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Prodrive Hunter
ローブが2位に入ったマシンの公道仕様

プロドライブ ハンターは、バーレーン・レイド・エクストリーム(BRX)のダカールラリー用参戦車両「ハンター T1+」をベースに開発。2022年のダカールラリーでは、WRC(世界ラリー選手権)9度の優勝を誇るセバスチャン・ローブが、ハンター T1+をドライブし、2位表彰台を獲得している。
今回リリースされる公道仕様は、搭載する3.5リッターV型6気筒ツインターボエンジンの出力を50%向上させ、最高出力は600hp・最大トルク700Nmを発揮。6速シーケンシャルトランスミッションを介して4輪を駆動する。シフトチェンジはステアリングのパドルを介して行い、足まわりはダブルウィッシュボーン+ツインアジャスタブルダンパーを装備。サスペンションストロークを増やすことで、より過酷な路面にも対応できるよう進化させた。
イアン・カラムがデザインした内外装

コンペティション仕様よりもさらに速く、高性能である一方、より洗練されたクルマに仕上げられているのも特徴。 オリジナルのエクステリアを担当したイアン・カラムがプロジェクトに加わり、日常的な使い勝手を重視した新たなインテリアを作り上げた。メータークラスター内のデジタルディスプレイはドライバーに必要な情報を提供し、センターコンソールには一般的なロードカーと変わらない、ナビゲーションシステムや様々な操作系スイッチが追加されている。
ハンターには、これまでスバルのWRCプログラムや、アストンマーティンのGTプログラムなど、40年の歴史において様々なモータースポーツカテゴリーで活躍してきたプロドライブの経験や技術を惜しげもなく投入。同社の創業者であり会長を務めるデビッド・リチャーズは、ハンターの開発理由を次のように説明した。
「世界中のメーカーから様々なハイパーカーが販売されていますが、その性能を発揮するためには、どれもコンディションの良い路面、あるいはサーキットが必要です。私たちは世界の一部の地域、特に中東にはアスファルト道路ではアクセスできない広大な土地が残っていることに気づきました。そこで、これまでのオフロードカーの常識を超えた性能をもち、この地域を走破可能なクルマを作ろうと考えたのです」
最高出力600hpを発揮する3.5リッターV6

ハンターは、ダカール用コンペティション仕様のエンジン、ドライブトレイン、サスペンションをそのままキャリーオーバー。6速シーケンシャルギヤボックスにパドルシフトを追加し、わずか数ミリ秒でのスムーズなギヤチェンジを実現した。
競技規定から解き放たれたことで出力を50%以上も向上した3.5リッターV6ツインターボは、英国バンベリーにあるプロドライブにおいて再チューニングが行われ、600hp以上のパワーと700Nm以上のトルクを発生しながら、よりスムーズなドライバビリティを実現している。
0-100km/hは4秒以下、最高速度は300km/hのポテンシャルを有しているが、舗装路ではなく荒地や砂地でのグリップを重視したため、特注の35インチオフロードタイヤが装着されている。
「公道仕様の開発においては、可能な限りオリジナルのコンペティション仕様に近づけるという決断をしています。セバスチャン・ローブがドライブしたダカールカーのように砂漠を自在に駆け抜けることも可能です。同時にロードカーの快適性を備えていますから、自宅から市街地を通り、好きな目的地までドライブできる機会をオーナーに提供します」と、リチャーズは語る。
2022年後半からのデリバリーを予定

高張力鋼製スペースフレームシャシーは、サスペンションのジオメトリーと性能を最適化するための高剛性プラットフォームとして機能。さらに、パッセンジャーを保護するFIA規格のセーフティロールケージをも兼ね備えている。
ツインアジャスタブルダンパーを備えたダブルウィッシュボーン・サスペンションのトラベル量は、競技車両の350mmから400mmに増加。より滑らかな乗り心地と、他の車両では想像もできないようなスピードでの悪路走破を可能にした。また、6ポット・レーシングブレーキキャリパーとベント付きディスクを採用。オンロードでもオフロードでも、高い制動力を発揮する。
ダカール仕様と変わらないデザインのボディシェルは、すべてプロドライブ・コンポジット社製のリサイクル素材を含む軽量カーボンコンポジットで製造。 現在、最初の開発車両が中東でツアーを行っており、潜在的カスタマーにハンターをドライブする機会を提供している。同時に2022年後半からデリバリーを行うため、最終的な量産仕様に向けたテストも行っている。