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SUBARU テックツアー ボーイング787「中央翼」体感フライト スバル製中央翼を持つボーイング787を「体感」するテックツアー開催

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ボーイング787が初就航した旭川空港では、大歓迎で、放水で迎えられた。

航空機メーカー、中島飛行機をルーツに持つスバルは、自動車だけでなく航空宇宙産業をそのビジネスポートフォリオに持つ。ボーイング社の最新旅客機ボーイング787の中央翼を製造しているのもスバルだ。今回、日本航空の最新鋭ボーイング787-8を使ったボーイング787「中央翼」体感フライトが行なわれた。

こんなカラーリングの機体があったら、もっとよかったのに。このCGはスバルが制作したもの。
旭川空港に初めて飛来したボーイング787-8。

今年4月に「富士重工業株式会社」から「株式会社SUBARU」に社名変更したスバル。そのルーツが1917年に中島知久平によって創業された飛行機研究所(のちの中島飛行機)にあることはよく知られている。つまり、今年はそこから数えて100周年に当たる。

と、スバルの航空機ビジネスの歴史について説明してくれたのは、スバルの航空宇宙カンパニーヴァイスプレジデント兼技術開発センター長の若井洋(わかい・ひろし)氏である。


若井さんによると
1927年、日本陸軍が初の日本オリジナル設計による戦闘機(のちの九一式戦闘機)の開発を中島飛行機、三菱、川崎、石川島の4社に命じた。そのとき、まだ独自に戦闘機を開発できる技術がなかった各社は、外国から専門家を招聘した。
川崎、三菱、石川島の三社はドイツから専門家を招いたのに対して、中島知久平が招聘したのが、フランスのニューポール社のアンドレ・マリー技師とブレゲ(現在の時計メーカーのブレゲ)のロバン技師のふたりだった……(4社のコンペで、結局九一式戦闘機として採用されたのは、中島飛行機案だった)。

「中島はフランスで学んだことがあるからフランスの技師を呼んだのでしょう。このマリーさんの思想が、『パイロットを必ず生かす』というものでした。当時、戦闘機でパイロットの生命を守るというのは、すなわち燃えないことでした。また防弾鋼板も装備し、運動性能重視の設計をしました。革新と徹底した合理性を持った開発思想です。パイロット中心という思想がいまのスバルにも受け継がれているんですね。マリー技師の下で開発をしたのが、中島飛行機の小山悌技師(のちに、一式戦闘機隼を設計)。その部下がペンシルロケットで有名な糸川英夫博士(中島飛行機から東大へ)だったわけです。小惑星「イトカワ」の探査機の名前が「はやぶさ」というのは、なかなか粋ですよね」

と、若井さんがスバルのルーツ、とくに航空機開発について語ってくれた。
(旭川空港から美深試験場に行くバスの中で説明してくれたことを聞いてメモにとり、それをもとに原稿を起こしているので、事実関係に誤りがあれば、それは筆者の責任です)。
飛行機メーカーとしてのルーツを持つスバルが「安全と愉しさ」「安全と運動性能」を追求するのには、こういう背景があるということだ。

現在では、航空宇宙カンパニーと自動車のエンジニアの技術交流も行われているという。WRCを戦うマシンの空力などで協力をしたそうだ。

そんな話を伺いながら、バスは美深試験場へ走る。

ハルキストの聖地で、スバルの自動運転技術開発は加速する

この部分(見えないが)が中央翼。スバル半田工場製だ。

今回は『スバルテックツアー』として、美深試験場を見せてくれるというプレスツアーだったのだが、これには「ボーイング787中央翼体感フライト」も組み込まれていた。
往路は羽田から旭川空港まで日本航空のフライトで飛び、旭川空港から美深試験へ行き、取材を終えたあと、旭川空港に戻り、帰路は、スバルがこのためにチャーターしたボーイング787型機に乗って戻るという旅程だった。


「航空宇宙と美深のつながりといえば、25年ほど前、防衛庁(当時)向けの垂直離着陸無人機の開発をしていた際、カンパニー飛行試験を美深でやりましたね」
と若井さん。

さて、本題のボーイング787の中央翼についての話の前に、もう少し別の話題を。

スバルの航空宇宙カンパニーは、民間向け、防衛省向けにヘリコプター、固定翼機(つまり飛行機)、無人機を開発・製造している。ボーイング向けには、787以外にも部品を製造しているが、もっとも有名なのが787の中央翼というわけだ。

現在、航空宇宙カンパニーが取り組んでいる新規事業が4つあるという。

この787-8型機のエンジンはプラット&ホイットニー製(P&W製)。ほかに、ロールスロイス製とGE製がある。

1 ボーイング777-Xの中央翼
 ボーイングの旅客機777シリーズの次期モデル(改良機)である777-Xでも要である中央翼をスバルが担当することになった。787がCFRP製であるのに対して777-Xはアルミ合金製となるそうだ。営業飛行は2020年の予定だ。

2.陸上自衛隊新多用途ヘリコプター(UH-X)
陸上自衛隊のUH-1Jの後継として導入される次期多用途ヘリコプターUH-Xは、スバルとベル社の共同開発。これは、まず民間機としてアメリカで認証を受けて、それを元に防衛省向けを開発する。これは、川崎重工&エアバス・ヘリコプターとのコンペの結果スバル&ベルが選定された。

3.防衛省向け滞空型無人機の開発
これも防衛省向けの研究開発で、大陸間弾道弾の発射をいち早く検知してイージス艦へデータを送る役目を担うOPV(Optionally Piloted Vehicle)。OPVとは、有人操縦機としても使用可能な無人航空機のことをいう。

4.米海兵隊所属のMV-22オスプレイのメンテナンス事業
千葉県木更津でのオスプレイの重整備をスバルが請け負うことになった。

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