ホンダがインドの電動三輪タクシー向けバッテリーシェアリングサービスを2022年前半から開始。新型着脱式可搬バッテリー「ホンダモバイルパワーパックe:」を活用

ホンダはこのほど、新型の着脱式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパックイー)」を用いたインドの電動三輪タクシー「リキシャ」向けのバッテリーシェアリングサービス事業を、2022年前半に開始すると発表した。

街中に設置された最寄りのバッテリー交換ステーションで、電池残量の少なくなった「モバイルパワーパックe:」を満充電のものと交換できるサービス

インドでは経済発展に伴い、エネルギー需要が拡大すると同時に大気汚染が深刻化しており、国を挙げて再生可能エネルギーの活用拡大を進めるとともに、温室効果ガス排出の約2割を占める輸送部門の電動化を積極的に推進している。なかでも、800万台以上保有され、人々の日常の移動手段として欠かせない乗り物であるリキシャは、都市部では主にCNG(圧縮天然ガス)を燃料としており、電動化への重要な課題となっている。

現在の電動モビリティには「短い航続距離、長い充電時間、高いバッテリーコスト」という3つの課題がある。ホンダは、バッテリーを交換式とし、シェアリングすることでそれらの課題を解消し、電動化の加速と再生可能エネルギーの活用拡大に貢献するため、「モバイルパワーパックe:」を用いたリキシャ向けのバッテリーシェアリングサービス事業を2022年前半に開始する。事業化検討にあたっては、2021年2月からインドで実証実験を行い、30台のリキシャで20万km以上の営業走行を実施して、課題の洗い出しや事業性の検証などを行ってきた。

「モバイルパワーパックe:」は、従来のモバイルパワーパックより電池容量を増大し、1.3kWh以上の大容量電力を貯蔵できる着脱式・可搬型のリチウムイオンバッテリー。実証実験で得たユーザーの声を反映し、使いやすさとハンドリングの良さを徹底的に追求したボディとハンドル形状になっている。ボディサイズは約298×177.3×156.3mmで、重量は10.3kg、定格電圧は約50.26V、充電時間は約5時間だ。

リキシャ向けバッテリーシェアリングサービスは、街中に設置された最寄りのバッテリー交換ステーションで、電池残量の少なくなった「モバイルパワーパックe:」を満充電のものと交換できるサービス。リキシャのドライバーはこのサービスを利用することで、電池切れの心配や、充電待ちで利用客を失うリスクを大幅に軽減できる。

同サービス開始にあたり、ホンダはインドにバッテリーシェアリングサービス事業を目的とした現地法人を設立して、街中にバッテリー交換ステーション「Honda Mobile Power Pack Exchanger e:(モバイルパワーパックエクスチェンジャーイー)」を設置し、「モバイルパワーパックe:」の貸し出しを行う。

ホンダはリキシャのメーカーと協力し、まずは限定した都市で運用を開始。順次、地域を拡大していく方針だ。このたびの発表に際してホンダでライフクリエーション事業を担当する加藤稔本部長は次のように述べている。
「モバイルパワーパックには、小型モビリティを含むさまざまな機器の電動化と、再生可能エネルギーの活用拡大を実現する大きなポテンシャルがあります。インドでのバッテリーシェアリングサービス提供により、リキシャの電動化加速と、再生可能エネルギー活用拡大に貢献していきます。そして、今後はさらにさまざまな領域にモバイルパワーパックの活用を拡大し、生活の可能性が拡がる喜びを提供していきます」

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●ホンダ公式サイト

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