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【クルマの教科書】レイアウト編-3MR(エムアール)

  • 2020/11/18
  • MotorFanアーカイブ編集部
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1894年7月22日にフランスでおこなわれた初めての自動車レース、パリ~ルーアン・トライアルのようすをつたえた絵。

クルマのカタログや雑誌、メディアでは、様々な専門的な用語が使われています。この連載ではそんな言葉をなるべくわかりやすく説明します。

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MR(エムアール)ってなんだ?

MR(エムアール)ってなんだ?

自動車は、エンジンを積んでいる位置と、エンジンで動かす車輪が前と後ろのどちらなのかの組み合わせで、より詳しく区別することができます。自動車のどこにエンジンを積み、前後どちらの車輪を動かすかの組み合わせのことを、自動車の「レイアウト(配列(はいれつ))」と言います。
その中で、「自動車の車体のまん中あたりにエンジン(ミッド・エンジン)をつみ、後ろの車輪を動かす(リヤ・ホイールドライブ)」ものを英語で「ミッド・エンジン、リヤ・ホイールドライブ」と言い、その英語の頭文字をとって「MR(エムアール)」と言います。

また、人や会社によっては「ミッド」ではなく「ミド」と書いたり、「ミッドシップ」とか「ミドシップ」と書いたりしますが、同じことをさしています。
なお、「ミド」は「ミッド」を、より英語の話し言葉に近づけた書き方です。
「ミッドシップ」あるいは「ミドシップ」は、「船(=シップ)のまん中あたり(ミッドまたはミド)」という意味で、自動車の車体を船の船体(せんたい)に見立てて言った表現になります。

MR(エムアール)=自動車のまん中あたりにエンジンをつみ、後輪を動かすレイアウト

自動車の部品の中でもっとも重いのはエンジンです。自動車がカーブを曲がるとき、このエンジンの重さに遠心力(えんしんりょく)という、回転の中心から外へ向かって進もうとする力が働きます。この力は、物の重さが大きければ大きいほど強くはたらく性質を持っています。

たとえば、ちょっとあぶないのですが、金づちをふつうに柄(え)のほうを持って手首でふってみます。すると、動かす力は重く、止める力も大きいことがわかるでしょう。
今度は逆に金づちの先端、金属のつちの部分を持って手首で振ってみます。すると、さっきよりも動かす力も止める力も軽くなっているはずです。
つまり、重さが重い金属製のつちが、金づちを振りまわす動きの軸となる手首に近いところにあったほうが、動かす力も止める力も小さくてすむわけです。

これと同じで、自動車の中でもっとも重い部品であるエンジンを、自動車がカーブで曲がるときの軸となる、車体の前輪と後輪の間に置けば、カーブを曲がるときに、遠心力の影響を受けにくくなり、より軽く自動車を動かせ、安定して走れる性能を引き出せるという考えで使われるのがMRというレイアウトです。

自動車の車体の前後の車輪にかかる重さに差がなくなるため、自動車が走る姿勢も安定し、また、カーブでもすばやく曲がることができるため、MRはF1(エフワン)マシンのようなレーシングカーや、はやく走るためにつくられたスーパーカーやスポーツカーによく使われます。

しかし、MRには、エンジンを車体の前輪と後輪との間に置くため、人が乗る場所や荷物をのせる場所がせまくなってしまうという欠点があります。このため、エンジンそのものの厚みをうすくしたり、横だおしにつんで見かけの厚みをうすくし、その上に人が乗ったり荷物をのせる場所を作るという、2階だてのような形にしてMRとした自動車もあり、一部のミニバンや軽トラック、バスなどで使われました。

世界初のMR車は1901年につくられたアメリカのオートカーでした。これはいすの下にエンジンを置き、後輪を動かして進みました。(スミソニアン博物館 蔵)

また、実はMRには、くわしく言うと、人が乗る場所のうしろにエンジンを置くレイアウトと、人が乗る場所の前にエンジンを置くレイアウトがあります。

ふつうMRと言うと、F1マシンのように、人が乗る場所の後ろ、後輪の軸より前にエンジンを置くものを言うことが多いのですが、これをとくにRMR(アールエムアール)、「リヤミッド・エンジン、リヤ・ドライブ」と言う場合があります。

これと逆に、人が乗る場所の前、前輪の軸より後ろにエンジンを置くもののことを、FMR(エフエムアール)、「フロントミッド・エンジン、リヤ・ドライブ」と言います。

RMRはエンジンを後ろにつんで後輪を動かすため、エンジンと車輪との間が近いので、エンジンの回転を後輪につたえるためのプロペラシャフトは、だいたいの場合は必要ありません。

これに対して、FMRはエンジンを前につんで後輪を動かすため、FR(エフアール)と同じく、プロペラシャフトが必要になります。ただしプロペラシャフトの長さはFRよりも短くてすみます。
FMRはFRとたいして変わらない性格のため、人や会社、あるいは本によっては、FRの仲間に入れられ、とくに区別しないことがあります。

エンジンが前輪の軸より後ろに置かれたほかは、FRと変わらないため、FRの仲間に区わけされることもあります。

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