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【最高に運転が楽しいクルマ|ダットサン・ベビイ】小学生も乗れるこども用自動車。しかし中身は本格的だった!(渡辺陽一郎)

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渡辺陽一郎さんが選んだ「運転が楽しいクルマ」の第1位は、ダットサン・ベビイ。こどもに自動車交通教育を施すために造られた、こども用自動車だが見た目も中身も手抜きなし。自動車業界において、このベビイがクルマ好きになるきっかけとなった人は少なくない。

TEXT●渡辺陽一郎(WATANABE Yoichiro)

第3位:2代目スズキ・ジムニー1300「最新ジムニーでは決して味わえないダイレクト感」

スズキの2代目ジムニー1300は、当時在籍していた編集部で使っていたこともあり、頻繁に運転を楽しんだ。今のジムニーと違ってパワーステアリングなどは装着されず、操る感覚がとても強いクルマであった。

走行安定性は低かったが、面白さもある。例えばカーブを曲がっている最中に、アクセルペダルを素早く戻すと、内側の後輪がピョコンと持ち上がった。後ろを友人のクルマが走っていた時は、ちょっとヤリ過ぎてしまい、内側の後輪に加えて前輪まで持ち上がった。あの時は少々焦ったが、いろいろと遊べるクルマであった。

もちろん一番楽しいのは悪路で、パートタイム式4WDによって前後輪を直結させると、デコボコの激しい悪路も軽快に走破できる。パートタイム式は前後輪の回転数を調節できず、舗装路は2WDで走るが、機能がシンプルだから悪路では駆動力の伝わり方が良く分かる。

あそこまでダイレクト感の伴う悪路走行は、今のジムニーでも味わえない。

2代目ジムニーの途中(1984年)から加わったのが、1.3L4気筒エンジンを搭載するジムニー1300。写真は、ルーフが盛り上がったパノラミックルーフ仕様。

第2位:初代ダイハツ・ブーンX4「アクセルワークでクルマの向きを自在にコントロール」

悪路のジムニーと同様、舗装路で「これは楽しい!」と感動したクルマがダイハツ・ブーンX4だ。モータースポーツ参戦用に開発され、その規則に合わせるため、エンジンは直列4気筒936ccツインカムターボを搭載する。最高出力は133ps(7200rpm)、最大トルクは13.5kg-m(3600rpm)で、4WDと5速MTを組み合わせた。

動力性能は高くないが、5速MTのギヤ比はクロスタイプ(ギヤ比の間隔が近い仕様)だから、高回転域を保ちやすい。車両重量は1トン以下だから車両との一体感も得やすい。アクセル操作により、車両の進行方向を調節する自由度を併せ持つ。前身となるストーリアX4よりも洗練されていた。

ダイハツのコンパクトカー、ブーンのモータースポーツ・ベース車がX4(クロスフォー)。936ccターボは133psを発生し、インタークーラーにはウォータースプレーも備わる。
メーター脇の別体式タコメーターが目を引くインテリア。写真はオプション装着車で、MOMO製革巻きステアリングやエアコン付き。

第1位:ダットサン・ベビイ「玩具ではない。本物の自動車だった」

1972年、私が小学校4年生の時に、初めて運転したクルマが「ダットサン・ベビイ」だった。1965年に神奈川県横浜市青葉区にある「こどもの国」が開園した時、日産が100台を寄贈した車両だ。

運転するのは子供だが、玩具ではない。愛知機械工業のコニーグッピーをベースに、クーペボディを架装していた。

コニーグッピーは、空冷2サイクル単気筒199ccエンジンを搭載するユニークな軽トラックで、前身1段/後進1段のトルクコンバーター式ATを搭載する。ダットサン・ベビイも、クラッチペダルを使うギヤチェンジの必要がないため、子供にも運転できた。

ダットサン・ベビイの性能は、最高出力が7.5ps(5000rpm)、最大トルクは1.3kg-m(3200rpm)で、車両重量は430kgであった。

利用するには、まず園内の教習所で交通法規を勉強して、次は教習コースを走る。助手席に教官が座り、合格すると仮免許が得られる。その後にクローズドされた本コースを走り、合格すると運転免許が交付された。

50年近く前の出来事だが、運転感覚は鮮烈に覚えている。単気筒エンジンだから、発進時にアクセルペダルを軽み始めると、「タンタンタン...」と威勢の良い音が響く。若干の時間を置いて発進した。

その後に速度を高め、時速20kmを超えると「ビー」と警報のクラクションが鳴った。2ストロークのトルコンATだから、アクセルペダルを戻してもエンジンブレーキはほとんど利かず、4輪ドラムブレーキを作動させる。真空倍力装置は装着されていなかったと思うが、ボディが軽いから、ブレーキが利かない印象もなかった。

サスペンションは前輪がダブルウイッシュボーン、後輪はトレーリングアームだが、本コースの路面は荒れていて振動が直接伝わった。差し込んであってキーが振動で抜け落ちることもあった。

それにしても1965年頃に、本物の自動車を小学生に運転させる試みは、きわめて進歩的であった。当時急増していた交通事故から子供達を守り、優れたドライバーを育成するという強い想いを感じる。

運転免許を受け取る時、「ゴーカートではないから、ブレーキペダルは右足で踏んでね」と教官からアドバイスされた。運転するのが玩具ではなく、本物の自動車だからこその言葉だったと思う。

ちなみにダットサン・ベビイのデザイナーは故・松尾良彦氏で、後に1969年に発売された初代フェアレディZのデザインを手掛けられた。後年、松尾良彦氏にダットサン・ベビイの思い出を話した時、「渡辺君も乗ったのか。クルマの開発者と話をしても、子供の頃に運転した人が多いんだよ」と返答された。

あの時、ダットサン・ベビイに乗るために順番待ちをしていた子供達の何人かは、立派な大人に成長して自動車産業を支えているらしい。私にとってダットサン・ベビイは、運転の楽しさを最初に教えてくれた恩人にほかならない。

※日産のホームページ(ヘリテージコレクション)の表記に従い「ダットサン・ベビイ」としています。

ダットサン・ベビイは、1965年にオープンした「こどもの国」のために日産が専用に設計・開発した車両。
こども用だが、4輪独立サスペンション、トルコン付きトランスミッション、交通法規に即した灯火類など本格的な構造を備えていた。

『運転が楽しいクルマ・ベスト3』は毎日更新です!

クルマ好きにとって、クルマ選びの際に大きな基準となるのは、
「運転が楽しいかどうか」ではないでしょうか。

とはいえ、何をもって運転が楽しいと思うかは、人それぞれ。「とにかく速い」「速くないけど、エンジンが気持ち良い」「足周りが絶品」などなど、運転を楽しく感じさせる要素は様々です。

本企画では、自動車評論家・業界関係者の方々に、これまで試乗したクルマの中から「運転が楽しかった!」と思うクルマのベスト3を挙げてもらいます。

どんなクルマが楽しかったか。なぜ楽しいと感じたのか。それぞれの見解をご堪能ください。

明日の更新もお楽しみに!

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