新型Aクラス・開発者インタビュー「MBUXのすべて」 「自社開発にこだわったのは、クルマを知り尽くしているから」 メルセデス・ベンツの新型Aクラスで注目のMBUXを徹底解剖!!【後編】
- 2018/11/03
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MotorFan編集部
「将来的には、クルマと家をつなぐことも可能」
──学習能力についてお尋ねします。クラウド上のソフトウェアモデルによって新しい流行語を覚えたりするとありますが、それを覚える仕組みはどのような方法なのでしょうか?
「新しい表現や言葉が出てきた場合、質問を投げかけてもシステム側が理解できないことがあります。それを色々な人が同じ表現や言葉を使っていると我々が新たな表現や言葉であると判断し、MBUXの頭脳であるサーバーのアルゴリズムトレーニングを施してシステムが学習するようになるのです。つまり、MBUXは言葉を覚えて進化していくのです」
──その更新は毎日行われているのでしょうか?
「クラウドを使うことでデータをすぐにアップデートすることができます。ソフトウェアのモジュールを使っているので、新たな表現が出てきた場合、クラウドにつながっていればすぐに対応することができます。トンネル内などでクラウドにつながっていないときは古い表現のままとなりますが、その対応スピードを早くするようにセッティングしています」
──音声認識を担当したニュアンス・コミュニケーションズ社やグラフィックスを担当したエヌビディア社のほかに、MBUXの開発パートナーがありましたら教えてください。
「ソフトウェアのベースの部分としてはハーマン社が挙げられます。また、ハードウェアの開発についても、数社のサプライヤーがパートナーとなって協力してもらいました。しかし、ユーザーインターフェイスを含め、大半のソフトウェアについてはメルセデス・ベンツ社内のプログラマーが手掛けました。その開発拠点は米シリコンバレーや独シュトゥットガルトで、AIのアルゴリズムについても同じように社内で開発しました」
──自動車の音声入力については、グーグルやアマゾンなど他の多くのIT企業が手掛けています。そうした企業が持つ音声入力に対して、メルセデス・ベンツが独自に開発したシステムの強みや優れている点を教えてください。
「一番大切なことは『我々はクルマのことが良く分かっている』ということです。走行時に発生する風切り音などのノイズに対し、システムがきちんと動作するように音声のアルゴリズムを調整しています。その結果、とても優れた音声認識が可能となりました。もうひとつは、メルセデス・ベンツのシステムを使うことによってクルマの中の機能をコントロールすることができる点です。これはスマートフォン単体ではできないことです。つまり、MBUXはユーザーに包括的な体験(エクスペリエンス)といったものを提供することができるので、ユーザーはクルマとスマートフォンの間を行き来する必要がなくなりました。さらに、将来的にはクラウドを経由して、グーグルホームやアマゾンエコーとの連携が実現すれば、クルマと家をつなぐことも可能だと思います」
──ナビゲーションの進化ポイントを教えてください。
「一言で言うと、単なるナビゲーションシステムではない、ということです。音声で制御できる点やクラウドへの接続性も加え、多くの能力を備えました。従来モデルにはないシステムで、全面的に進化したナビゲーションとなっています」
──例えば、目的地に着いてクルマから離れるとき、スマートフォンと連携したサービスなどは考えていますか?
「もちろん。メルセデス ミー コネクトのアプリを使用することで、すでに実現しています。MBUXの開発にあたり、我々が重要視したのは、まず直感的であるべきということでした。さらに包括的な体験を提供できるシステムでなければならない、ということです。そして、それを実現させるために、ユーザーを中心に考えて開発するということでした。通常、クルマで出かけるときは、クルマからスタートするのではなく、家から移動が始まります。メルセデス ミー コネクトのアプリを使用すれば、自宅のリビングで目的地を設定してそのデータをクルマに転送し、目的地に到着したあともスマートフォンで案内を続けることができます」
──ACCの操作などクルマの運転に関する操作はできないのですか?
「安全に関する特定の機能については操作ができないようにしています。例えば、スタビリティコントロールやブレーキコントロールシステムの操作はできません。ナビゲーションの目的地については、音声コントロールによって走行中でも設定できるようになりました」
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