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リヤエンジンの優位性 ルノー・トゥインゴをフィアット500、フィアット・パンダ、VW up!と徹底比較「ライバル車比較インプレッション」

  • 2019/09/05
  • ニューモデル速報
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RRならではの官能性もある!

 今回の4台は特別に引き締まったフットワークも、ハイグリップタイヤも持たないが、山坂道でもすこぶる小気味よく走ってくれるのは、当然ながら、小さくて軽いからだ。

 なかでもチャキチャキと小気味いいのは見た目どおりの500だが、実はパンダもロール剛性の高いスポーティテイストだったりする。up!はひとり100㎏以上軽いのにもかかわらず、ヒタリと路面に吸いつく接地感が素晴らしい。

 そこで、ちょいとスポーツカー気分で積極的に運転すると、トゥインゴはいよいよRRならではの味を発揮する。FFの3台とて無遠慮に踏んでもラインを乱すアンバランスさはまったくないが、トゥインゴのすっきり滑らかなステアフィールはやはり後輪駆動ならでは味わいである。荷重移動を意識しない操舵では、鼻先のレスポンスがちょっと鈍るのは前軸荷重が軽いせい。といって特別な運転術を要求するほどではないサジ加減はさすがである。

 そして、コーナー出口に向かってFFよりもわずかに早めにスロットルを踏みこむと、トゥインゴはじわりとお尻を沈めて、後輪が路面に食いついた脱出姿勢に移行する。「RRはナメたら怖い」は古来よりの一般常識だが、トゥインゴのシャシー能力は、この程度のトルクやパワーではビクともしない。RR特有の不安感は皆無といっていい。

 今回の4台に本格スポーツカー的な走りを要求するのは本旨ではない。しかし、この「FFよりワンテンポ早くアクセルが踏める」という点で、トゥインゴはあまたあるFFより、ちょっとだけスポーツカーな気分にさせてくれるのも事実なのだ。

 私は自家用車として新旧ルーテシアを2台同時所有する人間であり、自分で言うのもなんだが、ルノーびいき体質であることは否定しない。ただ、そういう私をもってしても、「自分が買うなら……」という妄想過程で、常にトゥインゴが独走していたわけではなかった。

 ひとつの商品としてキャラが立っているのは圧倒的に500だ。各部の静的質感も明らかにひとり高級であり、ガレージに置いたときに所有欲を最も満足させてくれるのは間違いなく500だろう。ほかの3台と比較すると、走りは少しばかり元気さ優先だが、それもまた500のキャラである。このカタチでセミオープンだから、居住性は期待できないとお思いの向きも多かろうが、実際は大人4人がけっこう健康的に座れるパッケージングも、500におけるちょっとしたサプライズだ。パンダは室内空間や高速のフラット感など、500で「ちょっと足りない」という部分を見事に解消した優秀な乗用車である。床下まで活用すればトランクはタップリ使える。

 これらイタリアンのパワートレインに多少のクセがあるのは前述のとおりだが、そこに喜びを見出せれば、圧倒的な武器でもある。きっちり回し切ったときのパワー感と爽快感はトゥインゴを軽々としのぐ。

 up!はとにかく完成度が高く、スキがない。高速でも街中でも山道でも、シュアで快適なフットワークを崩さない。実は後席も最も広く、諸元上は見劣りするエンジンスペックでも、圧倒的に軽いボディで、実際の走りは3台のターボに大きく引けを取らないのも素直に驚く。

 今という時代、小型車のパッケージングはFFこそ最善にして決定版とされる。それは多くのプロ技術者と我々シロートの間でも共有されている常識だ。ただ、こうしてトゥインゴを見せられると、その常識をあらためて疑いたくなった。

 フロントにエンジンがないことによる運転席まわりの自由度、そしてこれほどのロングホイールベースなのに、目前の景色が横っ飛びする小回り性能、そしてスッキリさわやかなステアリングフィールは、すべてRRゆえ……のトゥインゴの美点だ。さらに、たいしたパワーでなくとも、またアシをギチギチに締め上げずとも、プチスポーツカー気分を味わえるのもRRだからだ。トゥインゴの天地に浅いトランクは確かにRRのデメリットだが、普段使いのパーソナルカーとしては致命的なそれではないだろう。

 FF最大のメリットは、クルマの根幹がフロントに集約されるために、ひとつの基本骨格からバリエーションが広く展開できる点にある。だが、誤解を恐れずにいえば、それは単に作り手の都合でしかない。

 1台の小さなクルマとしての理想像は、実はRRなのではないか……。初代スマートや三菱i(アイ)に初めて触れたときにおぼろげに抱いた感慨は、今回のトゥインゴでさらに強くなったりもした。

 まあ、私ごときがそう断言できるほど、クルマの世界は単純なものではないし、そんなことを思いつつ、4台をとっかえひっかえ乗るたびに「あれかなあ、これかなあ」という皮算用がいつまでも止まらなかった。今回の4台にはそれぞれに、細かい部分での優劣があるのは確かだ。この種の小さく安価なクルマは、あらゆる部分でギリギリの取捨選択がせまられる。だから、良くも悪くも各メーカーの思想や得手不得手、お国柄が出てしまう。我々クルマ好きにとってはそこが魅力である。

 シツコイようだが、「5ナンバーでアンダー200万円」という日本の庶民感覚にドンピシャの輸入車は、実質的にこのクラスにしか選択肢がない(最近、VWポロにも199万円モデルが出たが)。

 我々アラフィフオヤジは大昔の思い出に浸ってそれを嘆くべきなのか。それとも、こうして新型トゥインゴが加わったことに、勇気づけられるべきか。

RENAULT TWINGO〈革新を続ける大本命〉

1993年の初代デビュー以来、長きに渡ってAセグメントを牽引。モデルチェンジの度に革新的なパッケージングを提案してきたことでも知られる。三代目となる新型トゥインゴは、なんとリヤエンジン・リヤドライブを採用。エンジンは直列3気筒0.9ℓターボと、当面は限定モデルながら直列3気筒1.0ℓ自然吸気をラインナップ。前者にはクラス唯一となる6速デュアルクラッチ式トランスミッション、後者には5速MTを組み合わせる。

最高出力:71~90㎰
最大トルク:91~135Nm
車両価格:169.0~199.0万円

FIAT 500〈プレミアムAセグハッチの急先鋒〉

往年の名車のルックスとネーミングを現代に復活させ、Aセグメントにもプレミアムの概念を持ち込んだ開拓者。エンジンは直列4気筒1.2ℓ自然吸気と直列2気筒0.9ℓターボの二本立てで、5速シングルクラッチ式トランスミッションのほか、一部グレードには5速MTも用意する。「アバルト」ブランドでは過激なスポーツモデルをラインナップし、最高峰の695ビポストは190㎰を発揮。価格も845万6400円というハイエンドっぷり。

最高出力:69~85㎰
最大トルク:102~145Nm
車両価格:199.8~279.72万円

FIAT PANDA〈セグメントを代表するビッグネーム〉

1980年にジョルジェット・ジウジアーロの手による斬新なスタイル&パッケージングに仕立てられた初代がデビュー。三代目となる現行モデルも、5ドアボディ、フロント同様の上下開閉式となるリヤウインドウ、上下調整機構付きシートベルトなど、クラスのベンチマークらしい妥協なき仕上がり。気の利いたインテリアデザインも魅力的だ。日本仕様は直列2気筒0.9ℓターボ+5速シングルクラッチ式トランスミッションのみ。

最高出力:85㎰
最大トルク:145Nm
車両価格:213.84万円

VOLKSWAGEN up!〈質実剛健なベーシックモデル〉

1998年にデビューしたルポを源流に持つ、 Aセグメントにおいては後発の存在。その後フォックス(日本未導入)を経て2011年にup!の名で登場。日本仕様のエンジンは1.0ℓ自然吸気+5速シングルクラッチ式トランスミッションの組み合わせ。ラテン系が優勢のAセグメントにおいて、ゲルマン系らしい質実剛健さを求めるユーザーの受け皿となっている。欧州ではセアト版のミー、シュコダ版のシティゴーも販売されている。

最高出力:75㎰
最大トルク:95Nm
車両価格:154.8~194.0万円

ニューモデル速報 インポートシリーズ Vol.57 ルノー・トゥインゴのすべて

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パリが鍛えた本格コンパクト
導き出されたRRという最適解
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