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【最高に運転が楽しいクルマ|アルピーヌA110S】最も乗りやすく自在に操れるミッドシップスポーツカー!(斎藤聡)

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巧みなドライビングテクニックで知られるジャーナリストの斎藤聡さんが選んだ「運転が楽しいクルマ」の第1位は、アルピーヌA110S。タイムではなくドライバーとの一体感を重視したスポーツカーで、ロードスターとも通じるところがあるという。

TEXT●斎藤聡(SAITO Satoshi)

楽しいクルマを一口に言われても、たくさんありすぎてとても3台に絞ることはできません。というわけで、ここでは等身大(くらい)のクルマの中で、乗って感心、感動した3台のクルマを挙げてみようと思います。

第1位:ユーノス・ロードスター(初代)「ドイツ車的評価では×。が、人車一体の楽しさはピカイチ」

3位はマツダの初代ロードスターです。

このクルマの登場は衝撃的でした。1989年に登場したこのクルマは、スポーツカーの価値=速さといった風潮のなかで、当時オワコンといわれていたライトウエイトFRスポーツとして登場したのでした。エンジンは1.6Lでパワーも120馬力。しかもエンジンの吹き上がりはお世辞にも上質とはいいがたいガサツなものでした。ついでに言うとボディもオープンモデルということを差っ引いてもボディ剛性に乏しく感じるものでした。

だからドイツ車的な車評価軸に当てはめると全然ダメなクルマでした。けれども乗るとすこぶる楽しい。遅いエンジンを、シフトチェンジを駆使してスピードを保ち、ハンドルを切り出すとグラッと来るサスペンションを、ハンドルの切り方とアクセルワークで安定させてやる。すると思いのほか気持ちよく車が走ってくれるんです。ドライバーの技量とクルマの性能を一体にして走る、まさに人馬一体というか人車一体の楽しさを持ったクルマでした。

クルマの楽しさの本質を深く考えさせられるクルマでもありました。

1989年登場のユーノス・ロードスター。ユーノス店がクローズした2代目からは、マツダ・ロードスターの名称となった。
初代ロードスターは当初、1.6L(120ps)で登場。途中、1.8L(130ps)へと変更された。

第2位:スバル・インプレッサWRX STi スペックC(GDB型)「果てしない4WDスポーツドライビングの世界」

2位はスバル・インプレッサWRXです。歴代どのモデルも楽しいのですが、自分で所有していたGDB型WRX STi スペックCのD型にしておきます。

WRC(世界ラリー選手権)に勝利するために造られたスポーツカーというよりコンペティションカー(ベースモデル)といったクルマでした。水平対向4気筒のEJ20型エンジンにターボをガンガン利かせ強烈なパワーとトルクを発生していました。水平対向エンジン独特の鼓動も大きな魅力の一つでした。

それとともに衝撃的だったのが4WDならではの操縦性でした。すでに先代GC8型インプレッサやそのライバルであるランエボI、II、IIIの時代から4WDの走り方は徐々に解き明かされていましたが、広く知られていたFRやFFの走り方とはとは大きく違うものすが、4WDならではの運転の仕方を覚えると、ドライバーの意図通りにクルマが動いてくれる。4WDでスタビリティが高く、とても自由自在の操縦性などなさそうなのに、1歩踏み入れるとその先に果てしなく4WDスポーツドライビングの世界が広がっていたのでした。

刺激的な速さと奥深い操縦性に、毎日飽きることなく走ることを楽しんでいました。

1992年に初代が登場したインプレッサは2000年に2代目へ移行。A・B型が丸目ライト、C・D・E型が涙目ライト、F型が鷹目ライトとなる。
高性能バージョンのWRX STIをベースに、スペックCではレスポンスに勝るボールベアリングターボ、ドライバーズコントロールセンターデフを採用する。

第1位:アルピーヌA110S「ミッドシップを知り尽くしたエンジニアの功勲」

1位はここ数年で最も感動したスポーツカー=アルピーヌ110Sです。何しろ今まで乗ったミッドシップスポーツカーの中でもっとも乗りやすく自由自在に操れる(気がする)クルマだと感じました。

何しろ感心したのは、エンジニアがミッドシップのネガティブを熟知しており、絶妙の前後重量配分で悪癖をなくしているんです。

例えば前後重量配分はミッドシップやRRによくみられる前荷重時の巻き込みを消すために、前後重量配分を整え、44対56とすることでミッドシップならではのノーズの軽さと姿勢の安定性を両立しているんです。しかも重心位置とロールセンター軸のバランスを絶妙に整えることで、クルマをちゃんとロールさせながら限界領域で徐々に滑り出すようにチューニングされているんです。

スポーツカーといえども人が操るのだから、人とクルマとの連携が最も大切なのだというのをきちんとアルピーヌA110に作り込んでいるのを感じるのです。アルピーヌA110Sは、より速いリズムでのスポーツドライブに合わせたチューニングがなされているのです。タイムではなくドライバーとの一体感を重視したスポーツカーなんです。速さのレベルは違いますが、ロードスターとよく似たキャラクターであるともいえます。

「クルマが楽しいの本質」の一つはここにある、と改めて強く感じた1台です。

2018年から日本でも販売が始まったアルピーヌA110。その高性能バージョンがA110Sだ。
A110Sのエンジン出力は+40psの292ps、サスペンションのスプリングレートも約50%ハードに仕立てられている。

『運転が楽しいクルマ・ベスト3』は毎日更新です!

クルマ好きにとって、クルマ選びの際に大きな基準となるのは、
「運転が楽しいかどうか」ではないでしょうか。

とはいえ、何をもって運転が楽しいと思うかは、人それぞれ。「とにかく速い」「速くないけど、エンジンが気持ち良い」「足周りが絶品」などなど、運転を楽しく感じさせる要素は様々です。

本企画では、自動車評論家・業界関係者の方々に、これまで試乗したクルマの中から「運転が楽しかった!」と思うクルマのベスト3を挙げてもらいます。

どんなクルマが楽しかったか。なぜ楽しいと感じたのか。それぞれの見解をご堪能ください。

明日の更新もお楽しみに!

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