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ホンダ・インサイト(初代)1999-2006 燃費競争の幕開け【週刊モーターファン・アーカイブ】

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現在のホンダ・ハイブリッドのIMAのすべてはここから始まった。燃費も環境も走りも全部大事にする、ホンダらしい提案が凝縮された世界初のMTも選べるハイブリッド・スポーツカー。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

レポート=佐藤幹郎(90年代国産車のすべて より 2011年刊)

いかにも空力の良さそうなレーシングカーのように徹底的に空力に拘ったボディは、Cd値0.25を達成。

CVCCなど環境技術で成長を遂げたホンダの、初のハイブリッドカーであるインサイト。NSX譲りのアルミフレーム、初代CR-X同様の樹脂製フェンダー、レーシングカーさながらのリヤホイールスカ—卜と空力技術など、20世紀のホンダの技術が満載だ。発売は1999年で、世界で2番目のハイブリッドカーだったもののCVTに加えてMTも設定されており、21世紀でもMTが楽しめる可能性を示した。

下面をフラットにして空気抵抗を低減
タイヤのストロークや視界にも配慮しながらリヤタイヤにカバーをし、フェンダーの絞り込みで整流。

そんなインサイトだが、番頭は3人いる。1人は71年入社の藤村章で、CVCCエンジンの開発も手がけておりインサイトではIMAを担当。そして2人目は斎藤政昭でアルミボディ等を手がけたボディのスペシャリスト。そしてホンダ初のターボやV6、VTECや直5の先行開発を担い、インサイトでも開発LPL(ラ—ジ・プロジェクト・リーダー)を努めた福尾幸一である。

ECA-MF2型1.0ℓ直3エンジン。 SOHCリーンバーンVTEC(ローラー同軸)を採用し、燃料効率を高めるとともに、軽量・コンパクト化やフリクションの低減を追求。

当時のホンダはオデッセイを始めとする「ムーバー」シリーズでかつてない勢いを保っており、経営状況は良好だった。S-MXこそ外したものの、スペシャリスト3人を投入してまで燃費最優先の開発をする切迫した状況にあったのだろうか? これについて開発の経緯を指示したのはF1でも監督を務めた川本信彦本田技研工業社長(当時)と福尾は語る。「川さんはそういうところがある。たがが弛んだところを見計らって時折、商売に合わないことを打ち出す。技術挑戦精神のたがの弛みを感知能カですごい活を入れるのです」

ニッケル水素バッテリー。総重量を約20kgに抑えた144Vの軽量コンパクトなバッテリーで、アシスト/回生の大電流の出し入れを容易に行なう。

実はこの時代、ヨ—ロッパでは3リッターカー(100km走る際の燃料消費を3ℓに抑える目標)、北米でも官民一体の燃料向上研究が始まっていた。それを見越しての開発ス夕—卜だったわけだ。そしてインサイトはすでに2人乗りで、デザイン骨格もスタートしていた中、トヨタ・プリウスが登場する。福尾は「2人乗りだからは言い訳にならない。もっと燃費を上げろ!」 川本の突き上げにより、開発陣のより厳しい切磋琢磨が始まった。

走行状況とバッテリーの残量に応じてモーターの駆動/回生を最適に制御するCPU。
DC-DCコンバーターとともに空冷化を実現。一体化することで、コンパクトで高効率なパッケージングを可能としている。

燃費ダントツの目標は立てた。福尾は「その目標を分解していくと、できるものではなく、当時の常識としては20km/ℓ出れば立派、30km/ℓは画期的で高すぎる数値でした。モ—夕—アシストの研究はやっていたものの、アメリカやヨーロッパで売ることを考えると空力も絶対ベストでなければならないし、重量も慣性重量カテゴリーに収めねばならない。そこでアルミボディを主とする軽量化を推し進めました」

軽量アルミボディ。押し出し成形材、ダイキャスト成形材、板材という成形方法を組み合わせたことで、
軽量で(シビックの半分)、さらに剛性が高い上に、部品点数は少ない。

ボディの軽量化は燃費に大きな影響を与える。
「何をやっても良いというので直噴もテストしました。ですが排気対策をきちんとやり欧米での使用条件での燃費を考えると、直噴はつらい。直噴では全負荷域では圧縮行程噴射では燃えず、吸気行程噴射にせざるを得ない。とすると、希薄燃焼・ポート噴射に比べて燃費が良くないのです。直噴は日本の10・15モードではよく使えますが、アメリカやヨ—ロッパではおいしい部分が小さい。このクルマはワールド・ス—パ—低燃費ですから120や140km/ℓの燃費も重要です」

中央まで伸ばしたナセルの下に、視認性&操作系&エアコン吹き出し口を集中配置してドライバーとの一体感をと、助手席の開放感を高めたインパネ。S2000にも通じる、パーソナルクーペ・テイストにまとめられている。IMAの誇示はなし。

加えてデザイナーにも数値目標を課した。従来燃費と言うと、エンジン屋ががんばる分野だった。だが福尾は「Cd値0.25が出るまでは風洞から出てくるなーと本当にデザイナーを閉じこめました」と語る。

現在も使われているIMAの開発も相当の苦労があった。バッテリーは非常に重たいうえ、バッテリーだけでは走行距離は短い。そこで発電機を積んで、ゼロ排気を要求される市街地はモータ—だけで走り、電池が少なくなったらエンジンで充電するという考えだ。エンジンを定格で回すと効率が良いという理屈だが、やってみると全然ダメだったという。
「やってみるとそんなうまい話はない。結局バッテリーはそれほど小型化できないし、30kwの定格で走れば良いといいますが、自動車の使い方は千差万別で、100ps欲しいときもあります。一体化したモータ—/ジェネレータ—で加速時にエンジンをアシストし、減速時に電気エネルギーを回生するーMAに到達したのは、発売の3年くらい前でした」

全点灯状態のメーター。中央上部に速度計、下に瞬問および平均燃費距離を表すFCD。左には回転計、右にIMAシステム作動表示灯&燃料計&バッテリー残量計を表示。ガソリン車から乗り換えても違和感がなく、それでいてアシスト&回生が解るように工夫されている。
シフトアップを促すインジケーター付きの5MT (35.0km/ℓ)と 専用設計の 、 CVT (32.0km/ℓ)を設定。
CVTには、アイドリングストップによってクリープが発生しないことから、登り坂で後退しないように坂道後退防止機能も付けられている。

発売時世界ナンバー1の燃費を誇るインサイトだが、市街地を主にするとか穏やかな走りを得意にするなどの限定条件は一切ない。ちなみにョーロッパ仕様はギヤ比が異なり、サ—ドギャ5800rpmで最高速180km/hに到達。しかもこの高速走行でもバッテリ—は持ち出しではなく、下り坂等で180km/hを超ると、モーター/ジェネレーターが回生して速度を抑える。もちろん180km/hに対応したシャシーやブレ—キ性能も持ち合わせている。

ホールド性に優れて長距離移動でも疲れにくいシート。基本骨格にハイテン材、シート地に従来よりも大幅に軽いスペースファブリックを使い、13.5kgと大幅に軽量化を図っている。ドラポジはまるでCR-Xのようだ。

軽くて空力に優れるというスポーッカーの技術で当時最高の35.0km/ℓ(MT)という燃費に優れたクルマを作る。インサイトはホンダらしいハイブリッドカ—であり、エコであっても走りを犠牲にしないというホンダらしさの塊でもあるのだ。

荷室は広くないが開口部が大きく出し入れがしやすく、ゴルフバック+スポーツバック2個を収納できる。フロア下のサブトランクはフライトケースくらいのサイズのものが入る。

SPECIFICATIONS:インサイト FWD(AT)

【寸法・重量・性能】
全長×全幅×全高:3940×1695×1355mm
ホイールベース:2400mm
トレッドF/R:1435/1325mm
車両重量:850kg
10モード燃費:32.0km/ℓ
【エンジン/モーター】
型式:ECA/MF2
種類:直列3気筒SOHC/交流同期型
総排気量:995cc
圧縮比:10.8
最高出力:70ps/5700rpm/9.2kW/2000
最大トルク:9.4kgm/ 4800-pm/5.0kgm/1000
燃料噴射装置:PGM-FI
燃料タンク容量:40ℓ
【走行伝達装置】
駆動:後輪
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:トーションビーム式
ブレーキ前:ベンチレーテッドディスク
ブレーキ後:リーディングディスク
タイヤ・サイズ:165/65R14

モーターファン別冊 その他のシリーズ 90年代国産車のすべて

■10~20年前のクルマに感動しよう!
 80年代という時代は、非常に興味深いクルマがふんだんに登場し日本の自動車史に名を残すモデルが目白押しでした。そこには80年代後半にむけて興ったバブル経済の影響も少なからずありました。逆に90年代はバブル経済の崩壊が代表的なキーワードとなることもあり、あまり良い印象がありません。同様にその当時のクルマもそれほどインパクトがあった記憶がないのです。しかし、情熱だけで押してきた80年代に対して、90年代は80年代に並行して行われていた技術開発が開花した時代でもあったのです。実は「クルマはこうあったらいいな」という思いが結実したのが90年代だったのです。そして興味深いのが、これらのクルマの多くは現在でも中古車市場で販売されている点です。程度は保証の限りであはりませんが、興味を持てたら自分のクルマにしてみるのも面白いかもしれません。

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