GEN4バッテリーの中核となるのは「超流動性無機電解質(SFIE:Superfluidized Inorganic Electrolyte)」だ。ProLogiumが2025年に発表したこの電解質は、固体材料が持つ高いイオン濃度と、液体電解質が持つ優れた界面接触性を組み合わせたもの。今回の発表では、さらにその内部構造に踏み込み、特殊な配位子(リガンド)によって形成される「動的配位ネットワーク(DCN:Dynamic Coordination Network)」が、リチウムイオンの新たな輸送経路を形成することを明らかにした。

SFIEは、特殊な配位子(リガンド)を設計することで「動的配位ネットワーク(DCN)」を形成し、リチウムイオンと陰イオンの相互作用を制御。陰イオンをより強く拘束しながらリチウムイオンの輸率を高め、局所的に変化し続ける配位構造の間をリチウムイオンが高速に移動できる短距離の輸送経路を形成する。

ProLogiumによれば、液体電解質では主に溶媒を介したリチウムイオンの拡散、従来の固体電解質では比較的剛直な構造中をリチウムイオンがホッピングする輸送が基本となる。いっぽうでSFIEは、液体と固体の両方の利点を取り入れた「第3のメカニズム(動的な構造変化によるイオン輸送)」を生み出した点が極めて革新的である。

SFIEは非ニュートン流体特性を有しており、バッテリー動作全体を通して適応的な界面を形成する。充放電サイクル中の電極表面や体積の変化に電解質が対応できるようになる。応力が加わると流動的な挙動を示し、応力が解放されると固体状態に戻る。これにより、電極と電解質の密着性を維持しながら、界面抵抗を低減できるという。また、この動的な適応性により、従来の固体電池にありがちな高いスタック圧力への依存度が低減され、高速充放電に対する柔軟性が向上する。25℃で57mS/cmという高いイオン伝導度を実現する。全固体電池で課題となる界面抵抗や低温時のイオン輸送を、電解質の動的な構造そのものから解決しようとするアプローチだ。

ProLogiumの社内テストによると、SFIEをベースとしたバッテリーは、高速充電、低温性能、高出力の組み合わせを実証しており、5%から80%までの充電が6.4分、1,000回以上の高速充電サイクル、-20℃での90%以上の容量維持、15Cに達する放電レートなどを実現しているという。

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)等と次世代セルにおけるテスト契約を締結済み。また、FEVおよびOPmobilityとともに、バッテリーパック・モジュール統合のプロトタイプを開発中という。

ProLogiumの創業者兼CEOであるヴィンセント・ヤン氏は次のように述べている。「電気自動車市場は、車両の種類や用途がますます多様化する方向へと進化しており、プラットフォームごとにコスト、航続距離、急速充電、出力、安全性、システム統合といった要素の組み合わせが異なってきます。次世代バッテリー技術の価値は、単一の性能指標だけで測られるべきではないと私たちは考えています。大規模な商業化の要件を満たすためには、性能、コスト、製造性のバランスを取りながら、本質的な安全性を維持する必要があります」