連載

あのころ、あのとき、あのカタログ 青春型録!

語り合うのはこの2人!

津田洋介:80’sスクーターを中心に往時のバイク文化にあまねく精通する「TDF」代表。
宮崎正行:CB750Fにずっと乗っています。グラトラを格安で手に入れました。気負いのまったくない原付みたいな250です。

乗り手は若返ったけれどバイクの良さは不変

▲初代の最後の特別仕様「SE」モデル(96年発売)で、イメージソースは当時のゴールドウイングSE。
▲「2 SEATER」と銘打ってあるのが初代のカタログ中面。スマートに、安楽に、イージーにタンデムライドしたい──という基本コンセプトはめちゃくちゃ明快。しっかりそれが実現されているところがフュージョンのすごいところだ。

津田:フュージョンは、とてもいいバイクだった。究極の楽チンバイク。代わるものなし。

──異議なし!

津田:とにかくめちゃくちゃ乗りやすくて、抜群に完成度が高かった。

──どこを切っても穏やかなキャラクターで、あらゆる走行シーンであっても急かされることが一切ない。これってスゴいことですよ。

編集部マルコ(以下、編):僕、乗ったことないんです。

──フュージョン童貞だね。

津田:うんうん。

──たくさんの煩悩にまみれたマルコさんは、絶対に乗った方がいい。愛車のハヤブサとは対極にあるバイクがフュージョンかもしれない。

津田:たくさんの煩悩(笑)。

編:煩悩って、何?

──速い、マッチョ、男根! みたいな。バイク乗りにありがちな。

編:たしかに僕は平均的な成人男性よりだいぶ、早いけどさ……。

──その“早い”じゃないッス。

津田:下ネタの掛け合いはそこらへんにして、フュージョンね。デビューは1986年だから、もちろんスクーターブームなんて来ちゃいない。

▲「二輪車の気軽さと四輪車の快適さ」を、シティライドやロングツーリングを「ふたり」でゆったり気軽に……。大型段付シート、風防フェアリング、12ℓ燃料タンク、サイドバイザーなど、各種の快適装備をふんだんに盛り込んだのが初代フュージョンだった。49万9000円。
▲約6年の時を経て復活した2代目フュージョンは、ニューモデルではなくモデルチェンジという扱いだった。基本設計はそのままに、メッキハンドルや風防ショートスクリーン、バックレストなどに装備を変更したタイプX(51万9000円)を主軸により若々しさを狙っている。

──おじさんに人気のあったスペーシー250フリーウェイは?

津田:1984年発売、2年早い。当時のカタログを見るとはっきり分かるんだけど、第一期のフュージョンは都会派路線なんだ。モデルさんは妙齢の白人カップルだし背景もクリーン。カタログ自体もページ数を割いていて立派。コンセプトはタンデムライディングマシン、だね。

──1986〜1997年、これが第一期ですね。

津田:そう。フリーウェイのメカの大半をキャリーオーバーさせた大型スクーター。全長は2265mmもあるのに高さは1355mmしかないロング&ローボディ。価格はなかなかの約50万円だけど、売れた。

編:輸出名は「ヘリックス」です。

津田:生産終了した97年、次にバトンを渡したバイクがフォーサイトだったことは意外に知られていない。

──そうなんですか!? 路線がぜんぜんちが〜う。

津田:しかし、お墓に入った途端にビッグスクーターブームが勃発。中古車人気が急騰するのを黙って見過ごせず、大ホンダがついに再販決定! 2003〜2007年、フュージョン第二期スタートだ。

▲人気カラーだったベージュのカラーリングはタイプXXで選べた。55万5450円。
▲2代目の特別仕様として最後に発売された「SE 20th ANNIVERSARY」はゴールド、ホワイト、ブラック外装の3色が用意され、ベージュの内装カラーやゴールドに塗色されたホイールなど、すべての豪華装備がこってり載せられた“ぜんぶのせ”パージョンだった。58万8000円。

──墓あばき、やったー! 欠点ってありましたか?

津田:うーん、カウリング類が多いだけにメカへのアクセスが悪いのは、ビッグスクーターならではだけどね。車体のどこかに、ヘルメットがひとつでも入ると良かったなあ。

──シート下がありませんからね。

編:カタログにはヘルメットが2個収まっている写真がありますが?

津田:あれは純正の専用ヘルメットで、普通のやつはまず入らない。

──あとはいいところばっかり?

津田:たった20馬力しかないんだけど、それで十分だった。誰が乗っても乗りやすいし、両足だってべったり着地する。タンデムしても急に操縦性が悪化したりしない。ザ・コンフォートバイク!

──カラー液晶って気になるなあ。

津田:デジタルメーターなんだけど、じつはカラーフィルムがかぶせてあるだけ……というのはご愛敬ということで(笑)。

──ウインカーキャンセラーまで付いている!

津田:フュージョンも、乗車イメージをクルマに求めていたバイクのひとつ。そこも大事だった。

──そういえば、ホンダにS‐MXっていうベンチシートのミニバンがありましたよね。再販後のフュージョンはアレを思い出させるんです。

津田:ん? どこらへんが?

──ざっくり言うと、イチャイチャしたい仕様。S‐MXでは空間が提供されていたけど、フュージョンはベッドそのものってカンジで。

津田:ラブチェアー? たしかにフュージョンに跨っていたカップルってみんな、セックスしたあとみたいな雰囲気出していたよなー。

▲どことなくあの渦中の人のスクープ写真を思い出させる、2代目カタログの中面カット。当時の渋谷はこれが日常風景だった。

──そう! 気だるい、ベチャーっとしたカンジ。後ろに座る女の子なんてみんな、ライダーに寄りかかったまま寝ているんじゃないか? ってくらい体重を預けてた。それがちょっとだけ羨ましくもあり。

編:……。

津田:メーカーも想定できなかったほどの男性依存(笑)。

編:……みなさん、憶測だけで発言するのもいい加減にしてください。バックレストなどの純正オプション品も充実していたんですから。

──憶測じゃないよ、妄想だよ。

津田:時速300キロマシンはちょっと静かにしていてくれたまえ。

編:まるで僕を、行き場のない性欲の化け物みたいに言わないでください! まずバイクはベッドじゃない!

一同 そこまで言ってないがな〜。

編:でもなんだか……フュージョンに乗ってみたくて、ちょっとだけムズムズしてきました。

一同 ほほう。

編:そしてシート上で女の子、もといステキな熟女と……。

一同 たまってるなあ(笑)。

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