしますよね。エンジンフードやグリルをパワフルにして、フェンダーは張り出したマッチョに作るのが、スポーツカーやガソリン車のパワフルさの表現だと思っていますが、新型リーフではそれとは違ったところでダイナミックさを出したかったんですね。
「クワイエット・ダイナミズム」(静かな躍動感)という言葉で表現していますが、なにもいきり立っていることだけがダイナミズムではないでしょう、ということですね。クールでサイレントなのが、EVらしさだと思っています。
--ボディの寸法はほとんど変わっていないにもかかわらず、非常に躍動感のあるデザインになったと思います。そのポイントは?
森田 ありがとうございます。まず、実際にEVはバッテリーパックが車体の下側にあって重心が低いので、それを視覚的にも表現するために、アイキャッチをできるだけ低い部位に配置しています。そのため、サイドシルまわりに特徴的なデザインを与えています。それから。水平方向に抜ける窓周りの面取りもそうですね。
森田 そうですね。そういう水平方向に抜ける線を意識して造形することで、実寸法以上にストレッチしたサイドビューを付くっています。それから、先代リーフの特徴だった、リヤガラスが立って、ヒップが飛び出しているようなデザインは、クルマの長さを短く見せる要因でもあったんですね。今回は逆に、その凹んでいたところを出しています。サイドビューを見た時に、対角線方向に引っ張ったような形で、バックゲートの角が曲がっています。空力のためにもそこは高い方が良いのですが、視覚的にも長さ感が出ます。
先代リーフは、縦のキャラクターが強かったんですね。ヘッドライトもテールライトも縦のデザインでしたが、新型リーフではそれを全て水平方向のキャラクターに置き換えることで、低重心で長く見えるように、前に進むようなイメージを表現しました。それが「クワイエット・ダイナミズム」と呼んでいる考え方です。
--今回は特に運動性能にこだわったと、開発責任者の磯部博樹CVEはおっしゃっていましたが、それに合わせてエクステリアをデザインされたのでしょうか?
森田 もちろんそうです。
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森田 それに関しては、あまり詳細を申し上げることはできません(笑) ですが言えるのは、リーフに関しては高性能モデルはグレードの一つになりますので、基本的には全然違うものになるというわけではない、ということです。
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森田 日産には他にもブランドとしてスポーティバージョンを用意しています……具体的には言えませんが、あらゆる方向でバリエーションを展開する計画はあります。
森田 リーフの理想としては、ああいう姿ですね。ただIDSコンセプトは、あくまでもCセグメントのハッチバックのスタイルとしてデザインしています。今後の日産のEV戦略は、このコンセプトに限ることではありませんし、それに関してはまだ申し上げられませんが…。
--もっと大きい方にも小さい方にも展開していく、ということですね?
森田 かもしれませんね(笑)
--新型リーフの内外装は、EVという最先端技術を満載したクルマに惹かれる新しもの好きにも、スポーティな走りにこだわるクルマ好きにも、訴求力の強いデザインに仕上がっていると思います。ありがとうございました。
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