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エンジン車は、いつまで続くか。 その2「欧州はなぜ内燃エンジン(ICE)から逃げるのか」 2020〜2021年自動車産業鳥瞰図

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そしていま、EUは「環境投資」を呼びかけている。各国の政府系ファンドも動員して「環境に優しい事業を行なっている投資先に投資しましょう」と呼びかけている。火力発電の設備を作っている企業からは投資を引き上げ、風力発電やバイオマスに投資しましょうと呼びかけている。これは当然の話であり、EUが産業界の主役にしようとしている事業に世界じゅうの投資家の目を向けさせることが狙いだ。

しかし、いまのところ、どうにもならないことがひとつある。車載LiBを量産できる企業がEUには存在しないのだ。韓国のLGケミカルがポーランドにLiB工場を持っており、VWやルノーはここからLiBを調達している。中国のCATL(寧徳時代新能源科技)はドイツにLiB工場を建設中だ。しかし、どう計算してもこれでは足りない。だから欧州の自動車メーカーは中国と韓国と日本(生産量が足りず受注に苦しんでいるが)の電池メーカーからLiBを輸入している。

過去5年ほどで中国の電池メーカー大手は相当な額の資金調達を行なってきた。中国政府がLiBメーカーを支援し中国政府系ファンドも出資した結果だ。欧州の政府系ファンドも中国企業に出資した。しかし、LiB生産に必要な電力を中国と韓国のLiBメーカーが再生可能エネルギーによる発電で賄うことは不可能だ。これは現在の発電事情から容易に推測できる。とはいえ、中国と韓国にLiBを作ってもらわないとEUのECV政策が成立しない。だから「よその国の事情」としてEUは目をつむっている。

いっぽう、EUでは主要な自動車メーカーが自前のLiB生産拠点整備計画を進めている。EU委員会は2017年に欧州電池同盟(ヨーロピアン・バッテリー・アライアンス)を設立し、同時に電池産業を整備するために自由に使える資金調達手段を2019年から用意し始めた。それとは別に各国政府の財政支援も得られるようになった。補助金を否定し続けてきたEUの大変革である。欧州投資銀行(EIB)も2020年、車載LiB分野に10億ユーロの資金を提供すると発表した。

理由は簡単だ。もしこのままLiB供給をアジア勢に頼り続けると、EUの自動車産業は何百万もの雇用が危機にさらされる。BEV生産コストの30%以上がLiBである。同時に、標準的なBEVでは車両1台を生産するときに排出するCO2の4割強がLiB生産にともなうものだということが確認されている。ここに再生可能エネルギーを積極的に使わないと「環境に優しいBEV」という看板がウソになる。

スウェーデンのノースボルト社はEU域内唯一のLiBメーカーである。

現在、唯一のEU域内LiBメーカーはスウェーデンのノースボルトだ。元テスラの役員が設立したLiBメーカーでありEU産LiBの有力候補だが、「元テスラ」という点を良く思っていない一団がいる。基本的に欧州はアメリカの価値観が嫌いだ。EU域内でLiBを大量生産できるようになるまでには、まだ3〜4年はかかるだろう。まだEUにはLiBの原材料供給体制がないし研究開発部門もほとんどない。

ある市場調査会社の試算では、EUには年産600GWh(ギガワットアワー=1ギガは1兆)のLiB生産能力が必要だという。これに必要な投資は380億ユーロ(1ユーロ=126円で計算して4兆7900億円)以上であり、EUと欧州投資銀行の支援だけではまったく足りない。世界中の投資家から資金を募るとなれば、投資誘導のための「話術」が必要になる。

その話術の大前提は「CO2が地球温暖化の原因」という説だが、これについては反論が多い。約30年間、このテーマを取材してきた筆者は、過去にいくつかの「都合の良いデータ改ざん」があったことも聞いている。日本の福井県にある水月湖の湖底から採取された7万年ぶんの「奇跡的に混ざり合わなかった堆積物」の調査から、過去には現在より平均気温の高い時期が存在したことも確認されている。しかし、この事実もEUは無視し続けている。

CO2を悪者に仕立てなければEUの産業転換は始まらない。投資もEUに集まらない。だから、もはや地球温暖化の真犯人など誰でも構わない。CO2さえ悪者にしていればいい。案の定、日本もEUが撒いたエサに食らいついてきた。いま、EUが日本を攻撃しようとしているのは製鉄時のCO2発生など産業の根幹に関わる部分だ。この攻撃は政治的圧力ではなく投資会社による「日本外し」というやり方だ。ICEを捨てても充分に「おつり」が来る。

さて、日本はどうするのだろうか。(つづく)

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