異質なスイングアームと極太タイヤ、マフラーの取り回しが一体となった迫力ある構成。

細部の仕上げも超一級!違和感のない究極スワップ

遠くからこだまする直4サウンドは、別に珍しくもない。遠目に見えるバイクが丸目ネイキッドなら「CBかZか……」となるのがバイク乗りの常識だろう。ところが、車体が近づくと同時に混乱する。12インチのミニバイクなのに、4気筒のエキパイが輝く王道のZⅡフォルム。〝フォーン〟というサウンドを奏でる以上、ダミーのエキパイとは考えられない。二度見するどころか、凝視せざるをえないのだ!

王道のZⅡ風スタイルながら、その中身は完全に別モノというギャップが際立つ。

なぜエイプに直4を積んだのか?

原付カスタムの常識を破る直4エンジンスワップのエイプは、想像以上の完成度で颯爽と撮影現場に現れた。このエイプ改を製作したのは、ズーマーなどのカスタムで知られるjin,YUMETAKEさん。たまたまエイプとバンディット250Vを所有していたことから、エンジンスワップ計画を思いついたという。まずはサイズ的に載るかどうかを吟味し、ドナーのフレームを用意してから移植手術が始まった。

バンディット250Vのエンジンを搭載するため、エイプのメインフレームを加工。接続部には入念な補強が入れられている。

フレーム加工とレイアウト、成立させるための工夫

まずはエンジンの搭載位置。エイプのフレームとバンディットのフレームをドッキングし、バランスを見ながら現物合わせで切り詰めていく。固定位置が低いとバンク角がなくなるため、実用性を考えて極力上へ。フレーム接合部は強度確保のために補強が入れられ、リヤ側はズーマーのシートフレームを活用して剛性を高めているそうだ。

シートフレーム周りの補強も美しい。バッテリーなどを格納するためのカバーも見事だ。

最大の難関は“パーツのマッチング”だった

難関と思われるエンジン搭載よりも大変だったのはパーツのマッチングだという。すべてが現物合わせのため、買ってみないと確認ができない。ルックス的なキーパーツとなるヘッドライトやテールランプは、何個も買って加工し、納得できるイメージを実現している。

適度なスモーク具合が雰囲気たっぷりのヘッドライト。LEDの7インチタイプで存在感を発揮する。

補器類の収納とパッケージングの工夫

地味に大変だったのが補器類の収納で、エイプの外装で収めるのはまず不可能。そのためCD50用の8ℓタンクに積み替え、後方の隙間とモンキー用のサイドカバーで作った空間にバッテリーやCDIなどを押し込んだ。ちなみにラジエターのリザーバータンクは、オフ車のKLX用をリヤサス上にマウント。すべてWEB画像から「イケそう」と判断して購入し、現物合わせで仕上げたのだ。

バッテリーやCDIなどはフレームとタンクの隙間に入れ込み、モンキー用サイドカバーで見えないようにアレンジ。リヤショックはGSX400用の純正品で減衰調整付き。

ほぼワンオフで作り上げた驚異の完成度

切断、穴あけ、曲げ加工、各種溶接を含めほとんどが自作という4気筒エイプ。それでいてこのクオリティは、驚きとしか言いようがない。

スイングアームと極太タイヤ、マフラーの取り回しが一体となった迫力ある構成。誰も、エイプだと思うまい。

試乗インプレッション by HIDE川島

このコンパクトなサイズで直4サウンドを響かせて走るのは、とにかく痛快。コーナリングは太いタイヤの影響で少しクセがあるものの、完成度は上々。低重心のおかげで取り回しも軽く、こんな市販車があれば……と素直にホレボレだ。

ディテールチェック

12インチのコンパクトな車体にバンディット250Vの直4エンジンを搭載し、違和感のないネイキッドフォルムにまとめている。
エイプのコンパクトさを保ちながら、4気筒エンジンを違和感なく収めている点が見どころだ。
ワイドタイヤとロングスイングアームの組み合わせで、見た目の迫力だけでなく直進安定性にも寄与している。
補器類や配管の取り回しも現物合わせで構築。キャブレターや吸気周りも含め、直4ならではの密度感あるメカニズムが露出する。
タンクはCD50用と思われる8Lタイプに変更。タンクサイドにはmonsterのエンブレムが貼られている。
エンジン上部のディテール。バンディット250Vの直4ユニットをそのまま活かしつつ、車体に合わせてレイアウトされている。
バンク角を確保するため、YZF-R25用のバックステップを流用。ベースプレートを自作し、現物合わせで装着している。この技術力には恐れ入る。
チェーンは250ccエンジンの出力に合わせ、バンディット純正の520サイズを使用。リヤスプロケットはザムジャパン製の特注品で、チェーンガードは自作というのも驚きだ。
リヤホイールはファルコン製12インチ4.5Jで、タイヤはIRC製MOBICITY(140/70-12)を装着。スイングアームはバンディット純正だが、ホイールベースが長くなりすぎるため、アクスルシャフトは目一杯前に調整している。
サイレンサーはSCプロジェクト製。
エキゾーストパイプはバンディットの純正加工品で、集合部分はヨシムラ製を使用。バンク角に配慮してフル加工で仕上げている。
シート&テール周りはモンキー用のZⅡタイプを使用。テールランプは3タイプ購入してマッチングを吟味し、最終的に電球タイプで見慣れた王道仕様に落ち着いた。
ラジエターはバンディットの純正をそのまま流用。ホースやジョイント、キャップなどが飛び出しているが、エイプの車体では隠せるスペースがないためだ。
メーターはKOSOの汎用タイプを自作ステーでマウント。右上は電圧計で、バンディットの電装が弱いことから追加。右下は定番の水温計。
フロントホイールはファルコン製12インチ4.0Jを使用。タイヤはIRC製MOBICITYでフロント130/70-12。
アルミステムに、メーカー不明のエイプ用Φ31mmフロントフォークを使用。

【モトチャンプ】