MAZDA3 e-SKYACTIV-X搭載モデル長期レポート | 実車確認編 PROACTIVE Touring Selection オルガン式アクセルペダルのメリットとは

MAZDA3 SKYACTIV-X搭載モデルを新車購入 なぜ6速MTをチョイスしたのか? エンストしたら、どうなる?

MAZDA3
MAZDA3 PROACTIVE Touring Selection、AWD、6MT、ポリメタルグレーメタリック
6月5日に納車されたMAZDA3 PROACTIVE Touring Selection、AWD、6MT、ポリメタルグレーメタリックの観察を続けよう。6速マニュアルトランスミッションを選択したので当然だが、3ペダルである。右から順に、アクセルペダル、ブレーキペダル、クラッチペダルが並んでいる。アクセルペダルは吊り下げ式ではなく、オルガン式なのがマツダ車に共通する特徴だ。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

マツダは、「かかとをフロアにつけてペダルを踏み込んだとき、踏み込む足とペダルが同じ軌跡を描くため、かかとがずれにくく、アクセルペダルがコントロールしやすい」と、オルガン式アクセルペダルを採用した理由を説明している。吊り下げ式は踏み込む足とペダルの軌跡が異なるためコントロール性に劣るというわけだ。

MAZDA3のペダル
マツダはアクセルペダルにオルガン式を採用する。エントリーモデルのMAZDA2もオルガン式だ。

使い比べてみるとわかるが、軌跡の違いに加えてオルガン式のほうが足裏に接触する面積が大きいこともあり、長時間運転した際に足が疲れにくい。筆者はオルガン派である。オルガン式アクセルペダルを採用していたVWゴルフ6から吊り下げ式になったゴルフ7に乗り換えた際は、「なぜ?」「どうして?」と落胆したものだ。再びオルガン式アクセルペダルのクルマに戻ることができて、うれしい気分だ。

オルガン式の方がロングドライブで足首の疲れが少ない。

シートに腰を下ろした状態で自然に足を伸ばした位置にアクセルペダルがあるのもうれしい。つまり、体に対して操作系がオフセットしていない。ステアリングホイールも同様だ。体の真ん前にステアリングがある。グリップは細からず、太からずで、ちょうどいい。チルト&テレスコピック機構で好みの位置に調整できる。MAZDA3に乗り終えるたびに、もっと運転したい、また運転したいという気持ちになるのは、操作しやすい姿勢でいられるのが大きい。

インテリアに安っぽさはまったくない。

シートの効果も大きい。合わないシートと付き合わなければならないことほど悲劇はない。その点、MAZDA3のシートは何の問題もない。面圧分布がいいのだろう。すでに長時間ドライブを何度も体験しているが、尻や腰など、体の一部が痛くなるということが一切ない。マツダの説明に頼ってより専門的にいえば、MAZDA3のシートは「乗車時でも、歩行時のように脊柱がS字カーブを保つよう、骨盤を立てて着座できる」ようになっている。

MAZDA3のコックピット。

だから、人間が無意識にバランスをとろうとするバランス保持能力が働き、目線のぶれが少ない。そのため体に無駄な力が入らず操作しやすいし、自然な姿勢で操作できる。だから、思いどおり滑らかに操作でき、ストレスを感じにくい。スポーツにはそれぞれ、競技に適したウエアがあり、道具がある。MAZDA3のシートは運転というエクササイズに合ったウエアであり、道具だ。フィット感は抜群。MAZDA3のシートのように、腰を下ろすのが楽しみになるシートは、世の中にそうないと思う。

MAZDA3のシートは「乗車時でも、歩行時のように脊柱がS字カーブを保つよう、骨盤を立てて着座できる」ようになっている。
PROACTIVE Touring Selectionのシートはファブリック地だ。
シート地にはブラウンがかったテキスタイルを採用している。

本革シートのL Package/Burgundy Selectionに対し、PROACTIVE Touring Selectionのシートはファブリック地となる。安っぽくはないだろうかと心配したが、まったくの杞憂に終わった。シートの座面や背もたれの部分が真っ黒だったら室内全体が暗いムードになっただろうが、ブラウンがかったテキスタイルを採用しているのは正解で、落ち着きと軽さを上手に両立させているように感じる。

少しも気を使わずに変速操作ができる。

筆者が6速マニュアルトランスミッションを選択したのは、SPCCI(火花点火制御圧縮着火)を採用したエンジンや、クルマとの対話を能動的に楽しむためだ。クラッチは重からず、軽からず、ミートポイントは手前にすぎず、奥すぎもせず、ちょうどいい。発進に気を使うことなく、販売店でクルマを受け取って信号を2つ3つ通過したあたりで、もう体になじんでいた。

MTを選んでよかった、と思えるトランスミッションだ。

シフトレバーも同様だ。アップシフトもダウンシフトも段数を問わず、少しも気を使わずに変速操作を行なうことができる。ニュートラル位置に戻ろうとする力がもう少し強くてもいいかなとは思うことがあるものの、シフト方向(前後方向)、セレクト方向(横方向)の動きも、緩すぎず、きつすぎず、ストロークと操作力のバランスを含めて、ちょうどいい。ドライバーの手の動きをケーブルで伝えて変速機構を動かす方式のMTとしては、とても優れたフィーリングを提供してくれる。だから、操作が楽しい。加えて、シフトレバーの佇まいがいい。眺めてよし、使ってよしの万年筆のような、気品すら感じる(ほめすぎだろうか)。

SKYACTIV-Xエンジンを味わい尽くすためにMTを選んだ。

発進時に歯が当たって1速に入らないことが多いのは格別運がいい(悪い?)からだろうか。「こんなに高い頻度で当たる?」というのが、2300km走っての実感である。走り込みを重ねればなじんでくるだろうか。

慣れたと思った頃に経験するのがエンストである。1速に入っていると思い込んで発進したものの、実のところ3速に入っており、ストンとエンジンは止まった。おっといけないとばかりに反射的にクラッチを踏み、エンジンスタート・ボタンのランプが緑色に点灯したのを確認して再始動したが、オーナーズマニュアルを参照して新事実を知った(スマホアプリのMyMazdaで確認できる)。

「エンスト時はエンジンが完全停止した後、約3秒以内にクラッチペダルを再度踏み込む」と、エンジンを再始動させることができると書いてある(エンスト後にクラッチペダルを完全に放すことなどの条件あり)。つまり、エンジンスタート・ボタンを押す必要はないということだ。今度試してみよう(クルマに悪い気がして、わざとエンストできない性格……)。

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…