ミッドシップラリーカー「5ターボ」をオマージュした「ルノー R5 ターボ 3E」登場

電動ドリフトコンセプトカー「ルノー R5 ターボ 3E」が目指したのは、50年前の5(サンク)ターボとテレビゲームの融合

電動ドリフトコンセプト「ルノー R5 ターボ 3E」のエクステリア。
1980年代にWRCで活躍した「5ターボ」「5ターボ2」をオマージュした、電動コンセプト「ルノー R5 ターボ 3E」。
ルノーは「5(サンク)」の誕生50周年を記念し、かつてラリーで大活躍した「5ターボ」「5ターボ2」という歴史的なスポーツバージョンをオマージュ。フル電動ドリフトショーカー「R5 ターボ 3E」を開発した。R5 ターボ 3Eは、9月25日に開催される「シャンティイ・アート&エレガンス 2022(Chantilly Arts & Elegance 2022)」においてワールドプレミアされる。

Renault R5 Turbo 3E

アートイベントに続きパリ・サロンで公開

R5 ターボ 3Eは、9月25日に開催される「シャンティイ・アート&エレガンス2022」でワールドプレミア。多くのヒストリックカーファンに、強烈な印象を残すことになりそうだ。
R5 ターボ 3Eは、9月25日に開催される「シャンティイ・アート&エレガンス2022」でワールドプレミア。多くのヒストリックカーファンに、強烈な印象を残すことになりそうだ。

ルノーは2022年1月、ルノー 5の50周年記念式典において「5 プロトタイプ」を発表。さらに、2022年が「サプライズに満ちたポップな1年」となると宣言していた。その後、モンテカルロ・ヒストリック・ラリー、レトロモービル、ル・マン・クラシックなどに参加し、電気自動車のショーカー「ルノー 5 ディアマン(Renault 5 Diamant)」を公開している。

そして、9月25日に開催されるシャンティイ・アート&エレガンス2022において、「R5 ターボ 3E」をワールドプレミアすることになった。ルノーは欧州において2030年までにラインアップをフル電動化すると目標を掲げており、R5 ターボ 3Eは先に発表された5 プロトタイプと同様、ルノーを象徴する名車を「EVとして生まれ変わらせる」というコンセプトのもと開発されている。

電動ショーカーとして開発されたR5 ターボ 3Eは、ミッドシップラリーカー「5ターボ/5ターボ2」へのオマージュとしつつ、様々な新機軸が導入された。ルノーのデザインディレクターを務めるジル・ヴィダルは、R5 ターボ 3Eについて次のように説明する。

「R5 ターボ 3Eは、モータースポーツとテレビゲームの世界を参考にしつつ、超ハイテクデザインと予想外の高揚感を融合させました。ふたつの要素を組み合わせたことで、現代性とテクノロジーを併せ持った、現実とバーチャル世界の境界線上にある1台が完成したのです。このフル電動ドリフトマシンは、電気自動車が驚くべき性能を持ち、同時に心から楽しめることを実証しています」 

パイプフレームシャシーに2基のモーターを搭載

電動ドリフトコンセプト「ルノー R5 ターボ 3E」のパイプフレームシャシー。
パイプフレームシャシーにフラットフロアを組み合わせ、フロア下にバッテリーを搭載。頑強なFIA公認ロールケージが組まれた「R5 ターボ 3E」は、リヤに搭載された2基のモーターで後輪を駆動する。

R5 ターボ 3Eは、「パフォーマンス」「サーキット」「ドリフト」というキーワードを掲げ、フル電動後輪駆動スポーツコンセプトとして開発。「5ターボ/5ターボ2」と同様に2シーターを採用し、2基のモーターがそれぞれの後輪を駆動。バッテリーはフロア中心下部の低い位置に搭載された。

フラットフロアとパイプフレームシャシーに、FIA(国際自動車連盟)公認ロールケージが組まれ、2基の電気モーターは最高システム出力280kW(380ps)、最大トルク700Nmを発揮する。

0-100mをわずか3.5秒(ドリフトモードでは3.9秒)で駆け抜け、最高速度は200km/h。42kWhバッテリーは、サーキットを数ラップ周回したり、ジムカーナの連続走行にも十分対応できる容量が確保された。ステアリングの舵角が50度以上となっており、タイトコーナーを俊敏にクリアすることが可能だという。

また、そのパフォーマンスを記録するため、10ヵ所のカメラ用マウントを内外に装備。例えば、ヘッドライトやエクステリアミラーには、ドリフトシーンを最高のアングルで撮影できるよう、最適な位置にカメラ装着用マウントが用意されている。

5ターボに加えられたテレビゲームの世界観

電動ドリフトコンセプト「ルノー R5 ターボ 3E」のエクステリア。
エクステリアは、オリジナルの5ターボのボンネット、ドア、コックピット、リヤフェンダーのエアインテークなどを活かしながら、1980年代から1990年代のテレビゲームの世界観が加えられた。

アグレシッブなエクステリアは、オリジナルの5ターボのデザインをベースに、テレビゲームの世界からのインスピレーションが加えられた。ボンネット、ドア、コクピットはオリジナルの形状を踏襲し、ボディパネルはフルカーボンファイバー製。また、5ターボ2のアイコンでもある、リヤフェンダーのエアインテークも採用されている。

ディメンションは全長4000mm、全高1320mm、全幅は5ターボから250mmも拡大された2020mm。目を引く巨大なリヤスポイラーはドリフト走行中、リヤアクスルに強烈なダウンフォースを発生させる。

フロントバンパーに設けられた巨大エアインテークは、電動パワートレインを効率的に冷却し、同時に最適化されたエアフローにより、ダウンフォースも発生させる。長方形エアスクープは5ターボ2のバンパーを彷彿とさせる要素。ピクセル形状のフォグランプは、それぞれに16個のLEDにより構成されている。

また、フロントとリヤにはドリフト時にピンク/ブルー/イエローに点滅するLEDストリップが設けられており、1980年代から1990年代のテレビゲームのような雰囲気を醸し出している。ボディ全体を覆っている迷彩柄リバリーも、レトロゲームから着想を得た仕様。プレキシガラス製ウインドウはピンク色で、左リヤウインドウには「La vie en rose(バラ色の人生)」と書かれたステッカーが貼られている。

ダッシュボードに10基の小型デジタルスクリーン

R5 ターボ 3Eにメータークラスターは存在せず、5ターボ2のアナログメーターをイメージし、10基の小型デジタルスクリーンが配置された。
R5 ターボ 3Eにメータークラスターは存在せず、5ターボ2のアナログメーターをイメージし、10基の小型デジタルスクリーンが配置された。

コクピットも5ターボ/5ターボ2の特徴を活かしつつ、テレビゲームのポップな世界観が加えられた。カーボンファイバー製レーシングバケットシート、セーフティハーネス、ステアリングホイールは、サベルトと共同開発。ポップなイエローで統一されたセンターコンソール中央には、ドリフトマシンには欠かせない直立型ハンドブレーキレバーが鎮座する。

シートやダッシュボードは、ルノーのロゴから着想を得た、グレーとブラックのタータンチェック・モチーフを採用。アクセントカラーとしてイエローとピンクが加えられた。ステアリングホイール・ハブにも、ライトアップされたルノー・ロゴが配されている。

5ターボ2の10個アナログメーターをリスペクトし、ダッシュボードに10基の小型デジタルスクリーンを配置。それぞれがスマートフォンのアイコンのように機能する。たとえば、車両を発進させるには、センターコンソールの「フリープレイ(Free play)」ボタンを使用。「ターボ(Turbo:ドリフト走行用)」「トラックインベーダー(Track invader:遊び用)」「ドーナツ(Donut :360°ドーナツスピン用)」など、それぞれのスクリーンに特別な機能が与えられている。

パッセンジャーを和ませるテディベア「ドリフティ」

R5 ターボ 3Eにちょっとした遊び心を加えるべく、ルノーはコクピットの助手席サイドにテディベア「ドリフティ」を乗せている。
R5 ターボ 3Eにちょっとした遊び心を加えるべく、ルノーはコクピットの助手席足元サイドにテディベア「ドリフティ」を乗せている。

最後のちょっとした味付けとして、R5 ターボ 3Eのコクピットには、テディベア「ドリフティ(Drifty)」が鎮座している。ドリフトマシンの迫力に圧倒されたパッセンジャーをリラックスさせるべく、センターコンソールに装着されたという。

R5 ターボ 3Eは、9月25日に開催されるヒストリックカーイベント「シャンティイ・アート&エレガンス 2022(Chantilly Arts & Elegance 2022)」にてワールドプレミア。その後、10月17日から開催されるパリ・サロンにも出展される予定だ。

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