外車の主力はイタリアン

ノートン製フェザーベッドフレームにトライアンフの650ccツインを搭載するトライトン。

日本のサーキットで開催されるクラシックバイクのイベント・レースで、最もよく見かける外車はトライアンフやノートン、BSAといったイギリス車である。

その理由は、生産台数が多く、補修部品の入手が比較的容易だから……のようだが、グッドオールデイズもてぎは以前からイタリア車が多く、2026年は14台がエントリー。しかもそれらの多くは、一般的なバイクライフではほとんど遭遇しない希少車だった。

流麗なデザインに惚れ惚れ

■1948 PARILLA MONOALBERO LUSSO(250cc) 日本のクラシックバイク界で最も知名度が高いパリラは、GSを筆頭とするハイカムOHVの単気筒車だが、1946年に創業した同社の第1号車は、OHCヘッドを採用する250cc単気筒車のモノアルベーロだった。パワーユニットのデザインはノートンを彷彿とさせるものの、イタリア車の流儀に従い、エンジンとギアボックスは一体型(ノートンを含めた同時代のイギリス車は、ほとんどが別体型)。
■1949 GILERA SATURNO(500cc) 1909年に創業したジレラは、1930年代にはベネリ、ビアンキ、ガレリ、モトグッツィと並んでイタリアの“ビッグ5”と呼ばれたメーカーで、1950年代の世界GPでは最高峰クラスで5回の王座を獲得。そんな同社の当時のフラッグシップが、1946年から発売が始まったサトゥルノだ。フロントのガーダーフォークと水平配置で筒内に収まるスプリング+摩擦式ダンパーのリアサスは前期型の特徴で、後期型はテレスコピックフォークとオーソドックスなツインショックを採用。
■1952 RUMI GOBBETTO SPECIAL(125cc) 1950年代のイタリアで人気を誇ったルーミの主力エンジンは、シリンダーを水平配置とした2ストロークツイン。この車両は市販レーサーのゴベット用フレームをベースとするカスタムマシンで、普段は保安部品を装着してストリートを走っていると言う。
■1958  F.B.MONDIAL 125GP BIALBERO 1948年から2輪事業への参入を開始したF.B.モンディアルは、当時としては先進的な構造のDOHC単気筒レーサーを擁して、黎明期の世界GPで5回のシリーズチャンピオンを獲得(125cc×4回、250cc×1回)。1959年から世界GP参戦を開始したホンダが、同社のマシンを参考にしたというのは有名な話である。
■1969 MOTOBI 250SS 1949年から活動を開始したモトビは、ベネリ一族の長兄であるジュゼッペが立ち上げたブランド。同社の特徴はタマゴを思わせるデザインのパワーユニットで、当初は2ストロークに力を入れていたものの、1950年代中盤以降は4ストロークが主軸となった。この車両は1960年代のレーサーを意識して、各部のモディファイを行っている。
■1976 MBA 50 UFO 1975年から活動を開始したMBAは、当時の世界GP125ccクラスで圧倒的な強さを誇ったモルビデリ製2ストレーサー(1975~1977/1979/1981年に125ccクラス、1977年に250ccクラスを制覇)のレプリカを生産するために生まれたブランド。UFOと命名した50cc単気筒車に加えて、125/250ccツインの販売も行われた。なおMBAは、1978/1980年に世界GP125ccクラスでシリーズチャンピオンを獲得している。

貴重な混血車と伝統の市販レーサー

冒頭で述べたように、グッドオールデイズもてぎはイタリア車が多いのだけれど、イギリス車が少ないわけではなく、今回は9台がエントリー。それらの中で特に注目度が高かったのが、ノートン+ヴィンセントの混血車であるNORVINと、ベロセット製市販レーサーKTTシリーズの最終型となったMkⅧだ。

■1960 NORVIN(1000cc) 1950~1970年代のイギリスでは、抜群の剛性と安定感を誇るノートン製フェザーベッドフレーム(原点はレーサーのマンクスで、後に量産車のドミネーターシリーズも採用)と、他機種用パワーユニットを組み合わせるカスタムが流行していた。この車両が搭載するのは、1940~1950年代に世界最速と呼ばれたヴィンセントの1000ccVツインで、500~750ccパラレルツインを搭載するTRITONやNORBSAなどと比較すると、クレードル内はみっちりという印象。
■1939 VELOCETTE KTT MkⅧ(350cc) 1920~1950年代に数多くのレースで栄冠を獲得したベロセットは、1929年からOHCヘッドを採用する350cc単気筒市販レーサー、KTTシリーズの販売を開始。その最終型として1939年に登場したのが、世界初のスイングアーム+油圧式ツインショックを導入したMkⅧだ。このモデルの大改良仕様となるDOHCヘッドのワークスマシンは、1949/1950年の世界GP350ccクラスで王座を獲得している。
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