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自然吸気で1000ps! アストンマーティン・ヴァルキリーのV12エンジンの詳細が明らかに〈ASTON MARTIN Valkyrie〉

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アストンマーティンが開発中のハイパーカー、Valkyrie(ヴァルキリー)に搭載されるV12エンジンの詳細が明らかになってきた。ベールに包まれていたその驚異的なパワーユニットのスペックの一部が公開されたのだ。技術パートナーであるコスワースと共同開発したV12エンジンには、究極の内燃エンジンを開発するという単純かつ極めて明快な狙いが込められている。

新開発V12ユニットの概要は下記の通り。

● 新開発された自然吸気6.5L 65°V12エンジンの最高出力は1000bhp
●レブリミットはレーシング・エンジン並みの1万1100rpm
●コスワースがF1で蓄積したノウハウ、素材、メソッドを惜しみなく投入して共同開発
●シャシーの一部として機能するエンジンの単体重量はわずか206kg
●排ガス規制および耐久性に関する目標をすべてクリア

リッター当たり出力は154ps!

 このプログラムは、当初から自然吸気エンジンを前提として開発が進められた。現在、ターボチャージャーは時代の要求を背景に全盛期を迎え、とくに量産車では幅広いエンジンに採用されている。その反面で、非常に高いスキルを備えたドライバーは、パフォーマンス、エキサイトメント、エモーショナルな面で、絶対的な頂点に君臨するエンジンを求めている。つまり、一切の妥協を排した自然吸気エンジンだ。

 新たに開発されたエンジンは、最高傑作と呼ぶにふさわしい仕上がりを誇っている。6.5Lの65°V12エンジンは、並外れた新基準を設定しているのだ。最高出力は驚異的な1000bhp/10500rpm(リッターあたり出力:153.8bhp)! 最高回転数は、排ガス規制に適合し、公道走行可能な四輪車に搭載されるエンジンとしては異例の1万1100rpmに達する。最大トルクは740Nm/7000rpmである。これらの性能値は、純粋に内燃エンジンが発生する数値だ。Valkyrieには、バッテリー・ハイブリッド・システムが搭載されるため、その総合的なパフォーマンス値は、さらに強化されることになるだろう。ハイブリッド・システムに関する詳細は、後日改めて発表される予定だ。

エンジン単体重量はわずか206kg

 コスワースがF1で培ってきた専門技術は、エンジンの重量だけを見ても明確に証明されている。このエンジンは、完全にシャシーの一部として機能するための剛性を備えているだけでなく(エンジンを取り外すと、前輪と後輪を接続するコンポーネントは一切なくなる)、燃焼システムには高度なテクノロジ−が採用されているため、重量の削減は大きな挑戦だったという。特に今回のプログラムでは、長期的な素材特性が証明されていない新しい合金を使用することを意図的に避けたことにより、そのハードルはさらに高いものとなった。

 エンジンブロック、シリンダーヘッド、オイルサンプ、カムカバー構造体といった主要部品には鋳造コンポーネントを採用し、主なエンジン内部部品には、金属の塊を削り出したコンポーネントを使用している。これには、チタニウム製のコンロッドとF1仕様のピストンが含まれる。これにより、理想的な特性を備えた素材の使用が可能になるだけでなく、超高精細な機械加工プロセスによって、より安定した品質が実現し、質量に対する強度を最適化することが可能になった。

 その結果、エンジン単体重量は、わずか206kgに抑えられている。例えば(FIAによって重量制限が課される前の)コスワース製3.0L V10のF1エンジンの重量は97kgだった。もしこの純粋なレーシング・エンジンを6.5Lにスケールアップした場合、重量は210kgになるはずだという。

 特に注目すべきコンポーネントは、ビレット(金属の塊)から削り出したクランクシャフトだ。直径170mm、長さ775mmのスチール製の棒から加工したこのクランクシャフトは、最初に荒削りが実施された後、熱処理され、機械加工され、さらに熱処理され、ギヤが削り出され、最終の削り出し加工が行われ、さらに仕上げ処理が施される。1本のシャフトが完成するまでに、約6カ月の歳月をかけてオリジナルの金属棒の80%が削り取られるという。

 こうして完成したシャフトは、Aston Martin One-77のV12エンジンに使用されているシャフトより50%も軽量だ。コスワースがアストンマーティンのスーパーカー、One-77のために開発したV12エンジンは、その当時、量産車に搭載される自然吸気エンジンとしては、世界でもっともパワフルな性能を誇っていた。

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