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ポルシェ・タイカン: ポルシェ初のフル電動スポーツカー「911は内燃機関のみを積んだ最後のクルマになる」 「ポルシェ911は内燃機関のみを積んだ最後のクルマになる」EVスポーツカー、タイカンに秘められたポルシェの意図

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ポルシェ初のEVスポーツカー、タイカン(TAYCAN)

いよいよ、ポルシェもEVスポーツカーの分野に進出した。超高性能でライバルを圧倒するタイカン(TAYCAN)である。中国・上海で行なわれたテクニカルワークショップに参加したジャーナリスト、世良耕太がタイカンに込められたポルシェの意図をレポートする。

TEXT◎世良耕太(SERA Kota) FIGURE & PHOTO◎PORSCHE

すでに3万台を受注しているタイカン

「ポルシェの基本的なストラテジーは、マーケットの需要よりも1台少なく生産することだ」

800V充電システムの開発に携わったオットマー・ビッシェ(Otmar Bitsche)氏

──タイカンの走行性能についてはどう認識していますか?
「電気自動車にとって、0-100km/hの加速性能を高めることは簡単なことだ。何点何秒という数字で差別化するのは難しい」

──公式発表では、タイカンは0-100km/h加速を2.8秒、0-200km/h加速は9.8秒でこなすことになっています(いずれもターボS)
「タイカンはポルシェだから、ブレーキングや加速など、ビークルダイナミクス面に関してクレイジーなテストをする。(競合と)違うのは、発進加速を繰り返したときだ。リピータブルパワーと呼んでいるが、私たちは再現性を重視している。一般的には、0-200km/h加速を2回連続で行なうと、2回目の数字は少し悪くなる。10回行なえばかなり悪くなる。タイカンは0-200km/h加速を26回繰り返しても、数字はほとんど悪化しない。それを証明したビデオがある」

──スペック表に書いてある性能を1回だけ出して終わりではなく、繰り返してもへこたれない。
「世の中にはオーバープロミス、アンダーデリバーな(期待をあおっておきながら、数字どおりの性能が出ない)クルマがあるが、ポルシェは逆だ(公表する数字は控え目だが、実際はそれ以上の性能を発揮する)」

──トルクベクタリングについてはどう考えていますか?
「フロントアクスルでのトルクベクタリングに関しては、あまりベネフィットを感じていない。インホイールモーターについても同様だ。モーターは相対的に重く、ばね下荷重が増えてしまうからね。タイカンはフロントとリヤにモーターを搭載しているが、前後のトルク配分は後ろ寄りだ。4対6よりももう少し後ろ寄りだ」

──なるほど。タイカンはどの程度のセールスを見込んでいるのでしょうか。
「年間3万台を狙っている。ほぼパナメーラと同じボリュームだ」

──控え目にも聞こえますが。
「たくさん売ることは、私たちにとって重要ではない。特別な存在であることを狙っている。ポルシェの基本的なストラテジーは、マーケットの需要よりも1台少なく生産することだ」

ポルシェの現行モデルをボディタイプとサイズごとに分類したポートフォリオ。タイカンはサルーンに分類されるが、パナメーラとの競合を避けるためひとつ下のセグメントに落ち着いた。それでも全長5m級だが。だからパナメーラのEV版がタイカンというわけではない

──タイカンはなぜあのサイズ(全長4963mm)の4シーターセダンになったのでしょうか。
「ポルシェはCセグメントにセダンを持っていないからだ。パナメーラもセダンだが、Dセグメントに分類できる。カイエンはCセグメント。マカンはBセグメントで、いずれもSUV。ポルシェ内部で競争をしたくなかったから、タイカンはCセグメントの4シータースポーツカーとした。それにCセグメントなら、プレミアムな価格づけをすることができる」

(あくまでもポルシェの社内でのカテゴリー呼称だろう。一般的な分類よりそれぞれ1クラスずつ小さい呼称になっている。通常であれば、カイエンはDセグ、マカンはCセグ、タイカンはDセグに分類されるはずだ)

──タイカンに対する反応はいかがでしょう。
「すでに3万件の予約を受け付けている。そのうち50%が新しいカスタマーだ。つまり、これまでポルシェを経験したことがない顧客ということになる。たぶん、本物のクルマが欲しくなったんだろう」

──それはテスラを意識して言ってます?
「テスラは私たちの競争相手ではない。私たちの挑戦はEVのポルシェを作ることだ。EVでリアルなポルシェを作る。効率の高さがテスラと違うところだ。Cd値は0.22で、とても空力がいい。このことは、高速域での航続距離に効く。リアルなドライビングコンディションでは、カタログが示す数値以上に良い印象を感じられると思う」

タイカン・ターボの0-200km/h加速は9.8秒。10秒を切る(0-100km/hは2.8秒!)が、タイムよりも発進加速を繰り返したときのパフォーマンスの低下が極めて小さいことが特徴だ。ポルシェはそれを「リピータブルパワー」と呼んでいる

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