右を見ても左を見てもレア車

1960年代にホンダが市販したCRシリーズは5台が参加。

クラシックバイクのイベントやレースの取材で、僕がいつも楽しみにしているのは、数多くのレア車に遭遇できること。そしてそういう視点で印象を述べるなら、4月29日にモビリティリゾートもてぎで開催された“グッドオールデイズもてぎ”は、ムチャクチャ楽しかった。

何と言っても2007年の初開催以来、毎年ゴールデンウィーク中に行われているこのイベントは、右を見ても左を見てもレア車だらけ……なのだから。

左が吉村不二雄さんで、右は1960年代にヤマハのワークスライダーとして活躍した宇野順一郎さん。ちなみに吉村さんは、1962年に九州・雁ノ巣で開催されたクラブマンレースにAJS 7Rで参戦した宇野さんの雄姿を、今でも覚えているそうだ。

なおグッドオールデイズもてぎは、基本的に1983年以前のロードバイク/レーサーなら何でもOKの参加型イベントだが(動態確認を目的とするライダーが多い模様)、特別企画を目当てにして来場する観客も少なくない。

“ヨシムラとホンダのレーシングヒストリー”をテーマとする特別企画が行われた2026年は、ヨシムラジャパンの2代目社長にして現在は相談役を務める吉村不二雄さんが来場し、デモランとトークショーを行うことが事前に予告されていたので、例年よりそういったお客さんの数が多かったようだ。

ヨシムラホンダの時代

パドックの一画に設置されたヨシムラブースで、最も目立つ場所に展示されたCB72は、なんと1960年代に吉村不二雄さんが愛用していたレーサー。

1970年代前半~中盤はカワサキZ系に注力していたし、1970代中盤からはスズキと密接な関係を築いているけれど、ヨシムラの名が日本全国に知れ渡ったのは、ホンダCB72/77(250/305cc)のチューニングに勢力を傾けていた1960年代である。

中でも、1964年に鈴鹿サーキットで開催された18時間耐久レースでの活躍(ホンダの社内チームを破り、ヨシムラチューンのCB77が優勝)は大きな注目を集め、以後は全国からチューニングの依頼が殺到することとなった。

20歳の頃に愛用したCB72を駆って、もてぎのレーシングコースを走る吉村不二雄さん。現在の年齢は77歳。
ヨシムラブースに展示された、CB72/77用パーツ。全部品を組み込んだ際の最高出力は、CB72:24hp/9000rpm→32hp/11500rpm、CB77:28hp/9000rpm→37hp/11500rpmに向上。
海外に輸出されたヨシムラのCB77用パーツ。純正部品(ピストンは1mmオーバーサイズで、バルブスプリングはレース専用のY部品)をベースに軽量化や研磨が行われている。木箱も当時モノ。
1960年代にヨシムラが手がけたCB72レーサー。エンジン搭載位置を上げるべく、ダウンチューブを追加。点火系はツインプラグが図られている。
1960~1970年代初頭のヨシムラは、4輪のチューニングにも積極的な姿勢を示していた。その発端はホンダが1964年から販売を開始したSシリーズで、S600やS800(写真)で学んだ4気筒エンジンのノウハウは、後にCB750フォアやZ1のチューニングに活かされることとなった。

1960年代のワークス・市販レーサー

1966年型スズキRK66(左手前。フレームはアルミ製‼)と、1966年型ブリヂストンEJR3(右奥)は、世界GP50ccクラス用のワークスレーサー。どちらのモデルも、エンジンはロータリーディスクバルブ吸気+後方排気の水冷2ストロークパラレルツイン。
 
1960年代のホンダは市販レーサーとして、50cc単気筒のCR110、125cc並列2気筒のCR93(写真)、250/305cc並列2気筒のCR72/77を生産。いずれのモデルも、動弁系はDOHC4バルブで、カムシャフトの駆動はギアトレイン式。
ダブルクレードルフレームにピストンバルブ吸気の空冷2ストローク単気筒を搭載するスズキM40は、1963年の東京モーターショーで大反響を巻き起こしたものの、量産化には至らなかったロードゴーイングレーサー。
 

1980年代のTT-F1・鈴鹿8耐レーサー

アルミフレームに空冷Z系の並列4気筒エンジンを搭載する、カワサキワークスの1983年型KR1000。リンクを用いたフロントのアンチダイブシステムやボトムリンク式リアショック、エキセントリック式アジャスターを装備する前後アクスルなど、基本構成は当時の世界耐久で活躍したレーサーに準じているが、このマシンは日本のTT-F1に参戦したスプリント仕様。
1981年の鈴鹿8耐を6位でフィニッシュした、スーパーモンキーのCB900F。ダブルクレードルフレームはオリジナルで、エンジンには数多くのRS1000用キットパーツを投入している。なおスーパーモンキーは、当時の鈴鹿8耐でトッププライベーターとして名を馳せたショップで、1984年にはWGP500マシンのルックスを再現したコンプリートカスタム、NMR:ニューモンキーレーシングを発売。
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