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アウディの新型EV「e-tron GT」がドイツ・ネッカーズルムのベーリンガーホフ工場で生産開始! ドイツ国内で初めて生産されるアウディEV

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アウディはこのほど、2021年春から受注を開始する4ドアクーペの新型ピュアEV「アウディe-tron GT」の生産を、ドイツ・ネッカーズルムのベーリンガーホフ工場で開始したことを明らかにした。

旗艦スーパースポーツ「R8」と同じ生産ラインを使用。そのためにベーリンガーホフ工場は高い柔軟性を備えるハイテク生産施設へと生まれ変わった

アウディブランドのもっともパワフルな電気自動車である「e-tron GT」の生産が、ネッカーズルムのベーリンガーホフ工場で始まった。この工場で採用される製造プロセスは、クルマと同様に非常にユニーク。アウディの歴史において、市販車の生産準備がこれほど短期間で整ったことはないという。

同工場でマネージャーを務めるヘルムート・ステットナーは、次のようにコメントしている。
「アウディの製品ポートフォリオにおいて、電気駆動方式とスポーツ性を兼ね備えたモデルであるe-tron GTは、ネッカーズルムの拠点、特にベーリンガーホフのスポーツカー生産工場の特徴と完璧にマッチしていました。新型コロナウイルス感染症のパンデミック下においても予定どおりに生産が開始できたのは、これまでに蓄積してきた数多くの能力と、素晴らしいチームワークの結果です」

ネッカーズルムの拠点では、すでにプラグインハイブリッド車の生産に焦点を当てており、A6、A7、A8のプラグインハイブリッドおよびマイルドハイブリッドバージョンにより、アウディの生産拠点の中でも電動化モデルの割合がもっとも高くなっている。
「e-tron GTは、ドイツ国内で初めて生産されるアウディの電気自動車です。これによって私たちは、未来に向けて次の大きな一歩を踏み出します」とステットナーは付け加える。

持続可能なのは、このグランツーリスモの駆動コンセプトだけではない。ベーリンガーホフ工場の生産プロセス全体が、完全にカーボンニュートラルなものになっているのだ。2020年の初めに、ネッカーズルムの生産拠点全体が使用する電力は、すべてグリーン電力に切り替えられた。バイオガスを燃料とする熱電併給プラントは、ベーリンガーホフ工場が車両の生産において必要とする熱を供給する。再生可能なエネルギー源の使用に伴って、どうしても避けられない二酸化炭素の排出は、認証を受けた気候保護プロジェクトのカーボンクレジットを使用して相殺される。

AUDI AGで生産およびロジスティクスを担当するペーター・ケスラー取締役は、アウディが掲げる「Missio:Zero」プログラムの中心的な目標を要約して、次のように述べている。
「ブリュッセルとジェール工場の先例にならい、ベーリンガーホフ工場は、ドイツ国内のアウディ生産拠点として初めて、製造工程の完全なカーボンニュートラル化に成功しました。これはネッカーズルム拠点にとって重要なマイルストーンであり、2025年までに全世界においてカーボンニュートラル化を達成するという道のりにおける重要なステップです」

「Mission:Zero」環境プログラムは、環境フットプリントを効果的かつ持続的に削減するための生産とロジスティクスにおける様々な対策から構成されている。その焦点は、脱炭素化、資源効率、生物多様性、水の使用に関する革新的ソリューションなどが含まれる。

生産拠点において、重要な資源は節約され、原材料も現場でリサイクルされている。その最も良い例が、「アルミニウムクローズドループ」だ。その一例は、ネッカーズルムの拠点においてe-tron GTのサイドウォールフレーム製造の際にプレスショップから出るアルミニウムシートの端材を再利用する、クローズドリサイクルチェーン。このサイドウォールフレームは、絞り加工の最高点と最低点の差が35cmにものぼり、それによってホイールアーチのショルダー部分に、quattroブリスターと呼ばれる特徴的で力強い造形が生み出される。

この極めて困難なプロセスを実現するため、最先端のアルミニウム加工技術が採用されている。アルミニウムクローズドループにより、切断後のアルミニウムシート端材はサプライヤーに戻され、リサイクルされてアウディが再使用する。これにより、ネッカーズルムの拠点において年間数千トンの二酸化炭素排出量が削減されている。

環境に配慮したプロセスは、アルミニウムだけに留まらない。プラスチックのリサイクルでは、「古いものを新しいものに変える」という考え方を採用しており、現在進行中のパイロットプロジェクトでは、A6およびA7スポーツバックの組立作業に由来するプラスチック端材は仕分けおよび裁断されて、特殊な繊維に生まれ変わる。これらのフィラメントは、生産プロセスの3Dプリンターで使用される。

ベーリンガーホフ工場の社内3Dプリンティングチームは、各従業員の要件に合わせてカスタマイズされた多様な組立作業補助具の製造を担当。e-tron GTの製造には、そのような補助具が100以上も使われている。リサイクルプロジェクトの目的は、完璧なポリマークローズドループを創出することだ。

原材料を節約するためのアプローチは、クローズドループだけではない。e-tron GTは、物理的なプロトタイプを製作することなく製造工程が計画された最初のアウディ。現在、生産現場で実際に使用されているすべて組立手順は、社内で開発したソフトウェアおよびVRアプリを活用して仮想的にテストを受けたものだ。繊細なパーツの輸送に使用する専用コンテナの一部も、新しい仮想メソッドを使用してプロトタイプなしで製作されている。これにより、金属だけでなく、部品を保護するためのパッケージも節約できる。キーワードは「廃棄物の削減と紙の節約」。

ボディショップと組立ラインでは、ほとんど紙を使用することはない。従来の書面による記録の必要性をなくしたメンテナンスアプリなどの新しいプロジェクトも、紙の節約に貢献している。ロジスティクスの面では、デジタルラベルがテストされており、これが実現すれば、さらに紙の必要性が少なくなる。

棚のパーツコンテナには、紙製のステッカーの替わりに電子ラベルが採用されるようになる。電子ラベルは、非常にエネルギー効率が高いだけでなく、変更があった場合に簡単に再プログラムすることもできる。これは、従来の使い捨てラベルに比べて重要な利点と言える。また、アウディのプロジェクトチームは、サプライヤーと共同で、梱包材の体系的なスリム化と廃棄物の削減につながるソリューション開発に取り組んでいる。

高品質、高性能、そしてディテールへの情熱は、ベーリンガーホフ工場の特徴となっている。2014年以来、アウディR8はこの工場で組み立てられている。ネッカーズルム拠点の中にあるベーリンガーホフ工場は、スポーツカーを熟練のスタッフが手作業で生産する場所であり、e-tron GTの生産に向け、2019年に拡張とアップグレードを受け、設備も一新された。アウディ史上もっともパワフルで最速のふたつの量産アウディモデルが、この工場で生産されているのである。生産責任者のウルフガング・シャンツは、次のように述べている。
「技術的にまったく異なるふたつのモデルが、ひとつの組立ラインで生産されるのは、グループ内でも非常に珍しいことです。EVの4ドアクーペの生産を引き受けることにより、ベーリンガーホフ工場は、高い柔軟性を備えるハイテク生産施設へと変容しましたが、熟練スタッフによる生産という特徴はそのまま保たれています」

この新型EVグランツーリスモ「アウディe-tron GT」は、来春のワールドプレミアに引き続き、受注が開始される予定だ。

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