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正月の風物詩「デトロイト・モーターショー(NAIAS)」はなぜ2020年から6月開催になったのか? 東京モーターショーのような復活劇はあるのか?

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世界では毎月どこかでモーターショーが開催されているが、その中でも新年初のモーターショーとして有名なのがデトロイトショー(北米国際オートショー)だった。だった……と言うのには理由があり、実は今年、2020年から毎年6月の開催に変更されたのである。筆者を含めた自動車メディアに関わる人の多くは、「正月開けたらデトロイト」という習慣が出来ていたため、今年は何だか拍子抜け……といった感じもある。

なぜ、デトロイトショーの開催月が変更されたのか? そして、それは何を意味しているのか? 2004年からほぼ毎年取材に行っている筆者なりに考察していきたいと思う。

REPORT●山本シンヤ(YAMAMOTO shinya)

アメリカのビッグスリーのお膝元で開催されるデトロイト・モーターショー。彼らにとって最も重要なモーターショーであることは言うまでもない。

会場内に人工の雨を降らせた!

 世界初のモーターショーは1898年のパリモーターショーだが、デトロイトショーはその9年後となる1907年に開催。以降、長きに渡ってアメリカのモータリゼーションの成長を見守ってきた。主役はデトロイトに本拠地がある元ビックスリー(GM、フォード、FCA)だったが、北米進出を狙う日本勢や欧州勢も力を入れており、1989年に国際格式のモーターショーへと昇格している。

 会場は1965年からダウンタウンにある「COBOホール」。目と鼻の先にGMの本社ビルが見え、川向かいにはカナダが見える立地だ。僕が行くようになった時期の地元勢のGM/フォード/クラスラー(現FCA)3社の力の入れようは半端ではなかった。

 フォードはブースとは別に屋内競技場を借り切ってカンファレンスを実施。GMはCOBOホールの1/3近くを占める展示スペースを用意。クライスラーはCOBOホール前の一般道を封鎖して新車のお披露目や会場内に雨を降らせたことも!! とにかくパワーがあった。

 また、北米進出を狙う日本メーカーにとっても重要なモーターショーのひとつであり、1989年にはレクサス/インフィニティのお披露目の場として用いられたことも有名である。

 そんなこともあり、筆者がデトロイトショーに行き始めた頃の世界初公開モデルはとにかく膨大な数で、当時はプレスデーが3日用意されていたにも関わらず、すべてを取材/撮影するとなるとまったく時間が足りなかったのを覚えている。当時所属していた編集部でデトロイトショーを記事化した号を振り返ると、どれも20ページ以上に渡る大特集ばかりなのはもちろん、一冊丸ごとデトロイトショーという別冊を作成した記憶も懐かしい思い出だ……。

日本のメーカーにとってもデトロイト・モーターショーに出展することはおおいに意味があった。

 しかし、そんなデトロイトショーもリーマンショックを境に苦境に陥った。特にアメリカ勢の没落ぶりは致命的で、世界初公開の数の大幅減少に加えてブースの仕立ても質素な物に。「モーターショーブースで“景気”を測るバロメーターは『カーペット』である」と語った同業者がいたが、確かにその通りだった。

 また、出展を辞退する海外メーカーも増え、空いたスペースを有効活用できず休憩スペースに……。COBOホールはほかのメジャーなモーターショー会場と比べてもそれほど大きな会場ではないにも関わらず、それでもスカスカに感じたほど……。

 2010年前後に訪れた筆者は「今回でデトロイトショーに来るのも終わりかな……」と思ったほどだ。その後、アメリカ勢の業績回復で復活の兆しは感じられたが、かつての“強い”デトロイトショーに戻ることはなかった。

 これはデトロイトショーに限った話ではなく、世界のモーターショー全体に言えることだが、モーターショーの役割の変化だろう。(次ページへ)

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